夕方になると、ベランダ側の大きな窓から日が差し込んで、エアコンをつけても部屋が冷えにくい。夜は外の車や話し声が気になる。留守にするとき、あの大きな窓だけ少し不安になる。足元のレールにはほこりがたまるし、窓そのものも重くて開け閉めがつらい。

掃き出し窓の悩みは、ひとつではないことが多いものです。大きいので、暑さも、音も、視線も、防犯も、いっぺんに弱点になりやすい窓だからです。

このページでは、まず「なぜ掃き出し窓で悩みが重なるのか」を整理します。そのうえで、今日からできること、窓まわりで変えられること、そして窓では解決しないことまで、順に書きます。

なぜ掃き出し窓は悩みが集まりやすいのか

掃き出し窓は、床の近くから天井近くまである、大きな窓です。出入りにも使います。この「大きい」「出入りに使う」「床まで届く」という特徴が、悩みの背景にあります。

窓が大きいほど、外の影響を受けやすい

YKK APの解説記事では、掃き出し窓のデメリットとして、窓のサイズが大きいほど外気の影響を受けやすいことを挙げています。同じ記事では、引違い窓は障子(開け閉めする戸)が重なる部分にすき間ができやすいとも書かれています。音や外気が入りやすい理由のひとつです。

窓全体で見ると、熱の出入りは窓が中心になりやすいことが分かっています。埼玉県の資料(日本建材・住宅設備産業協会の図をもとにしたもの)では、夏は約70%の熱が窓から入り、冬は約60%が窓から出ていくと説明されています。YKK APの調査(アルミサッシ)では、冬の暖房時に50%、夏の冷房時に68%という数字です。調べ方や住まいの条件で数字は変わりますが、「窓は熱の出入りが多い場所」という点は共通しています。

掃き出し窓は、その窓のなかでも面積が大きい窓です。ですから、日が差し込む時間帯の暑さを感じやすいのは自然なことです。

沖縄の事情:強い日射、鉄筋コンクリート、集合住宅

那覇の月平均気温は、気象庁の平年値(1991〜2020年)で7月が29.1℃、年平均が23.3℃です。湿度は6月が83%、年平均が73%。暑さが長く、湿気も多い土地です。

住まいの側にも特徴があります。令和5年住宅・土地統計調査(沖縄県結果の要点、令和7年3月31日)では、沖縄の住宅の非木造は96.5%、共同住宅は60.9%、借家は50.7%です。鉄筋コンクリート造の集合住宅で、ベランダに面した大きな掃き出し窓から日差しを受ける、という住まいが多い、ということです。

日射の強い日に大きな窓から熱が入り、湿った空気が室内にこもる。夜は閉め切ってエアコンを使う。そんな暮らしでは、窓の影響を受けやすくなります。

防犯・視線・音も「大きさ」と「出入り口」から

警察庁の「住まいる防犯110番」のページでは、いずれの住宅の形でも、窓と表出入口(玄関など)からの侵入が非常に多い傾向とされています。一戸建て住宅では、窓が侵入口の1位、ガラス破りが手口の1位とされています。同じページには、通常のガラスであれば、わずか数秒で破壊できるという記載もあります。

また、掃き出し窓は人が出入りできる大きさがあります。一般的には、ベランダや庭に面した場所は人目につきにくいことがあり、そうした場所の窓は注意が必要です。YKK APの記事でも、植木や塀の影など人目につきにくい場所に注意を促しています。

視線も同じです。大きな窓は、外からの視線も入りやすくなります。道路に面した部屋では、カーテンを閉めたままになりがちです。そうすると、せっかくの採光や風通しを活かしにくくなります。

今日からできること

窓を工事する前に、自分でできることがあります。

暑さ:外側で遮り、閉め方と使い方を見直す

  • 日差しは「窓の外」で遮る方が効きやすいです。 YKK APの暑さ対策のページでは、太陽の熱は室内側で遮ってもカーテンやブラインド自体が温まって室温上昇の原因になる、室外側で遮れば熱が入り込みにくくなる、と説明されています。すだれ、よしず、外付けの日よけ、緑のカーテンなどがその例です。
  • ベランダの外側に置けるものを使う。 ベランダ側なら、手すり側にすだれやよしずを立てかける方法もあります。台風のときの扱いも考えて、固定のしかたや、取り外せるかどうかを確かめてから選ぶと安心です。
  • エアコンと併用する。 YKK APのページには、窓まわりの商品だけで室温上昇を防ぎきれるわけではない、エアコンなども併用してほしい、という注意書きがあります。窓対策は、エアコンの負担をやわらげる手段として考えます。
  • 西日の時間帯は、遮る位置を決めておく。 東西の窓は、低い位置の太陽の光が入り込みやすい、とYKK APは説明しています。西日については西日の対策のページもご覧ください。

防犯:無施錠をなくす、補助錠を足す

警察庁のページには、どんなに強固な防犯対策をとっても、無締りでは意味がありません、という注意があります。ごみ出しや、ちょっとベランダに出たときも、窓の鍵を閉める習慣が基本です。

