電気の請求を見て「去年よりまた上がっているな」と感じたことはありませんか。沖縄で暮らしていると、真夏だけでなく春も秋もエアコンがなかなか止まらない、というお声をよくいただきます。

インターネットで「電気代を下げる 窓」と調べると、窓のリフォームをすすめる記事がたくさん出てきます。ただ、その多くは本土の気候を前提に書かれたものです。沖縄は日本のなかでも気候の条件がはっきり違う地域で、国の省エネ基準でも沖縄だけ別のあつかいになっています。本土向けの説明をそのまま持ち込むと、選ぶものを間違えてしまうことがあります。

このページでは、沖縄で電気代を窓から下げようとしたときに実際どこに効くのかを、気象庁と国の資料をもとに整理しました。あわせて、私たちが「それはできません」とお伝えしていることも正直に書いています。

沖縄の住宅の掃き出し窓に内窓を設置した施工例

沖縄の電気代の話は、本土向けの「窓の断熱」記事とかみ合わない

本土向けの窓リフォームの記事は、たいてい「冬に暖房の熱が逃げるのを防ぐ」ことを中心に書かれています。暖房費が家計に占める割合が大きい地域では、それが正しい説明です。

ところが沖縄では、暖房をほとんど使いません。そのぶん電気代の山は冬ではなく夏から秋にかけて来ます。つまり沖縄の場合、「熱を逃がさない」より「熱を入れない」ほうが電気代に効くという、順番の違いがあります。

この違いは感覚の話ではなく、国の基準にもはっきり表れています。順番に見ていきます。

那覇では1年のうち7か月、冷房が要る暑さが続きます

気象庁が公表している那覇の平年値(1991〜2020年の30年平均)を見ると、日最高気温の月平均が25℃を超える月は、5月(27.0℃)・6月(29.8℃)・7月(31.9℃)・8月(31.8℃)・9月(30.6℃)・10月(28.1℃)・11月(25.0℃)の7か月あります。

同じ条件で東京を見ると、6月・7月・8月・9月の4か月です。単純に比べて、沖縄は冷房が必要になる期間が1.7倍以上長いことになります。年平均気温も那覇23.3℃に対して東京15.8℃と、7℃以上の差があります。

湿度と日射も見ておきます。那覇の年平均相対湿度は73%、梅雨どきの6月は83%。全天日射量は7月が20.9MJ/㎡で年間で最も多く、7月の日照時間は227.0時間です。7月の日最低気温の平均は27.0℃で、夜になっても外気があまり下がりません。

「日中は暑いが夜は涼しい」という前提が沖縄では成り立ちにくい、ということです。夜のあいだも窓のガラスは外の熱を室内側へ伝え続けます。エアコンが夜通し動く家が多いのは、住んでいる方の使い方の問題ではなく、外の条件がそうさせている面が大きいと考えています。

出典:気象庁「過去の気象データ検索 平年値(1991〜2020年)」那覇・東京

国の省エネ基準は、沖縄にだけ「断熱の基準」を置いていません

住宅の省エネ基準では、全国を気候によって1〜8地域に分けています。沖縄県は最も暑い8地域です。

ここが大事なところなのですが、8地域には外皮平均熱貫流率(UA値)の基準値が定められていません。UA値は「熱の伝わりにくさ=断熱性能」の指標です。1地域から7地域まではすべて数値が決められているのに、8地域だけが「―」になっています。

代わりに8地域で定められているのが、冷房期の平均日射熱取得率(ηAC)です。これは「太陽の日射がどれだけ室内に入りやすいか」の指標で、8地域の基準値は6.7。値が小さいほど日射が入りにくく、遮蔽性能が高いことを表します。

さらに、この基準づくりに使われた国の試算モデルでは、8地域だけ暖房設備が設定されていません。冷房設備のみです。国の側も、沖縄の住宅の冷暖房は実質的に冷房だけ、という前提で計算しているということになります。

ここから読み取れることは、はっきりしています。沖縄で窓に手を入れるなら、まず考えるべきは断熱ではなく日射をどう減らすかです。本土向けの記事が「とにかく断熱性能の高い窓を」とすすめているのを、そのまま沖縄に当てはめるのは適切ではありません。

出典:国土交通省 社会資本整備審議会 建築分科会・建築環境部会・建築基準制度部会 合同会議 資料(令和3年10月4日)

