海が近い暮らしは、沖縄の大きな魅力です。その一方で、「玄関ドアの下のほうが錆びてふくらんできた」「アルミサッシに白い斑点が出てきた」「窓の開け閉めが年々重くなっている」というご相談を、当店は海沿い・内陸を問わず沖縄県内の各地からいただきます。原因の多くは、潮風が運ぶ塩分による「塩害」です。

このページでは、国の基準や気象庁、日本サッシ協会の資料をもとに、なぜ沖縄ではサッシや玄関ドアが錆びやすいのか、劣化のサイン、今日からできるお手入れ、そして直し方の順でご説明します。先に結論をお伝えすると、塩害の進行は「付いた塩を真水で洗い流す習慣」でかなり遅らせることができます。そして、傷みが進んでしまった窓やドアには、壁を壊さずに交換できる方法があります。

沖縄の潮風による塩害で表面全体が劣化した玄関ドア

沖縄は県全体が「塩害地域」――国の基準が示す事実

「うちは海から離れているから大丈夫」と思われるかもしれません。ところが、橋などの公共構造物の設計に使われる国内の代表的な基準では、沖縄県の扱いは本土と大きく違います。

公益社団法人日本道路協会の「道路橋示方書・同解説」に基づく塩害の対策区分では、本土の多くの地域は「海岸から一定の距離まで」が塩害対策の対象とされるのに対し、沖縄県は全国でただひとつ、最も厳しい「地域区分A」に分類されています。海岸線から100mまでは影響度がもっとも高い「S」とされ、さらに海岸から離れた内陸部でも対策区分が外れません。つまり国の基準は、沖縄を「県全体が塩害の影響を受ける地域」として扱っているのです(出典:公益社団法人日本道路協会「道路橋示方書・同解説Ⅲ コンクリート橋編」の塩害対策区分)。

理由はふたつ考えられます。ひとつは島の形そのもので、沖縄本島は東西の幅が狭く、どこに住んでいても海からそれほど遠くありません。もうひとつが台風です。強い風が海のしぶきを細かい粒にして、ふだんは塩が届かない内陸まで運んでしまいます。台風のあとに街路樹の葉が茶色く枯れるのは、この飛来塩分のしわざです。同じことが、ご自宅の窓とドアにも起きています。

アルミサッシでも錆びます――塩が金属を傷めるしくみ

「アルミは錆びない」と思われがちですが、正確には「錆びにくい」金属です。アルミの表面はごく薄い酸化皮膜や塗装で守られていて、ふだんはこの膜が腐食を防いでいます。ところが塩分に含まれる塩化物イオンはこの守りを壊す性質があり、膜の弱いところから点状に腐食が進みます。アルミサッシに出る白い斑点や白い粉のようなもの(白サビ)は、その代表的なサインです。

さらにやっかいなのは、塩が空気中の水分を吸い込んで表面に残り続けることです。雨で流されない場所に付いた塩は、湿気を吸っては乾くことを繰り返しながら、金属をじわじわ傷め続けます。だからこそ、後ほどご説明する「真水で洗い流す」お手入れが対策の本丸になります。

また、窓とドアはアルミだけでできているわけではありません。丁番(ちょうつがい)やビス、戸車、ドアクローザーには鉄系の部品が使われていることが多く、こちらは赤サビが出ます。鋼板でできた玄関ドアは、表面の塗装が切れた小さな傷や下端の水がたまる部分から錆が広がり、進行すると表面がふくれたり、穴があいたりします。網戸の網や面格子も同じように傷みます。

台風のたびに「塩水のシャワー」を浴びている

沖縄地方への台風の接近数は、平年値で1年あたり7.7個。全国でもっとも多い地域です(出典:気象庁「台風の平年値(1991〜2020年)」)。台風が来るたびに、住まいの外まわりは塩分を含んだ風雨にさらされます。

サッシメーカーの業界団体である一般社団法人日本サッシ協会も、「台風の後は、塩分等が付着しやすく、腐食の原因となりますので、必ずお手入れをしてください」と呼びかけています(出典:一般社団法人日本サッシ協会「アルミサッシのお手入れ方法」)。年に7〜8個の台風が近づく沖縄では、この「台風後のお手入れ」の回数が本土よりずっと多く必要になる、ということです。

