「暑さや騒音がつらいけれど、うちは賃貸だから内窓なんて無理だろう」。沖縄で窓のご相談をいただくなかで、いちばん多い思い込みがこれです。お電話口でご自分から「あ、賃貸なのでダメですよね」と言って切ろうとされる方もいらっしゃいます。
結論からお伝えします。賃貸のお住まいでも内窓は設置できます。実際に当店は、アパート・マンションにお住まいの方から内窓のご依頼をいただいています。ただし、持ち家とは進め方の順番が違います。そして、その順番を飛ばすと、退去のときにお金の話でもめる可能性があります。
このページでは、民法や借地借家法の条文、国土交通省のガイドライン、環境省の補助金事業の公式要件といった一次情報をもとに、賃貸で内窓を付けるときに何をどの順番で確認すればよいのかを整理しました。あわせて、当店にできないこと・お約束できないことも正直に書いています。

沖縄は「借りて住む」人のほうが多い県です
まず、沖縄の住まいの前提を数字で見ておきます。令和5年住宅・土地統計調査(沖縄県企画部統計課がまとめた県結果の要点)によると、沖縄県の持ち家住宅率は42.6%で、全国で一番低い数字です。50年前の1973年は68.2%でしたから、半世紀で25.6ポイント下がったことになります。
一方で借家住宅率は50.7%。戸数にすると317,800戸で、持ち家の267,100戸を上回っています。全国平均の借家率が35.0%ですから、沖縄は借家の割合がきわだって高い県です。さらに、住宅の建て方では共同住宅が60.9%と東京都に次いで全国2位、構造は非木造が96.5%(うち鉄骨鉄筋コンクリート造が93.8%)となっています。
つまり沖縄では、「借りて住んでいる」方が多数派です。持ち家ではないからと窓の悩みを諦めている方も、それだけ多いということになります。
結論:付けられます。ただし順番を飛ばさないでください
賃貸で内窓を付けるときの正しい順番は、次の3つだけです。
- 賃貸借契約書を読んで、模様替え・造作の設置についてどう書かれているかを確認する
- 大家さん(または管理会社)に、何をどこに付けたいかを具体的に伝えて承諾をもらう
- 承諾の内容を書面に残してから、工事の日取りを決める
順番を逆にして、先に工事をしてしまうのがいちばんまずいパターンです。無断で手を加えたとなると、契約違反を問われる可能性がありますし、後述する制度も使えなくなります。逆に言えば、この3つさえ踏んでおけば、賃貸だからという理由で内窓を諦める必要はありません。
賃貸で内窓を付ける3つのルート
①入居者さまの費用で付ける(承諾が前提)。いちばん多いかたちです。費用はご自身の負担になりますが、後述のとおり補助金を使える場合があります。
②大家さんの費用で付けてもらう。建物の資産価値が上がる工事なので、大家さんにとっても悪い話ではありません。当店から大家さんへ直接お見積りをお出しすることもできます。この場合、入居者さまの持ち出しはありません。
③ビス穴を開けない簡易タイプをご自分で置く。突っ張り式や置くだけのアクリル製品が市販されています。穴は開きませんが、断熱や遮音の性能はきちんとした内窓とは別物です。当店が扱うのは②までです。
「原状回復」は、借りた当時の状態に戻すことではありません
賃貸で何かを取り付けるとき、必ず出てくるのが「原状回復」という言葉です。ここが誤解されたままだと話は前に進みません。
民法第621条(賃借人の原状回復義務)は、賃借人が戻す義務を負うのは「賃借物を受け取った後にこれに生じた損傷」であり、そこから「通常の使用及び収益によって生じた賃借物の損耗並びに賃借物の経年変化を除く」と定めています。国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)」も、そのポイントの冒頭で「原状回復は、賃借人が借りた当時の状態に戻すものではないということを明確にし」と書いたうえで、原状回復を「賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損を復旧すること」と定義しています。
ここで大事なのは、内窓の設置は「損傷」ではなく「付加」だという点です。壊したのではなく、足したのです。ですから原状回復のルールをそのまま当てはめる話ではなく、「退去のときに外して持ち帰るのか、置いていくのか」を最初に決めておく話になります。この一点さえ入口で決めておけば、もめる要素はほとんどなくなります。

内窓の取り付けで開けるビス穴は、どう扱われるのか
内窓は、窓のまわりにある木枠(額縁)にビスで枠を固定して取り付けます。壁を壊すことも、外側のサッシに触ることもありません。ですが、木枠にビス穴は残ります。ここが賃貸で唯一ひっかかるところです。
