台風が過ぎたあと、窓を開けようとしたら動きが重い。レールに砂がたまっている。サッシの角に白っぽいものが付いている。網戸がざらついている。そんな場面から、この記事は始まります。

沖縄では、窓まわりの汚れ方が本土とは少し違います。海が近いこと、台風が来ること、雨の多い時期があること。どれも窓のお手入れに関わります。ただ、「いつ、何を、どのくらいすればいいのか」を、まとめて書いた資料は多くありません。

この記事では、日本サッシ協会、YKK AP、LIXILが公開しているお手入れの案内を読み、確認できた範囲を、沖縄の一年に当てはめて整理しました。メーカーの案内に書かれていない頻度や数字は、書いていません。

沖縄の窓は、なぜ汚れやすく傷みやすいのか

日本サッシ協会は、アルミサッシのお手入れについて、汚れを長く放置するとしみや腐食の原因になると案内しています。そして、海岸地帯や交通量の多い道路沿いでは、塩分や排気ガスによるしみや腐食が進みやすいため、手入れの頻度を多めにするよう書いています。LIXILのアルミ製品の案内にも、海岸地帯では塩分による汚損が進みやすいので、こまめに手入れするという趣旨の記載があります。

沖縄は島です。海からの距離に差はあっても、風に乗った塩分が窓に届く場面は、本土の内陸より多いと考えるのが自然です。ここは一般的な考え方で、距離ごとの数値は、確認できる資料がありませんでした。

もうひとつは湿気です。気象庁の平年値(1991〜2020年)で、那覇の湿度は1月が66%、6月が83%、7月が78%、年平均が73%です。湿度の高い時期が長く、窓やレールは濡れたり乾いたりを繰り返します。

住まいの事情もあります。令和5年住宅・土地統計調査(沖縄県結果の要点、令和7年3月)では、沖縄の住宅は非木造が96.5%、共同住宅が60.9%、借家が50.7%です。窓が鉄筋コンクリートの建物に付いていることが多く、賃貸や集合住宅も多いので、「自分で触ってよい範囲」を考えておく必要があります。これは後ほど書きます。

台風の被害そのものについては台風と窓の対策、塩分の影響については沖縄の塩害のページもご覧ください。この記事は、日々のお手入れに絞ります。

公式案内が示す、基本のお手入れ

メーカーの案内で、共通して確認できたことを整理します。

洗剤と手順

日本サッシ協会のアルミサッシのお手入れ案内では、手順は次のとおりです。

  1. 砂やほこりを、先に取り除く
  2. やわらかい布かスポンジを水で濡らして、洗う
  3. 落ちない汚れは、薄めた中性洗剤でふく
  4. 洗剤が残らないよう水でよく流し、乾いた布で水分をふき取る

LIXILのアルミ製品の案内にも、同じ流れが書かれています。砂やほこりは表面を丁寧に取り、隅は歯ブラシが便利とのことです。一般的な汚れは水で濡らした柔らかい布かスポンジで拭き、ひどい汚れは中性洗剤を薄めた液で落としてから水洗いします。

砂を落としてから拭くのは、大事な点です。YKK APも、砂などが付いたままの布やスポンジで拭くと、キズがつくおそれがあるとしています。

頻度の目安

日本サッシ協会は、お手入れの目安を「年に1〜2回程度」、LIXILも「少なくとも年に1〜2回」としています。どちらも、汚れが軽いうちに手入れするよう案内しています。

ただし、これは海岸地帯でない場所を含めた一般的な目安です。海岸地帯については、どちらも「頻度を多めに」「こまめに」としか書かれていません。何回、という数字は確認できませんでした。

台風については、日本サッシ協会が「台風の後は手入れをする」と書いています。

使ってはいけないもの

公式の案内で避けるよう書かれているものを、まとめます。

種類避けるよう案内されているもの
薬品シンナー・ベンジンなどの有機溶剤、酸性・アルカリ性の洗浄剤、塩素系の薬品(YKK APは、塩素系漂白剤・カビ取り剤とエチルアルコールも)
道具ワイヤーブラシ、金属たわし、たわし、メラミンスポンジ(アルミ部分)、サンドペーパー、クレンザー(LIXIL)
水のかけ方ホースや高圧洗浄機で勢いよくかけること(室内側に水が入るおそれ)。電動部品に水をかけること

出典:日本サッシ協会「アルミサッシのお手入れ方法」、LIXIL「お手入れ・お掃除方法 アルミ製品」

台所用の塩素系カビ取り剤を窓に使いたくなる場面があります。YKK APは、変色のおそれがあるとして避けるよう書いています。付着したときは、すぐに洗い流すよう案内されています。

網戸とレール

LIXILの網戸の案内では、通常の網戸は、取り付けたまま布やブラシでホコリを取るか、軽く水拭きします。網を水洗いしたときは、乾いてから取り付けます。取り外した網戸を戻すときは、はずれ止めをかけるよう注意書きがあります。