塩害で塗装のはがれと錆が進んだ沖縄の住宅の玄関ドア

塩害劣化のサイン――この症状が出ていたら進んでいます

次のような症状は、塩害による劣化が進んでいるサインです。ご自宅の窓とドアを一度チェックしてみてください。

  • アルミサッシの表面に白い斑点や白い粉が出ている
  • 玄関ドアの塗装がふくれている・はがれている
  • ドアの下端や角に赤サビが出ている、錆汁が垂れた跡がある
  • 窓の開け閉めが重い、ガリガリと音がする(戸車の劣化)
  • クレセント(窓の鍵)のかかりが固くなってきた
  • 丁番やドアクローザーまわりに錆が出て、ドアの閉まりが悪い
  • 網戸の網や面格子がボロボロになってきた

塩害の劣化は、雨で塩が流されにくく、砂やほこりと水分がたまりやすい「下端・下枠・レールまわり」から進むのが特徴です。目線の高さがきれいでも、しゃがんで下枠を見ると傷みが見つかることがよくあります。

今日からできる塩害対策――基本は「真水で洗い流す」

日本サッシ協会が案内しているお手入れの目安は年に1〜2回ですが、これは全国向けの数字で、同じ資料の中で「海岸地帯は塩分でしみや腐食が進みやすいため、頻度をこまめに」ともされています。県全体が塩害地域にあたる沖縄では、月に1回程度の水洗いと、台風が通ったあとの毎回のお手入れを当店はおすすめしています。

やり方は難しくありません。まず表面に付いた砂やほこりを取り除き、柔らかい布かスポンジで全体を水洗いします。水だけで取れない汚れは、台所用の中性洗剤を薄めて布に含ませて拭き、洗剤分が残らないようによく水で流してから、乾いた布で水分を拭き取ります。下枠のレールにたまった砂もこのときに取り除いてください。砂をかんだまま開け閉めを続けると、戸車の破損につながります(出典:一般社団法人日本サッシ協会「アルミサッシのお手入れ方法」)。

やってはいけないお手入れ――良かれと思って傷めるパターン

一方で、やり方を間違えると、かえって窓とドアを傷めてしまいます。日本サッシ協会が注意喚起している内容から、沖縄で特にやってしまいがちなものを挙げます。

  • 高圧洗浄機やホースで勢いよく水をかける――サッシは上から降る雨を防ぐ設計のため、勢いのある水は室内側に入り込むおそれがあります
  • 酸性・アルカリ性・塩素系の洗浄剤を使う――アルミの表面を腐食させ、塗膜はがれの原因になります。使えるのは薄めた台所用中性洗剤です
  • 金属たわしやメラミンスポンジでこする――表面に細かい傷がつき、その傷から腐食が始まります

錆を早く落としたい気持ちで強い洗剤や研磨に手が伸びやすいのですが、塩害地域ではこの「守りの膜を傷つけない」ことがとても大切です。

掃除では戻らない劣化――部品の交換・調整で直る場合

お手入れで遅らせることはできても、一度進んだ腐食を元に戻すことはできません。ただし、症状によっては窓やドアを丸ごと替えなくても、部品の交換や調整で使い心地が戻る場合があります。開け閉めの重さは戸車の交換、鍵のかかりの固さはクレセントの調整・交換、ドアの閉まりの悪さは丁番やドアクローザーの交換で改善することがあります。

正直にお伝えすると、錆びた表面の再塗装や研磨仕上げは当店の領分ではなく、塗装の専門業者さんの分野です。当店ができるのは、窓とドアの点検・部品交換・本体の交換までです。どの段階の対処が合っているかは現地を見せていただいたうえで、正直にお伝えします。

サッシごと替えるなら「カバー工法」――壁を壊さず最短1日

腐食が枠まで進んでしまった窓は、窓のカバー工法で新しくできます。今ある枠の上に新しい枠をかぶせて取り付ける方法で、壁を壊さないため、工事は1窓あたり最短1日で終わります。