国交省ガイドラインの別表では、壁の穴について「画鋲、ピン等の穴(下地ボードの張替えは不要な程度のもの)」は賃貸人負担、「重量物をかけるためにあけたもので、下地ボードの張替えが必要な程度のくぎ穴・ネジ穴」は賃借人負担と整理されています。内窓のビス穴はこの中間で、木枠に開く小さな穴です。大家さんの承諾を得て付けたものであれば、そもそも「通常の使用を超えた使用」には当たらないと考えるのが自然です。だからこそ、承諾が要になります。
なお、退去時に撤去する場合は、当店で取り外して木枠の穴を目立たないように処理できます。ただし木の色や年数によっては跡が完全には消えないこともあります。ここは正直にお伝えしています。
内窓は法律上「建具」――造作買取請求権という制度があります
あまり知られていませんが、借地借家法には賃借人を守る制度が用意されています。第33条(造作買取請求権)は、次のように定めています。
建物の賃貸人の同意を得て建物に付加した畳、建具その他の造作がある場合には、建物の賃借人は、建物の賃貸借が期間の満了又は解約の申入れによって終了するときに、建物の賃貸人に対し、その造作を時価で買い取るべきことを請求することができる。
借地借家法 第33条第1項(e-Gov法令検索)
条文にはっきり「建具」と書かれています。内窓はまさに建具です。つまり、大家さんの同意を得て取り付けた内窓は、退去のときに「時価で買い取ってください」と請求できる可能性があるということです。ここでも効いてくるのが「同意を得て」という条件で、無断で付けた場合はこの請求権が発生しません。
ただし、造作買取請求権は特約で外せます
ここは期待させたままにしたくないので、はっきり書きます。造作買取請求権は特約で外すことができます。
借地借家法第37条は強行規定(当事者の合意より法律が優先される規定)を定めていますが、そこに挙げられているのは第31条・第34条・第35条の3つだけで、第33条は入っていません。したがって「造作買取請求権を放棄する」という特約は有効です。実際、多くの賃貸借契約書にはこの放棄条項が入っています。
ですから「買い取ってもらえるはず」と当てにするのではなく、契約書で放棄条項の有無を確かめてから大家さんと話すのが正解です。放棄条項があっても、大家さんが「置いていってくれるなら助かる」と言えばそれで済みます。制度は交渉の材料であって、切り札ではありません。
民法第608条第2項の「有益費の償還請求」を持ち出す考え方もありますが、内窓は取り外せる独立した建具で、建物と一体になる(民法第242条の付合)とは限りません。いずれにせよ、退去時の扱いを先に書面で決めておけば、この手の法律論に立ち入る必要はなくなります。
大家さん・管理会社への切り出し方
「言いづらい」というお声をよくいただきますが、伝える中身を具体的にすると、驚くほどすんなり通ります。次の5点をそろえてご相談ください。
- どの部屋のどの窓に付けたいか(例:南向きの寝室の腰窓1か所)
- 壁は壊さず、既存のサッシにも触らず、窓の内側の木枠に取り付けること
- 費用は誰が負担するか
- 退去時に、外して持ち帰るのか・そのまま置いていくのか
- 施工するのは誰か(当店の会社名・許可番号をお伝えできます)
大家さんが気にされるのは、たいてい「建物が傷まないか」と「退去のときにどうなるのか」の2つだけです。お見積書と製品のカタログをそのままお渡しいただいて構いません。ご希望があれば、当店から管理会社さまへ直接ご説明することもできます。ご相談から施工までの流れもご説明します。
承諾は必ず書面で。口約束は退去時に消えます
ここがいちばん大事です。「いいですよ」と電話で言われただけ、というのがいちばん危ない状態です。担当者が変わる、大家さんが代替わりする、建物が売却されて所有者が変わる。数年住むあいだに、こうしたことは実際に起こります。
メール1通でも構いません。「◯◯号室の寝室の窓に内窓を設置すること、費用は入居者負担、退去時は現状のまま残置とすることを承諾します」といった一文が残っていれば十分です。国交省ガイドラインも、原状回復のトラブルは「出口」ではなく「入口」の問題としてとらえ、入居時・工事時に書面で条件を確認しておくことを繰り返し勧めています。

補助金は、借りている方でも使えます
国の「先進的窓リノベ2026事業」の公式サイトで、補助対象となる「住宅の所有者等」として挙げられているのは次の4つです。
- 住宅を所有する個人またはその家族
- 住宅を所有し、賃貸に供する個人または法人
- 賃借人
- 集合住宅の管理組合・管理組合法人
3番目にはっきりと「賃借人」と書かれています。借りて住んでいる方ご本人が補助対象者になれるということです。ただし、補助金の申請は一般の方が直接おこなうことはできず、事務局に登録された「窓リノベ事業者」が代わりに申請して補助金を還元する仕組みです。当店は登録事業者ですので、申請の手続きはこちらで承ります。