レールについては、LIXILが「掃除機で砂やホコリを吸い取ってから水拭きし、汚れがひどいときは歯ブラシなど」と案内しています。日本サッシ協会は、下枠レールにたまった砂やゴミをそのまま使い続けると、汚れやキズの原因になり、戸車の破損につながるおそれがあると書いています。

年間お手入れカレンダー

ここからが、この記事の中心です。上記の公式案内を、沖縄の一年に当てはめて並べました。

時期やること公式案内で確認できた根拠
台風の接近が増える前下枠のレールの砂やゴミを取る。気密材(パッキン)のねじれ・縮み・ひび割れ・ちぎれを見る。網戸を戻すときは、はずれ止めを確認するレールのゴミは水があふれる原因になりうる/気密材の劣化に注意(YKK AP FAQ)、網戸のはずれ止め(LIXIL)
台風が接近・通過中強い雨風のとき、下枠に水が溜まることがあります。YKK APは「サッシの不具合ではない」としています。吹き込みが気になるときは、下枠に雑巾やタオルを当てておくYKK AP FAQ
台風が過ぎたあと砂やほこり、塩分を落とす手入れをする。手順は上記の「砂を取る→水で洗う→乾いた布で拭く」日本サッシ協会(台風の後は手入れ)
雨の多い時期(梅雨)網戸を洗ったら、乾かしてから取り付ける。水拭きは、固く絞った布で。レールや枠に水をためないLIXIL(網戸・横引きロール網戸の案内)
台風シーズンが落ち着いた頃年1〜2回の手入れの1回を、ここに当てる(時期は当店の整理です)。サッシ全体を水洗いし、乾拭きする日本サッシ協会・LIXIL(年1〜2回程度)
年末(大掃除の頃)年に一度、窓・網戸の点検をする。ハンドルのゆるみ、網戸の固定、動きの重さ、気密材の傷みを見る日本サッシ協会「ユーザー点検」(1年に一度程度の点検を案内)

出典:日本サッシ協会(アルミサッシのお手入れ方法、ユーザー点検のお願い)、YKK AP よくあるご質問、LIXIL お手入れ・お掃除方法

台風の前後については、「前」の準備は、公式案内を当店が沖縄の事情に合わせて並べたものです。時期の区切りは、お住まいの建物や海からの距離で変わります。表のとおりに行う必要はありません。

点検のサインと、相談先・直せる範囲

次のような様子が出たら、お手入れの範囲を超えているかもしれません。

動きが重い、閉まりが悪い

YKK APのよくあるご質問では、引違い窓がスムーズに動かない原因として、次の点が挙げられています。

  • 戸車の高さが合っていない
  • 下枠・レールにゴミがたまっている
  • 戸車に傷がある、すり減っている
  • 気密材(パッキン)が経年劣化している
  • 窓枠のレールに傷や変形がある

最初の2つは、掃除や調整で変わる場合があります。後ろの3つに当てはまるときは、同じ案内で、建築会社、施工店、工務店、管理会社、販売店、またはYKK APの修理受付窓口への相談が勧められています。

気密材(パッキン)の傷み

YKK APのご質問では、気密材が経年劣化して、ねじれる、縮む、ひび割れる、ちぎれる、といった状態に注意するよう書かれています。見つけたら、同じ相談先へ相談する流れです。

白い粉・しみ・変色

サッシに白っぽい粉やしみが出ることがあります。ここは正直にお伝えします。「白サビ」という言葉を使った公式のお手入れ案内を、今回は確認できませんでした。確認できたのは、日本サッシ協会やYKK APが「汚れの放置はしみや腐食の原因になる」「早めに洗い落とす」と書いていることです。

まずは、砂を落としてから水で洗い、乾いた布で拭いてください。研磨剤やたわしでこするのは、避けたほうが安全です。洗って落ちない場合や、表面の状態が進んでいる場合は、相談先に写真を見せて聞くのが確実です。

ガラスのひび

ガラスのひびについて、お手入れの範囲で直す方法は、メーカーの案内に見当たりませんでした。一般的には、無理に触らず、専門の業者に見てもらうのが安全です。日本サッシ協会は、サッシやドアに異常があるときは使用せず、建築会社・工務店・管理会社・販売店に連絡するよう案内しています。

相談先の順番

日本サッシ協会の案内では、異常があるときは使用を止めて、建築会社、工務店、管理人(管理会社)、販売店に連絡します。YKK APの案内では、ご自身で調整せずに、取り扱いの建築業者、工務店、販売店、またはお客様相談室に修理を依頼するよう書かれています。

直せる範囲と、交換を考える目安

自分でできる範囲は、掃除と、メーカーが「調整できる」と案内している部分です。たとえば網戸の戸車の高さ調整は、LIXILが引違い網戸で案内しています(網戸が傾いて動きが悪いときなど)。