沖縄の住宅は非木造が96.5%、そのうち鉄筋コンクリート造などが93.8%と、全国でも突出してコンクリート住宅の多い地域です(出典:総務省「令和5年住宅・土地統計調査」)。コンクリートの躯体そのものは長持ちしても、開口部のアルミや鉄の部品が先に傷むのが沖縄の住まいの典型的な劣化パターンで、壁を触らずに開口部だけを新しくできるカバー工法とは相性のよい構造です。交換の際には、塩害に配慮したアルミ樹脂複合サッシなどの仕様も選べます。

沖縄の住宅で塩害により劣化したドアをカバー工法で交換している施工の様子

玄関ドアの塩害には――ステンレス製やカバー工法という選択肢

塩害の被害がいちばん目に見えて出やすいのが玄関ドアです。鋼板製のドアは錆が進むと下端がふくれ、放っておくと穴があき、開け閉めのたびに引っかかるようになります。ここまで進んだドアは、玄関ドアのカバー工法で、壁を壊さず最短1日で新しいドアに交換できます。

交換の際にご検討いただきたいのが素材選びです。当店では、塩害の影響が強い沖縄県向けにステンレス製の玄関ドア【SARGE】もお取り扱いしています。ステンレスは鋼板よりも塩分に強く、海沿いの立地やマンションの外廊下側など、潮風を直接受ける場所のドアに向いています。どの素材が合うかは立地によって変わりますので、現地を見せていただいたうえでご提案します。

沖縄の住宅でカバー工法により新しく交換した玄関ドアの施工写真

内窓(二重窓)は塩害対策になりますか?――正直にお答えします

当店は内窓(二重窓)の施工を得意にしていますが、正直にお伝えすると、内窓は外窓の塩害を止めることはできません。内窓は部屋の内側に取り付けるため、内窓そのものは潮風に触れず錆びませんが、外側のサッシはこれまでどおり塩分を浴び続けます。

塩害でお困りの窓には、外側を新しくするカバー工法が本筋です。一方で、暑さや電気代、防音などのお悩みが主で、外窓がまだ健康なら内窓が向いています。目的によって最適な工事は変わりますので、「うちはどちらが合っていますか」とそのままご相談ください。

マンション・アパートにお住まいの場合

マンションの窓や玄関ドアは共用部分として扱われるのが一般的で、交換には管理組合の手続きが必要になることがあります。当店はマンションの大規模修繕に伴う玄関ドアの一斉交換にも対応していますので、理事会・管理組合さまからのご相談もお受けしています。賃貸のお部屋の場合は、オーナーさまの承諾を得てからの工事になります。

窓の交換には補助金が使える場合があります

塩害で傷んだ窓をカバー工法で交換する場合や内窓を取り付ける場合、断熱性能の高いガラス・サッシを選ぶと、国の先進的窓リノベ2026事業の補助対象になることがあります。対象になる条件や金額の考え方は補助金のご案内ページにまとめていますので、あわせてご覧ください。補助金の申請は当店が代行します。

費用の目安と施工の流れ

工事の費用は窓・ドアのサイズや仕様で変わります。目安は料金のご案内を、お問い合わせから工事完了までの進み方は施工の流れをご覧ください。実際の工事の様子は施工事例で写真つきでご紹介しています。

対応エリアは沖縄本島全域です。海に面した糸満市恩納村読谷村をはじめ、各市町村で施工しています。また、塩害とあわせて暑さや台風への備えを全体的に見直したい方は、沖縄の暑さ・塩害・台風と窓リフォームのページも参考になさってください。

まとめ――塩害は「洗う習慣」と「素材選び」でつきあえる

国の基準で県全体が塩害地域とされるのは沖縄だけです。潮風は止められませんが、月1回程度の水洗いと台風後のお手入れで進行は遅らせられますし、傷みが進んだ窓やドアはカバー工法で壁を壊さず新しくできます。そのときに塩害に強い素材を選べば、次の10年の傷み方は変わってきます。

「これは掃除で済むのか、部品交換か、それとも交換すべきか」――その見極めこそ、私たち窓とドアの専門店の仕事です。現地調査とお見積りは無料ですので、気になる症状がありましたらお問い合わせページからお気軽にご相談ください。