「うちは分譲マンションだけど内窓は付けられますか」というご相談をよくいただきます。答えを先にお伝えすると、多くの場合は付けられます。ただし、管理組合への申請という一手間が必要になります。
この一手間は思っているほど大変ではありませんが、順番を間違えると余計に時間がかかります。このページでは、国土交通省が公表しているマンション標準管理規約をもとに、沖縄のマンションで内窓を付けるとき何をどの順番で進めればいいのかを整理します。私たちが代わりにできることと、できないことも正直に書きました。

沖縄では、住まいの6割が共同住宅です
沖縄県企画部統計課「令和5年住宅・土地統計調査 沖縄県結果の要点」によると、県内で人が住んでいる住宅627,400戸のうち、共同住宅は381,800戸で60.9%を占めます。この割合は東京都に次いで全国で2番目に高く、全国平均44.9%を16ポイント上回ります。一戸建ては37.4%にとどまります。つまり沖縄では、マンションで窓のリフォームを考えることは例外ではなく多数派の悩みです。
同じ調査で、1981年以降に建てられた共同住宅は304,000戸、県内の全住宅の48.5%にあたります。築30年から40年の分譲マンションが県内に大量にあるということです。この年代の建物は当時の窓の性能がいまの基準より低く、内窓の効果を実感しやすい世代でもあります。
出典:沖縄県企画部統計課「令和5年住宅・土地統計調査 沖縄県結果の要点」(令和7年3月31日公表)
「窓は自分のものではない」という話から始まります
分譲マンションで窓のリフォームが自由にできない理由は、窓が専有部分ではないからです。国土交通省のマンション標準管理規約(単棟型)第7条第2項第三号には「窓枠及び窓ガラスは、専有部分に含まれないものとする」とあります。玄関扉も同じで、専有部分は錠と内部塗装部分だけです。
マンションは外から見たときにひとつの建物ですから、住戸ごとに窓の色や形が違っては困る、という考え方です。そのうえで同規約第14条と別表第4は、窓枠・窓ガラス・玄関扉について、その住戸の区分所有者が排他的に使える「専用使用権」を認めています。所有はしていないけれど、自分だけが使える。この少しややこしい関係が、窓のリフォームの話をわかりにくくしています。
それでも内窓が付けられるのは、内窓が「足す窓」だからです
ここが大事なところです。内窓は、いまある窓を交換する工事ではありません。いまある窓はそのまま残して、その内側の室内側に、新しい窓をもう一枚取り付ける工事です。取り付ける先は窓枠の内側、室内に面した部分になります。
外から見た建物の見た目は変わりません。共用部分である既存のサッシやガラスに手を加えることもありません。だからこそ、外窓の交換にくらべて内窓は承認が下りやすい工事です。
内窓そのもののしくみや、どんな効果が期待できるのかについては内窓(二重窓)のページで詳しくご説明しています。あわせて、実際に取り付けた窓の様子は施工写真集をご覧ください。

標準管理規約は、本当は「管理組合がやる工事」と書いています
意外に知られていないのですが、窓の性能を上げる工事は、標準管理規約のうえでは本来、管理組合が全戸まとめて実施すべき工事とされています。第22条第1項にこうあります。
共用部分のうち各住戸に附属する窓枠、窓ガラス、玄関扉その他の開口部に係る改良工事であって、防犯、防音又は断熱等の住宅の性能の向上等に資するものについては、管理組合がその責任と負担において、計画修繕としてこれを実施するものとする。
国土交通省「マンション標準管理規約(単棟型)」第22条第1項
つまり建て前としては、断熱や防音のための窓の工事は、管理組合が修繕積立金を使って全戸に対してやるものです。個人が自分の部屋だけ先にやるのは、続く第2項の例外ルートにあたります。
第2項は、「管理組合が前項の工事を速やかに実施できない場合には、あらかじめ理事長に申請して書面による承認を受けることにより、当該工事を当該区分所有者の責任と負担において実施することができる」と定めています。ここに条件が書かれていることに気づいていただきたいのです。「管理組合がすぐには実施できない」という状況が前提になっています。
ですから理事長へ出す申請書には、「長期修繕計画に窓の改修が入っていないため」「入っているが実施予定が◯年後のため」といった事情を一行添えておくと、理事会での議論がすんなり進みます。ただ「内窓を付けたい」とだけ書いた申請書より、規約の条文に沿った形になるからです。
決めるのは総会ではなく、理事会であることが多いです
「管理組合の承認が要る」と聞くと、年に一度の総会を待たなければいけないと思われる方が多いのですが、標準管理規約どおりの規約であればそうではありません。
