小さなお子さんがいるご家庭で、「窓やベランダから落ちたらどうしよう」と気になる方は多いと思います。この記事では、国や東京都などの公開資料で確認できたことを元に、家庭でできる備えと、窓まわりで変えられること・変えられないことをまとめました。
先にお伝えしたいのは、窓の工事だけで事故をなくせるわけではない、ということです。環境づくりと見守りを組み合わせることが、資料でも基本とされています。必要以上に心配しすぎず、できることから一つずつ進めるための確認用としてお使いください。
子どもの転落は、どんなときに起きているか
まず、公的な調査で分かっていることを整理します。
消費者安全調査委員会(消費者庁に置かれた調査機関)は、令和7年6月24日に調査報告書を公表しました。1993年から2024年までの32年分で、6歳未満の子どもが住宅の窓やベランダから転落して亡くなった事故134件を調べています。
- 転落した場所は、窓が42件、ベランダが92件でした。
- 窓からの転落は1歳が最も多く、ベランダからの転落は3歳が最も多い結果でした。
- 保護者が在宅していたのが65件、不在(短時間の外出を含む)が55件、不明が14件でした。報告書は、在宅か不在かで発生状況に有意な差はみられなかったとしています。
東京消防庁の公表(令和8年4月30日更新)では、管内で令和3年から令和7年までの5年間に、5歳以下の子ども51人が、住宅等の窓やベランダ(1階からの墜落を除く)から墜落して救急搬送されています。令和7年の数値は速報値です。月別では5月が最も多く、次いで10月でした。窓からの墜落が全体の8割以上で、入院が必要な中等症以上が約8割を占めます。2階からの墜落でも、25人が中等症以上と診断されています。
つまり、「低い階だから大丈夫」とは言いにくいことが分かります。
事故の前に、何が起きているか
消費者安全調査委員会の報告書では、事故の多くで、窓の近くに家具があったり、ベランダに普段から物が置かれていたりしたことが確認されています。報告書の図では、窓からの転落死亡事故42件のうち32件で、窓によじ登るための足がかり(ベッド・ソファ、机・タンスなど)が確認されています。ベランダからの転落92件では、足がかりがあったものが67件で、その内訳には持ち運べる物(22件)やエアコンの室外機(8件)が含まれます。
国民生活センターの見守り情報(2023年9月26日)には、次のような事例が紹介されています。3階のベランダから3歳の子どもが転落し、入院した。保護者が1階のポストを見に行った約1分の間のことで、窓は閉めていたが鍵はかけておらず、柵の下に台や植木鉢が置かれていた、というものです。
ここから分かるのは、「ほんの短い時間」「窓は閉めていた」という状況でも起こり得ること、そして足がかりと施錠が関わっていることです。
今日からできること
消費者庁、国民生活センター、東京都、東京消防庁の資料に共通している備えは、次のとおりです。
足がかりになる物を置かない
- 窓やベランダの手すり付近に、椅子・テーブル・ソファ・ベッド・プランターなどを置かない。
- ベランダのエアコン室外機は置き場所に工夫が必要です。東京都の資料(令和8年4月30日)では、柵から60cm以上離すか、上から吊るすなど、設置場所に注意するよう示されています。
手の届かない位置に補助錠を付ける
- ベランダの出入口や窓、網戸に、子どもの手が届かない位置で補助錠を付けます。換気のときも同様に、とされています。
窓枠・網戸に近づけない
- 窓枠や出窓に座らせない、窓や網戸に寄りかからせない。東京消防庁の事例には、5歳の子どもが2階の窓の網戸に寄りかかって遊んでいて、網戸が外れて墜落したものがあります。網戸は、子どもを支えるためのものではない点に注意が必要です。
見守りと、日ごろの声かけ
- 窓を開けた部屋やベランダで、子どもだけで遊ばせない。子どもだけを家に残して外出しない。
- 窓やベランダの危険について、日ごろから子どもに伝える。
窓・網戸・手すりの点検
- 消費者庁は、窓、網戸、ベランダの手すりなどに劣化がないか、定期的に点検するよう勧めています。
消費者庁は、目を離さないことには限界があるため、見守りと環境づくりを合わせて行うことが求められる、としています。
窓まわりで変えられること
ここからが、窓の仕様や部品でできる範囲です。条件によって向き不向きがあるので、分けて説明します。
窓の開く幅を制限する部品
LIXILの公式サイトには、引違い窓用の「小開口ストッパー」と、縦すべり出し窓用の「小開口アーム」が載っています。開き幅を制限して、小さな子どもが誤って外に出てしまうのを防ぐ、といった用途が案内されています。対応する窓の種類やサイズは製品ごとに異なります。お使いの窓で付けられるかは、型番の確認や、施工店・メーカーへの相談が必要です。
なお、こうした部品は換気用のものです。開き幅を制限しても、転落を完全に防げると考えるのは避けてください。
補助錠
補助錠は、子どもが勝手に窓を開けるのを減らすための備えです。ただし、課題も報告されています。報告書によると、名古屋市が補助錠を配布したあとのアンケート(2024年10月公表)では、配布された補助錠を取り付けなかった世帯が34%で、その理由の一つに「取り付けると窓の開閉が不便になるため」(22%)がありました。また、業界団体への聞き取りでは、人命救助や避難時の脱出への影響、高齢の方や障害のある方が開けにくくなる点などが指摘されています。
家族の暮らし方に合わせて、位置や種類を選ぶことが大切です。