夏に部屋へ入ってくる熱の73%は、窓とドアから入っています

では、その日射はどこから入ってくるのか。一般社団法人 日本サッシ協会がまとめた資料によると、従来の窓(アルミサッシ+単板ガラス)が入った住宅では、夏の冷房時に入ってくる熱のうち73%が窓やドアなどの開口部からのものだとされています(原典は一般社団法人 日本建材・住宅設備産業協会の資料)。

壁や屋根ではなく、窓です。面積としては家全体のごく一部でしかない窓が、熱の出入りの大半を担っています。

そして、その「従来の窓」は決して少数派ではありません。同じ資料では、国内の住宅約3,600万戸(およそ67%)が単板ガラスのみの窓だとされています。アルミサッシ+単板ガラスの窓の熱貫流率(UW値)は6.51W/㎡・Kで、これは高断熱窓のおよそ7倍にあたる数字です。沖縄でも、築年数の経ったお住まいではアルミサッシに単板ガラスという組み合わせが今も主流です。

出典:一般社団法人 日本サッシ協会「快適な住まい情報室 REPORT #01」(2025年7月3日)

室内のエアコン。窓から入る熱が多いとエアコンの稼働時間が延びる

電気代のどこが減るのか|沖縄電力の料金の内訳から考える

沖縄電力の説明によると、一般的なご家庭の電気料金は次の4つで構成されています。

  • ①基本料金(最低料金)……使用量に関わらずかかる部分
  • ②電力量料金……電力量単価 × 使用量(kWh)
  • ③燃料費等調整額……燃料費調整単価 × 使用量(kWh)
  • ④再生可能エネルギー発電促進賦課金……国が定める単価 × 使用量(kWh)

ここで注目していただきたいのは、②③④の3つがすべて「使用量(kWh)を掛け算する」形になっていることです。つまり、使う電気の量が減れば、電力量料金だけでなく燃料費等調整額も再エネ賦課金も同時に減ります。

③の燃料費等調整額は、原油・LNG・石炭といった燃料の価格によって毎月変わるもので、こちらでコントロールできるものではありません。世界の燃料価格が上がれば、こちらの使い方が変わらなくても請求は増えます。だからこそ、自分の側で動かせる数少ない変数が「使用量」だということになります。

窓に手を入れる意味は、まさにここです。エアコンが冷やさなければならない熱の量そのものを減らすことで、使用量を下げる。契約プランの見直しは単価に効きますが、窓は使用量に効きます。どちらか一方ではなく、両方を見ていただくのがよいと思います。

出典:沖縄電力「電気料金のしくみ」

「何円下がります」と言えない理由を、正直に書きます

窓リフォームの広告では「年間◯万円お得」「室温が◯℃下がる」といった数字をよく見かけます。私たちはこの手の数字を、沖縄のお客様に対しては出さないようにしています。理由を説明させてください。

先ほどの日本サッシ協会の資料には、光熱費削減額の目安として、戸建住宅ですべての窓を高断熱窓に改修した場合、概ね年2.2〜2.7万円程度という試算が載っています。ただしこれは6地域(関東〜九州)の試算です。沖縄は8地域ですから、この数字はそのまま当てはまりません。同じ資料自体も「モデル住戸を基にした試算であり実績値ではない」と断っています。

加えて、実際の削減幅は、窓の向きと大きさ、庇やベランダの有無、隣の建物や樹木で日射がさえぎられているか、建物がRC造か木造か、何階か、エアコンの機種と設定温度、ご家族の在宅時間——こうした条件で大きく変わります。同じ間取りのマンションでも、角部屋と中住戸では違います。

ですので、私たちは金額や温度の数字を先にお約束することはしません。現地を見せていただいたうえで、この窓なら何が起きているか、手を入れるとどこが変わるかを、正直にお伝えします。効果が薄いと思えば「この窓はやらなくていいです」と申し上げます。

窓でできることの順番|①日射を止める ②熱の伝わりを鈍らせる ③すき間を減らす

窓から入ってくる熱は、実は性質の違う3つに分けられます。沖縄ではこの3つの優先順位が本土と違います。

①日射(太陽の光そのものが持ち込む熱)——ガラスを通り抜けて、床や家具に当たって熱に変わります。沖縄で最も大きいのがこれです。前に述べたとおり、国の基準が8地域に課しているのもこの項目です。