もちろん、補助金の対象になることと、大家さんの承諾が要ることは別の話です。補助金が使えるからといって、承諾なしに工事を進められるわけではありません。順番はあくまで、承諾が先です。
予算にも限りがあります。公式サイトの発表では、予算に対する補助金申請額の割合は2026年8月24日午前0時時点で19%。この数字は毎日更新され、100%に達した時点で受付終了となります。詳しくは先進的窓リノベ2026に関して(沖縄)と補助金に関してのページにまとめています。
大家さんにとっての利点も、正直にお伝えします
「自分が得をしたいだけ」に聞こえてしまうと話は通りにくくなります。大家さん側から見た利点も添えてください。
ひとつは、退去後もその設備が建物に残ること(残置とする場合)。次の募集で「内窓付き」と書ける部屋になります。もうひとつは、入居者さまが長く住んでくれること。沖縄県の借家(専用住宅)の1か月あたり家賃は平均49,379円、民営借家(非木造)では52,746円ですから、空室が1か月減るだけでも小さくない額です。
大家さんご自身のご負担で複数戸まとめて施工されるケースもあります。その場合は、大家さんが補助対象者となって補助金を使えます。オーナーさまからのご相談も歓迎しておりますので、お問合せよりお気軽にどうぞ。
分譲賃貸の場合は、管理組合の承認も必要になります
分譲マンションの一室を借りている、いわゆる分譲賃貸の場合は、確認先が2つになります。部屋の所有者(貸主)の承諾に加えて、管理組合の承認です。
マンションの窓サッシは多くの場合、専有部分ではなく共用部分として扱われます。ただし内窓は窓の内側に新しく設けるものなので、承認が下りるケースがほとんどです。手続きは所有者さまを通じて理事会へ申請する流れになります。申請に必要な図面や工程表は当店でご用意できます。
沖縄は1981年以降に建てられた共同住宅だけで304,000戸(全住宅の48.5%)あります。分譲賃貸にお住まいの方も多いはずですので、契約書と管理規約の両方をご確認ください。
沖縄の賃貸で、内窓が効いてくる場面
沖縄のご相談で多いのは、次のような場面です。
- 午後になると西向きの部屋だけ暑くなる(沖縄の西日対策)
- 冷房を入れているのに部屋が涼しくならない(沖縄でエアコンが効かない原因)
- 冷房期間が長く、電気代がかさむ(沖縄の電気代を窓で下げる方法)
- 幹線道路や航空機の音が気になる(基地・航空機騒音の防音対策)
内窓の仕組みや製品の種類については内窓(二重窓)のページで、費用の目安は料金に関してのページでご確認いただけます。実際の仕上がりは施工写真集にまとめました。よくいただくご質問は内窓に関するQ&Aにあります。

私たちにできないこと、お約束できないこと
できないことも正直に書いておきます。
大家さんとの交渉を、当店が代理することはできません。承諾を取るのはあくまで入居者さまご本人です。当店は、伝えるための材料(お見積り・図面・製品資料・施工方法の説明)をおそろえするところまでをお手伝いします。
「何度静かになる」「何度涼しくなる」といった数値のお約束はしません。建物の構造、階数、窓の向き、周囲の環境で結果は変わります。現地を見せていただいたうえで、どの程度期待していただけそうかを正直にお伝えします。
窓を替えても解決しないことは、その旨をお伝えします。音が壁や換気口から入っている場合など、内窓では届かない相談もあります。そのときは無理にお勧めしません。外側のサッシごと替えたほうがよい場合は窓のカバー工法を、玄関のご相談は玄関ドアのカバー工法(戸建)・同(集合住宅)をご覧ください。ただし賃貸ではいずれも大家さんの工事になります。
まずは、窓を見せてください
賃貸だからと諦めてしまう前に、まずは窓の写真を1枚お送りください。窓のサイズと木枠の状態がわかれば、取り付けられるかどうかと、おおよその費用をお伝えできます。その数字があってはじめて、大家さんに具体的な相談ができます。
那覇市をはじめ沖縄本島全域にお伺いしています(那覇市の内窓・玄関ドアリフォーム)。ご相談・お見積りは無料です。「まだ大家さんに聞いていないのですが」という段階で構いませんので、お問合せフォームよりお気軽にどうぞ。
このページで参照した一次情報
- 民法 第621条・第608条・第242条/借地借家法 第33条・第37条(e-Gov法令検索)
- 国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)」平成23年8月
- 環境省「先進的窓リノベ2026事業」公式サイト(対象要件・予算執行状況/2026年8月24日午前0時時点)
- 沖縄県企画部統計課「令和5年住宅・土地統計調査 沖縄県結果の要点」令和7年3月31日