同規約第54条第1項第五号は、第17条・第21条・第22条に定める承認または不承認を、理事会が決議する事項として挙げています。そして第53条第1項によれば、理事会は理事の半数以上が出席すれば開くことができ、議事は出席理事の過半数で決まります。総会のように組合員の4分の3以上といった重い要件はありません。
これは実務上とても大きな違いです。通常総会は毎年1回、新会計年度の開始から2か月以内に開くと第42条第3項にありますから、総会待ちだと最長で1年近く先になることもあります。一方で理事会は多くのマンションで数か月に一度は開かれています。次の理事会がいつかを管理会社か理事長に確認するところから始めるのが、いちばん早い道です。
ただし、これはあくまで標準管理規約どおりの場合です。管理規約はマンションごとに違います。窓に関する条項をあえて厳しくしているマンションもありますし、逆に使用細則で内窓を明示的に認めているマンションもあります。まずはご自宅の管理規約をご確認ください。手元にない場合、標準管理規約第72条第4項では、区分所有者は書面で請求すれば規約原本や使用細則を閲覧させてもらえることになっています。
申請書に添えるのは、設計図・仕様書・工程表の3点です
何を出せばいいのかは、標準管理規約に具体的に書かれています。第22条第3項は第17条第2項を準用しており、その第17条第2項には「設計図、仕様書及び工程表を添付した申請書を理事長に提出しなければならない」とあります。
実際には、次のような書類を求められることが多いです。
- 専有部分修繕等工事申請書(マンションごとの様式があることが多い)
- 工事の仕様書(取り付ける内窓の品番・寸法・色・ガラスの種類)
- 工程表(何日の何時から何時まで、どの作業をするか)
- 製品のカタログ(メーカーの製品ページの写しで足りることがほとんどです)
- 近隣住戸へお配りする工事のお知らせ
- 施工業者の建設業許可証・保険加入証明の写し
なお、承認が要らないとされた工事でも油断はできません。第17条第7項は、工事業者の立入りや資機材の搬入、騒音といった工事中の影響を管理組合が事前に把握する必要がある場合、あらかじめ理事長へ届け出るよう求めています。内窓は半日ほどで終わる工事ですが、資材の搬入でエレベーターを使いますので、この届出は出しておくほうが無難です。
提出書類は私たちが用意します
ここまで読んで「面倒そうだ」と思われたかもしれません。ご安心ください。上に挙げた書類のうち、仕様書・工程表・カタログ・工事のお知らせ・許可証の写しは、すべて私たちが作成してお渡しします。お客様にお願いするのは、マンション所定の申請書にお名前と住戸番号をご記入いただき、理事長へ提出していただくところだけです。マンションごとに様式が違う場合も、規約や使用細則の写しをお預かりできればそれに合わせて作り直します。

申請から工事までは、どのくらいかかりますか
大まかな流れと日数の目安は次のとおりです。理事会の開催間隔はマンションごとに違うため、③で待つ期間がいちばん読めません。
- お問合せ・現地調査とお見積り(ご連絡から数日以内)
- 申請書類一式のご用意(お見積りのご承諾から3営業日ほど)
- 理事長へ提出し、理事会で審議(次の理事会まで待ちます)
- 書面で承認をいただく
- 製品の発注と製作(おおむね2週間から4週間)
- 近隣へのご挨拶と工事(1住戸あたり半日から1日)
ご相談の段階で「まだ理事会に出していないのですが」とおっしゃる方がとても多いのですが、順番としてはそれで正解です。申請書には製品の品番や寸法、工事日程を書く必要がありますから、先に現地調査とお見積りを済ませないと書類が作れません。
補助金を使うなら、申請の順番にご注意ください
2026年は「先進的窓リノベ2026事業」があり、内窓の設置は補助の対象です。マンションの一住戸でも使えます。
環境省の公式サイトによれば、補助金の申請手続きや受け取り、消費者への還元は登録された「窓リノベ事業者」が行うことになっており、一般消費者が直接申請することはできません。また、登録のない事業者との契約は補助対象になりません。私たちは登録事業者ですので、申請はこちらで行います。
気をつけていただきたいのは予算です。公式サイトの表示では、予算に対する補助金申請額の割合は2026年8月19日午前0時時点で18%となっています。予算の上限に達し次第、交付申請の受付は終了します。この数字は毎日更新されており、年末に向けて申請が増える傾向があります。理事会の承認待ちで数か月かかることを考えると、早めに動き出していただくほうが安心です。