そのうえで、警察庁が挙げている対策は次のとおりです。

  • 不在にするときは、雨戸などを閉める
  • 補助錠を取り付ける
  • 防犯フィルムを貼る
  • 防犯ガラスや面格子、窓シャッターを取り付ける

足元・開け閉め:レールの掃除とお手入れ

足元のレールにほこりや砂がたまると、動きが重くなることがあります。一般的には、まず掃除機やブラシでレールを掃除してみると、動きが変わる場合があります。

それでも動きが重い、閉めてもすき間が見えるといった場合は、窓全体の交換を決める前に、状態を見てもらうのも一案です。

視線:見えにくさと採光のバランス

視線が気になる場合、レースカーテンだけでなく、窓の外側に置けるすだれやブラインド、スリット状のシャッターなど、光や風を残しつつ視線を遮る選択肢があります。YKK APの記事では、スリットタイプのシャッターは採光と通風を保ちつつ視線を遮れると説明されています。

窓まわりで変えられること

自分でできる対策で足りないときに、窓まわりで選べる方法を整理します。条件によって合う方法は変わります。

方法主に変えられること向いている場面気をつけたい点
内窓を付ける暑さ・寒さ、音、結露、すき間今の窓はそのまま使い、室内側に窓を足したい出入りのたびに内窓も開け閉めする。窓枠の条件がある
ガラス交換・ガラスを付け足す日射、視線、防犯、音(ガラスの種類による)窓の枠はそのまま使いたい枠のすき間(引違い窓の重なり部)は残る
カバー工法で窓ごと交換断熱、すき間、開け閉め、防音窓の枠ごと新しくしたい内窓より工事の範囲が広くなる
シャッター・雨戸の後付け防犯、視線、台風への備え外側で守りたい開け閉めの手間、取り付け場所の条件
日よけ(外付け)日射夏の暑さを外で遮りたい台風時の扱い。窓の断熱は変わらない

出典:YKK AP「掃き出し窓のデメリットをリフォームで解決する方法とは?」(2024年10月公開、2026年3月更新)の整理をもとに、当社で加筆。

内窓

今ある窓の室内側にもう一枚窓を付ける方法です。LIXILのページでは、取り付け時間は1窓あたり約60分とされています。ただし、現場の状況で変わるとも書かれています。

効果としては、既存の窓と内窓のあいだの空気層が、断熱や遮音の効果を生みます。埼玉県が内窓を取り付けた施設で測った結果では、結露の時間が減り、室内の上下の温度差がやわらいだとされています。防音については、運営者の「静かになった」という声です。測った数値ではない点は、念のためお伝えしておきます。

詳しい仕組みは内窓とはのページにまとめています。

掃き出し窓ならではの注意

内窓は、掃き出し窓だと次の点を確かめます。

  • 出入りのたびに、内窓も開ける。 外窓と内窓、2枚を開けることになります。毎日の動線に使う窓では、これが手間になることがあります。内窓の戸の重さや、鍵の位置も確認したいところです。
  • 足元のレールの段差。 床まで届く窓なので、下のレールまわりの形が暮らしに直接かかわります。つまずきやすさや、掃除のしやすさは現地で見て決めます。
  • 取り付け面の条件。 LIXILのFAQでは、窓枠の厚みが20mm以上で、有効寸法が40mm以上、傷みや不安定さがなく、取り付け面に段差がないことが条件とされています。引違い窓の場合、必要な窓枠の有効寸法は70mm以上です。足りないときは、ふかし枠を使うこともあります。状況により、補強部材や段差スペーサーを使うこともある、とされています。
  • 外窓の開閉の邪魔にならない位置。 外窓の開閉操作に支障をきたさない位置に取り付ける、と案内されています。
  • 付けられない窓もある。 エアコンや換気扇を取り付けている窓、換気窓付きのFIX窓などは、取り付けられない場合があります。LIXILのページには、テラスドア(出入り用の内窓)は、土間納まりや靴で出入りするような場所への取り付けはできない、との注記もあります。

どの窓にどの形で付けられるかは、現地で窓枠・床・レールを実際に見てから決まります。

ガラスの種類で変えられること

ガラスには、日射を遮りやすいタイプ(遮熱タイプ・日射遮蔽型)があります。YKK APは、東西の窓には遮熱タイプ/日射遮蔽型のガラスをすすめています。一方で、環境省の資料では、選択透過フィルムや熱線反射ガラスなどを使うと、冬に室内へ入る日射熱が減って、暖房負荷が増えるデメリットがあると書かれています。フィルムの考え方は遮熱フィルムと内窓の違いで比べています。

カバー工法と内窓、どちらがよいか

窓そのものが古く、すき間や動きの悪さが大きい場合は、窓ごと新しくするカバー工法も選択肢です。迷う場合は内窓とカバー工法の比べ方をご覧ください。料金と補助制度は料金のページにまとめています。