②熱伝導(外気の熱がガラスとサッシを伝わってくる)——夜間や曇りの日でも起きます。アルミサッシは熱をよく通すので、日が落ちてもサッシ枠がぬるい、という現象が起きます。

③すき間からの空気の出入り——古いサッシほどここが効いてきます。せっかく冷やした空気が逃げ、湿気を含んだ外気が入ってきます。湿度が高い沖縄では、体感温度への影響も小さくありません。

遮光カーテンやすだれは①にだけ効きます。ガラスフィルムも主に①です。内窓(二重窓)は、ガラスの選び方しだいで①に効かせつつ、空気層ができるので②にも、締め切ったときの気密が上がるので③にも同時に効きます。ここが、他の方法との一番の違いです。

沖縄の住宅に内窓を取り付けた施工写真

遮熱タイプと断熱タイプ、沖縄ではどちらを選ぶか

内窓に入れるガラスには、大きく「遮熱タイプ(日射遮蔽型Low-E複層ガラス)」と「断熱タイプ(日射取得型Low-E複層ガラス)」があります。名前が似ているので混同されがちですが、役割が逆です。

  • 遮熱タイプ……日射を室内に入れにくくする。夏の暑さ対策向き
  • 断熱タイプ……日射をある程度取り込みつつ熱を逃がしにくくする。冬の寒さ対策向き

本土では「南向きの窓は冬の日射を取り込みたいから断熱タイプ」という選び方が定石です。しかし沖縄では、冬に日射を取り込みたい場面がほとんどありません。那覇の1月の日最高気温の平年値は19.8℃で、暖房が要る日は限られます。

ですから沖縄では、多くの場合遮熱タイプが第一候補になります。とくに東・西・南に面した窓、そして西日を受ける窓です。ただし、これも窓ごとに見る必要があります。北向きで直射がほとんど当たらない窓や、隣家でずっと影になっている窓は、遮熱タイプにこだわる意味が薄くなります。窓ごとに条件が違うので、一律に決めずにご相談ください。

フィルム・すだれ・遮光カーテンとの違い

「沖縄 電気代 窓」で検索すると、ガラスフィルムの施工店がたくさん出てきます。フィルムがまったく効かないということはありません。日射を減らすという一点では、確かに効果があります。費用も内窓より抑えられます。

正直に申し上げると、予算が限られていて、しかも狙いが「日中の日射だけ」なのであれば、フィルムという選択は合理的です。私たちがフィルムを否定することはありません。

一方で、フィルムやカーテンでは変わらないものもあります。夜になってもサッシとガラスから伝わってくる熱、古いサッシのすき間から入ってくる湿った空気、そして外の音です。この3つが気になるのであれば、内窓のほうが向いています。逆に言えば、この3つが気にならないお住まいなら、内窓でなくても構いません。

なお、窓の外側にすだれやオーニングを付けて日射をガラスに当てる前にさえぎるのは、費用対効果の高いやり方です。内窓と併用していただいても問題ありません。

内窓が向いている家、向いていない家

向いていると考えているのは、次のようなお住まいです。

  • アルミサッシ+単板ガラスのままの窓が残っている
  • 東・西・南に大きな窓がある、または西日が強く入る
  • エアコンをつけてもなかなか設定温度まで下がらない部屋がある
  • 夜、エアコンを止めるとすぐ暑くなる
  • マンションの高層階で、外側のサッシに手を入れられない

逆に、あまりおすすめしない場合もあります。すでに複層ガラスが入っていて日射も庇でさえぎられている窓、めったに人がいない納戸や廊下の小窓、外窓のサッシ自体が傷んで雨が入ってきている窓などです。最後のケースは、内窓を足す前に窓のカバー工法で外窓そのものを直したほうがよいことがあります。

また、内窓には開け閉めの手間が二重になるというデメリットがあります。毎日何度も出入りする掃き出し窓では、これを負担に感じる方もいらっしゃいます。実際の窓を見ながら、どの部屋から手を付けるかを一緒に考えさせてください。内窓に関するQ&Aにも、よくいただくご質問をまとめています。

電気代のほかに、音や湿気が気になる場合

内窓を入れると、電気代以外の変化を感じられる方が多くいらっしゃいます。もともと防音を目的に内窓をご検討される方も少なくありません。とくに基地や飛行場の近くにお住まいの場合は、沖縄の基地・航空機騒音の防音対策のページで、住宅防音工事との関係も含めて整理しています。