補助額や対象製品の条件など、2026年の制度の詳細は先進的窓リノベ2026に関して(沖縄)にまとめています。ほかの補助制度もあわせてお考えの場合は補助金に関してをご覧ください。
出典:環境省「先進的窓リノベ2026事業」公式サイト
賃貸のお部屋にお住まいの場合
沖縄は借家の割合が50.7%、持ち家率42.6%は全国で最も低い県です(令和5年住宅・土地統計調査)。マンションにお住まいでも賃貸というケースが県内では珍しくありません。
この場合、管理組合ではなくお部屋のオーナー様のご承諾が先になります。オーナー様が区分所有者ですので、管理組合への申請もオーナー様のお名前で行います。入居者の方が直接申請することはできません。
実務としては、まず管理会社を通じてオーナー様にご相談いただき、「費用は入居者負担」「退去時に原状回復するかどうか」の2点をはっきりさせておくのが揉めないコツです。内窓は既存の窓を傷めずに取り外せる工事ですので、原状回復を条件に承諾いただける例もあります。
玄関ドアは、窓よりハードルが上がります
内窓とくらべると、集合住宅の玄関ドアの交換はぐっと難しくなります。扉そのものは共用部分であるうえ、共用廊下に面していますから、外観の統一という論点を避けて通れません。
それでも、既存の枠を残したままドアを入れ替えるカバー工法であれば、承認をいただけるマンションもあります。詳しくは玄関ドアのカバー工法(集合住宅)にまとめました。戸建ての場合は玄関ドアのカバー工法(戸建)をご覧ください。

マンションだからこそ効きやすい場面もあります
沖縄の住宅は非木造が96.5%を占め、そのうち鉄骨鉄筋コンクリート造が93.8%です(令和5年住宅・土地統計調査)。壁も床もコンクリートですから、家の中で熱や音の出入り口として残っているのは、ほぼ窓だけになります。木造の家より、窓に手を入れたときの変化を感じやすい構造だと言えます。
ご相談として多いのは次のようなものです。当てはまるものがあればあわせてご覧ください。
- 冷房をつけても部屋がなかなか涼しくならない → エアコンが効かない原因
- 午後になると西向きの部屋だけ暑い → 沖縄の西日対策
- 冷房の期間が長く電気代が気になる → 電気代を窓で下げる方法
- 基地や航空機の音が気になる → 基地・航空機騒音の防音対策
ただし、どのくらい静かになるか、何度下がるかといった数値は、このページでは申し上げません。お部屋の向き、階数、窓の大きさ、いまの窓の状態、周りの環境によって結果がまったく違ってくるからです。現地を見せていただいたうえで、期待できることと期待しすぎないほうがいいことを正直にお伝えします。
私たちにできないこと
最後に、私たちにできないことが3つあります。
ひとつめは、管理組合の承認を取ることそのものです。申請書類は作れますが、理事会に出席して説明したり、理事長に働きかけたりすることはできません。区分所有者であるお客様ご自身が申請者になります。
ふたつめは、理事会が不承認とした場合に覆すことです。管理規約や使用細則で窓の改修を制限しているマンションもあり、その判断は管理組合の権限です。不承認になった場合、私たちにできるのは書類を作り直して再度ご提出いただくところまでです。
みっつめは、管理規約の解釈についての法的な助言です。このページに書いた内容は国土交通省の標準管理規約に基づく一般的な説明であって、お客様のマンションの規約をどう読むかという判断ではありません。規約の解釈で管理組合と意見が分かれた場合は、マンション管理士や弁護士といった専門家にご相談ください。
費用の目安とご相談の窓口
内窓の費用は窓の大きさと枚数、選ぶガラスの種類で変わります。おおよその価格帯は料金に関してに掲載しています。補助金を使った場合の実質のご負担額は、お見積りの際にお示しします。
そのほか、内窓についてよくいただくご質問は内窓に関するQ&Aにまとめました。
ご相談・現地調査・お見積りは無料です。「まだ管理組合に話していないので、通るかどうか見てほしい」という段階のご相談も歓迎します。むしろその段階のほうが、書類の準備まで含めてお手伝いできます。お問合せからお気軽にご連絡ください。
沖縄県内どこでもお伺いします
マンションの多い那覇市や浦添市はもちろん、中部・北部の市町村や離島からのご依頼も承っています。
マンションでは、同じ建物の複数のお宅からご依頼をいただくことがよくあります。一度どなたかの申請が承認されると前例ができるため、二軒目以降は手続きがぐっと早く進みます。お隣やお知り合いで同じお悩みの方がいらっしゃれば、まとめてご相談いただいても構いません。
沖縄の住まいの6割は共同住宅です。マンションだからと諦める必要はありません。まずは今のお困りごとをお聞かせください。