窓そのものを交換するかどうかの「年数の目安」は、今回確認した範囲では、YKK AP・LIXIL・日本サッシ協会のいずれからも確認できませんでした。そのため、「何年たったら交換」とは、この記事では書きません。戸車の傷み、気密材の劣化、レールの傷や変形、といった状態を、販売店や施工店に見てもらい、直せるかどうかを聞くのが筋です。

お手入れでは解決しないこと、窓を変える場合

お手入れで変えられないことを、正直に書きます。

  • 結露やカビ:掃除で拭き取ることはできます。ただ、原因は室内の湿気や、窓の断熱の状態にあることが多く、拭くだけでは繰り返すことがあります。結露・カビのページで整理しています。
  • 動きの悪さ:レールや戸車が傷んでいる場合は、掃除では戻りません。部品の交換や調整の範囲です。
  • 塩分の影響:洗って落とせるのは、表面についた分です。表面の傷みや腐食が進んだ部分は、元に戻せないことがあります。

窓まわりで変える選択肢は、いくつかあります。窓の外側の枠やガラスを取り換えるカバー工法、今の窓の内側に窓を足す内窓などです。ただし、内窓には向かない場合もあります。内窓のデメリットも、あわせて読んでください。

お手入れを続けても気になる症状が戻る場合や、建物の古さが気になる場合に、初めて検討する選択肢です。「お手入れしたのに直らないから窓を替える」と急ぐ必要はありません。

賃貸・マンションの場合

沖縄は借家が多い地域です。賃貸で窓のお手入れをするときに、気をつけたいことがあります。

  • 掃除や、洗剤での拭き取りは、通常の使い方の範囲です。ただし、取り外しや部品の調整は、建物の所有者や管理会社が持ち主の設備です。勝手に触らず、管理会社に確認してください。
  • 動きが悪い、パッキンが傷んでいる、といった不具合は、日本サッシ協会の案内でも、管理人(管理会社)に連絡する流れです。ご自身で修理を手配する前に、管理会社へ連絡するのが先です。
  • 窓の交換や内窓の取り付けなど、建物に手を加える場合は、契約書の内容と、管理会社や貸主の承諾が必要になります。退去時の原状回復の扱いも、契約によって異なります。

くわしくは、賃貸の窓リフォームとマンションの内窓のページをご覧ください。

よくあるご質問

台風のあと、すぐに水をかけて洗ってもいいですか

日本サッシ協会は台風の後の手入れを案内していますが、ホースや高圧洗浄機で勢いよく水をかけることは、室内側に水が入るおそれがあるとして避けるよう書いています。砂を取り除いてから、濡らした布やスポンジで洗う方法がよいです。

洗剤は何を使えばよいですか

公式の案内で確認できたのは、薄めた中性洗剤(日本サッシ協会は台所用中性洗剤)です。使用後は洗剤を水で流し、乾いた布で拭きます。酸性・アルカリ性・塩素系の洗浄剤、有機溶剤は、避けるよう案内されています。

海の近くでは、何回洗えばよいですか

メーカーの案内には、「頻度を多めに」「こまめに」という書き方はありますが、回数の数字は確認できませんでした。年1〜2回は、一般の目安です。汚れ方を見ながら、台風の後などに洗う、という考え方になります。

動きが重いとき、潤滑スプレーをかけてよいですか

LIXILは、横引きロール網戸のレール部に市販のシリコンスプレーを塗れると案内しています。ただし、これは網戸の案内です。サッシ全般やほかの部品では、製品によって異なる場合があるため、使う前に製品の取扱説明書を確認してください。

このページで参照した資料

  • 日本サッシ協会「アルミサッシのお手入れ方法」(公式サイト)
  • 日本サッシ協会「ユーザー点検のお願い」(公式サイト)
  • LIXIL「お手入れ・お掃除方法 窓・シャッター アルミ製品」(公式サイト)
  • LIXIL「窓まわり 網戸のお手入れ」(公式サイト)
  • YKK AP「商品の基本のお手入れ方法を教えてください」(よくあるご質問)
  • YKK AP「引違い窓の開け閉めがスムーズにいきません」(よくあるご質問)
  • YKK AP「強風雨時などに、サッシのレール(下枠)に水が溜まります」(よくあるご質問)
  • 気象庁 平年値(1991〜2020年)那覇の月別湿度
  • 令和5年住宅・土地統計調査 沖縄県結果の要点(令和7年3月31日)

現地を見せていただいてから、正直にお伝えします

お手入れで足りるのか、部品の交換で済むのか、窓そのものを考える段階なのか。写真だけでは分からないことがあります。現地調査と見積りは無料です。見せていただいた結果、窓ではなくお手入れや修理で足りると分かれば、そのように申し上げます。気になる窓がありましたら、お問い合わせからご連絡ください。