内窓・カバー工法・ガラス
内窓(今ある窓の内側にもう一つ窓を付ける工事)やカバー工法(今ある窓枠の上に新しい窓枠をかぶせる工事)は、暑さ・寒さ・音・結露などの悩みに向く工事です。転落を防ぐことを目的にした工事ではありません。公的資料の中でも、内窓やカバー工法の転落防止効果は確認できていないため、効果があるとは書きません。
窓を新しくするときに、開き幅を制限する部品を付けられる機種かどうかを一緒に確認する、という使い方はできる場合があります。詳しくは 窓の種類と見分け方 や 内窓のガラスの選び方 もご覧ください。
手すり
消費者安全調査委員会は、国土技術政策総合研究所の『子育てに配慮した住宅と居住環境に関するガイドライン(改訂版)』(2025年3月公表)が、窓・ベランダからの転落防止に配慮した技術的情報を定めているとしています。報告書は、このガイドラインに基づく仕様であれば、検証した事故の全件を防止できた可能性がある、としています。手すりの高さなどの具体的な数値は、このページでは確認できていないので書きません。ガイドライン本文や、住宅の管理者・事業者にご確認ください。
窓では解決しないこと・向かないケース
正直にお伝えします。次のようなことは、窓の工事では解決しにくい、または窓以外が主役です。
- 足がかりになる家具や物:配置を変えるのが基本です。窓の仕様を変えても、窓際のベッドやソファの上から届く位置は変わりません。
- ベランダの手すり・柵まわり:ベランダの手すりは、建物の管理者の確認が必要な場合があり、窓の工事の範囲外のことがあります。
- 見守りと、子どもへの声かけ:どんな部品でも代わりにはなりません。
- 非常時の脱出:窓に取り付ける部品の種類によっては、避難や救助のときの開けやすさに影響するという指摘が報告書にあります。家族の避難経路は、部品を選ぶときに合わせて考える必要があります。
窓の工事が向くのは、「古くて鍵や網戸が傷んでいる」「窓の種類を変えるついでに開き幅を制限する部品を付けられるか確かめたい」といった場合に限られます。
賃貸・マンションの場合
沖縄は、住宅の非木造が96.5%、共同住宅が60.9%、借家が50.7%、持ち家率が42.6%です(令和5年住宅・土地統計調査 沖縄県結果の要点)。借りている部屋や集合住宅にお住まいのご家庭が多い地域です。
窓の部品を付け替えたり、補助錠を取り付けたりする前に、まず管理会社や大家さん、管理組合に相談してください。退去時の原状回復や、共用部分(ベランダの手すりなど)の扱いは、契約や規約によります。
賃貸の場合は 賃貸で内窓は付けられる? を、マンションの場合は マンションの内窓 を参考にしてください。
迷ったときの見分け方
- 窓やベランダのそばに、子どもが乗れる物がある → 先に配置を変える。
- 子どもが自分で鍵を開けられそう → 手の届かない位置の補助錠を検討する。
- 窓や網戸、手すりが古い、ぐらつく → 点検し、交換・修理を相談する。
- 借りている部屋や、共用部分が関わる → 管理会社・管理組合に先に相談する。
- 暑さ・寒さ・音などの悩みが主で、転落も気になる → 工事のついでに、開き幅を制限できる窓かを確認する。
よくあるご質問
内窓を付ければ、子どもは落ちなくなりますか。
内窓は、転落を防ぐことを目的にした工事ではありません。窓を二重にすることで落ちにくくなるかどうかは、公的資料では確認できていないため、お答えできません。足がかりの除去や補助錠、見守りが基本です。内窓については 内窓とは をご覧ください。
網戸があれば安心ですか。
網戸に頼るのは避けてください。東京消防庁の事例には、子どもが網戸に寄りかかって網戸が外れ、墜落したものがあります。窓と同じように、網戸にも手の届かない位置の補助錠を付けることが、消費者庁・国民生活センターの資料で勧められています。
補助錠を付けると、災害のときに困りませんか。
報告書には、人命救助や避難時の脱出への影響を心配する声があったと書かれています。家族みんなが解錠のしかたを知っておく、保護者が手の届く位置を決めておくなど、暮らし方に合わせた工夫が必要です。
工事の費用や補助金は?
金額は窓の種類や数で変わります。料金のページ と 補助金のページ をご覧ください。
このページで参照した資料
- 消費者安全調査委員会「消費者事故等調査報告書【概要】住宅の窓及びベランダからの子どもの転落事故」(令和7年6月24日)
- 東京消防庁「こどもが住宅等の窓・ベランダから墜落する事故に注意!」(令和8年4月30日更新)
- 東京都生活文化局「ベランダからの子供の転落に注意しましょう!」(令和8年4月30日)
- 消費者庁「窓やベランダからの子どもの転落事故に御注意ください!」(公表年月はページ上で確認できず)
- 国民生活センター 見守り情報 第200号「防ごう 子どものベランダや窓からの転落事故」(2023年9月)
- LIXIL 公式サイト「窓の換気」ページ・トステムマガジン(公表年月はページ上で確認できず)
- 気象庁 平年値(1991〜2020年)/総務省統計局 令和5年住宅・土地統計調査 沖縄県結果の要点(令和7年3月31日)
現地を見せていただいてから、正直にお伝えします
窓やベランダの状況は、お住まいごとに違います。現地を見せていただいたうえで、窓の部品で対応できることと、配置換えや管理会社への相談が先のことを、分けてお伝えします。窓の工事ではないと分かれば、そう申し上げます。現地調査・お見積りは無料です。ご相談は お問い合わせ からどうぞ。