ただし、防音効果を何デシベル下がる、という形でお約束することはしていません。建物の構造や窓以外の隙間の状態で結果が変わるためです。この点も、現地を見せていただいたうえで正直にお伝えします。

マンションで内窓を検討するときの注意点

沖縄はRC造の集合住宅が多い地域です。マンションの窓サッシは共用部分にあたるため、外側のサッシを勝手に交換することはできません。一方、内窓は室内側に取り付けるものなので、専有部分の工事として扱われるのが一般的です。高層階でも足場が不要で、1窓あたり数時間で取り付けが終わります。

ただし、管理規約で内窓の設置に承認が必要と定めている管理組合もあります。着工前に管理規約を確認し、必要であれば申請書類をご用意します。この部分は私たちが代わりに作成することもできますので、遠慮なくお申し付けください。

玄関ドアも同じく共用部分ですが、集合住宅向けの玄関ドアのカバー工法という方法があります。戸建の場合は玄関ドアのカバー工法(戸建)をご覧ください。

沖縄のマンションの居室に内窓を設置した施工写真

補助金を使えるかどうかで、判断はかなり変わります

窓の工事は、国の補助制度の対象になることがあります。制度を使えるかどうかで実際のご負担が大きく変わりますので、検討の順番としては「補助金が使えるか」を先に確認するのが現実的です。

現在の制度の内容や対象の条件は先進的窓リノベ2026に関して(沖縄)にまとめています。制度全般については補助金に関してをご覧ください。

補助制度は年度ごとに条件が変わり、予算の消化状況によって受付が早く終わることもあります。使えるかどうかの判断は、その時点の最新の要領で確認させていただきます。工事費そのものの目安は料金に関してに掲載しています。

窓に手を入れる前に、確認しておきたいこと

電気代が気になるとき、窓の工事はいちばん最後の手段でかまいません。先にお金をかけずにできることがあります。

  • エアコンのフィルターと室外機……フィルターの目詰まり、室外機の前をふさぐ荷物、直射日光を浴び続ける室外機。どれも効率を落とします
  • エアコンの年式……古い機種のままなら、買い替えのほうが先に効くことがあります
  • 契約プランと契約先……使用量ではなく単価に効く見直しです。沖縄電力の料金メニューや他社との比較を一度確認する価値があります
  • カーテン・すだれ……日射の入る窓に何もかかっていないなら、まずここから

これらを試したうえで、それでも特定の部屋だけ冷えない、夜に暑さが戻る、という状態が残るのであれば、窓を疑う段階に来ています。私たちも、お問い合わせをいただいた際にはまずこのあたりを伺うようにしています。

私たちにできないこともお伝えしておきます

正直に書いておきます。私たちは窓と玄関ドアの専門店です。次のようなご相談には、お応えできません。

  • エアコン本体の修理・クリーニング・入れ替え
  • 壁や屋根、天井裏の断熱工事
  • 電力会社の切り替え手続きや、料金プランの代理選定
  • 太陽光発電や蓄電池の設置
  • 屋根の遮熱塗装

これらは、それぞれの専門の会社に相談されたほうが確実です。窓に手を入れれば電気代のすべてが解決するという書き方は、私たちはしたくありません。窓は要因のひとつであって、全部ではないからです。

まずは、いちばん困っている部屋をひとつ教えてください

施工エリアと、ご相談の流れ

沖縄本島全域で施工しています。那覇市浦添市宜野湾市沖縄市うるま市をはじめ、各市町村ごとのページもご用意しています。

実際の仕上がりは施工写真集でご確認いただけます。ご相談からお引き渡しまでの進み方はご利用の流れにまとめています。

家じゅうの窓を一度に手を入れる必要はありません。実際、いちばん日射を受けている部屋の窓だけ先に変えて、効果を確かめてから次を考える、という進め方をされる方が多いです。

沖縄は冷房が7か月動く地域で、窓から入る熱が住宅全体の7割を占めます。裏を返せば、窓は手を入れる価値のある場所だということでもあります。ただ、どの窓にどれだけ効くかは、その家を見なければ分かりません。

お見積りと現地調査は無料です。「うちの場合はどうか」を知りたいという段階でも構いませんので、お問合せからお気軽にご連絡ください。効果が薄いと判断した場合は、その旨も正直にお伝えします。