窓では解決しないこと

正直にお伝えします。窓を変えても、解決しにくいことがあります。

  • 熱は窓だけから入るわけではありません。 先ほどの数字でいえば、窓以外からも熱は入ります。屋根や壁、ベランダの床の照り返しなども影響します。
  • 夜の音の「音源」が近いとき。 窓から入る音は和らげやすくても、壁や床、換気口、玄関から伝わる音は別の対策が要ります。
  • 鍵を閉めていなければ意味がありません。 警察庁のページのとおり、無締りでは、どんな窓でも意味がありません。窓の性能より、閉める習慣が先です。
  • 湿気そのもの。 結露は窓の温度差が原因のひとつですが、室内の湿気が多いままでは、窓まわり以外にも湿気がこもります。換気や除湿は別に必要です。
  • 出入りが多い窓では、内窓の手間が負担になること。 毎日何度も出入りするなら、内窓の開閉がかえって負担になる場合があります。その場合は、外側の日よけやシャッター、ガラスの交換など、別の方法を検討する価値があります。
  • 窓を閉め切る前提になること。 内窓を付けると、風を通したいときは、2枚とも開ける必要があります。

賃貸・マンションの場合

賃貸の場合、窓の工事は、貸主(大家さん)や管理会社の承諾が必要です。原状回復(退去時に元に戻すこと)の条件も、契約によって違います。まず契約書を確認し、相談してください。置くだけのもの(すだれ、よしず、突っ張り式の日よけなど)なら、承諾が不要な場合もあります。ただし、ベランダは共用部分にあたるため、管理規約を見てから置くのが無難です。

分譲マンションの場合、窓や窓枠は共用部分として扱われていることがあります。LIXILのFAQにも、集合住宅では管理組合等への事前承認が必要な場合がある、との案内があります。詳しくは賃貸の窓対策とマンションの内窓をご覧ください。

迷ったときの見分け方

次の質問に答えてみてください。

  • 暑さで一番困るのは、夕方の西日ですか。それとも一日中ですか。
  • 夜の音は、窓を閉めても聞こえますか。それとも窓を開けたときだけですか。
  • その窓は、毎日出入りに使いますか。ほぼ開けない窓ですか。
  • 賃貸ですか。持ち家ですか。分譲マンションですか。
  • 窓まわりの鍵や補助錠は、いつも使えていますか。
  • ベランダ側に、すだれなどを置けますか。

答えの傾向で、考える順番が変わります。たとえば、毎日出入りに使う窓なら、内窓の開閉の手間と、外側の日よけやシャッターを並べて考えます。ほぼ開けない窓なら、内窓が向いているかもしれません。西日の時間だけ困るなら、まず外側で遮る方法から試す価値があります。

よくあるご質問

掃き出し窓に内窓を付けると、出入りが不便になりませんか?

2枚の窓を開けることになるので、手間は増えます。毎日何度も出入りする窓では、内窓の戸の重さ、鍵の位置、足元の段差を現地で確認してから決めるのが安心です。内窓を付けない選択も含めてご相談ください。

掃き出し窓の暑さは、カーテンだけで防げますか?

YKK APの説明では、室内側で遮ってもカーテンやブラインド自体が温まる、とされています。カーテンで光は和らげられますが、熱の入り方は窓の外で遮る方が変わりやすい、と考えられています。カーテンはお使いのまま、外側の日よけを足す方法もあります。

防犯のために、いちばん先にやることは何ですか?

まず、鍵を閉める習慣です。警察庁も、無締りでは意味がありません、と注意しています。そのうえで、補助錠、防犯フィルム、防犯ガラス、面格子、窓シャッター、雨戸などから、窓の状況に合うものを選びます。

賃貸でもできることはありますか?

置くだけの日よけや、跡が残りにくい補助錠などがあります。窓の工事や、ガラスへの貼り付けは、承諾が要る場合があります。貸主や管理会社に確認してください。

このページで参照した資料

  • 気象庁「平年値(1991〜2020年)」那覇の月平均気温・湿度
  • 総務省統計局「令和5年住宅・土地統計調査 沖縄県結果の要点」(令和7年3月31日)
  • 警察庁「住まいる防犯110番」(侵入口・手口・対策のページ)
  • 埼玉県エネルギー環境課「省エネ住宅のすすめ」(日本建材・住宅設備産業協会の図を引用)
  • YKK AP「掃き出し窓のデメリットをリフォームで解決する方法とは?」(2024年10月公開、2026年3月更新)
  • YKK AP「めざそう災害に強い家 暑さ対策」
  • LIXIL「インプラス」商品ページ、LIXIL FAQ「内窓『インプラス』の取り付けについて知りたい」
  • 環境省「選択透過フィルム・ブラインド・熱線反射ガラス等による日射遮蔽」(令和6年3月)

現地を見せていただいてから、正直にお伝えします

掃き出し窓は、お住まいの向き、窓の傷み具合、床まわりの条件、毎日の出入りの多さで、合う方法が変わります。内窓がよい場合もあれば、外側の日よけやシャッター、カバー工法のほうが合う場合もあります。窓ではなく、別の原因だと分かったら、そのように申し上げます。

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