家でピアノやギターを弾いていると、「この音、外まで聞こえていないかな」と気になることがあります。窓を閉めても不安は消えない。かといって、練習をやめるのも寂しい。そんな気持ちで、このページを開かれた方が多いと思います。

先にお伝えしたいのは、音が外へ出る道は窓だけではない、ということです。窓で変えられる部分もありますが、窓では変えられない部分もあります。このページでは、音が出ていく道すじ、今日からできる工夫、窓まわりの選び方、窓の工事では解決しにくいことを、順番に整理します。

楽器の音は、どこから外へ出ていくのか

音には、大きく分けて2つの伝わり方があります。日本建設業連合会(音環境専門部会)の用語解説では、次のように整理されています。

  • 空気伝搬音:音源から空気の振動として伝わる音。同じ部屋の中で伝わる音のほか、界壁(かいへき・住戸どうしを仕切る壁)や窓を透過して伝わる音も、これに含まれます。
  • 固体伝搬音:建物の床や壁に力や衝撃が加わり、その振動が建物の中を伝わって、別の場所で音として放射される音です。

楽器でいえば、ピアノの響きが空気をふるわせて窓や壁を通り抜けるのは空気伝搬音です。一方、ペダルを踏む足の動きや、楽器の脚から床へ伝わる振動は、固体伝搬音の側に当たります。同じ解説では、固体伝搬音は伝わる道すじが複雑で、減衰しにくい特徴があり、一般に空気伝搬音より制御が難しいとされています。

窓は、空気伝搬音の出口のひとつです。ただ、窓だけが出口ではありません。外へ出る側も同じ考え方で、窓、壁、床、天井、そして換気口やドアのすき間といった開口部が、それぞれ音の通り道になりえます。

沖縄のお住まいで気をつけたい点

沖縄は、鉄骨・鉄筋コンクリート造の建物が多い地域です。令和5年住宅・土地統計調査の沖縄県結果によると、人が住んでいる住宅のうち、非木造は96.5%、鉄骨・鉄筋コンクリート造は93.8%、共同住宅は60.9%でした。集合住宅にお住まいの方が多く、隣や上下の部屋との距離が近いお宅が少なくありません。

また、那覇は暑さが長く続く地域です。気象庁の平年値(1991〜2020年)では、那覇の年平均気温は23.3℃です。

月平均気温平均湿度
1月17.3℃66%
6月27.2℃83%
7月29.1℃78%
年平均23.3℃73%

出典:気象庁 平年値(1991〜2020年)那覇

暑い時期は、窓を開けて風を通したくなります。けれど窓を開けたまま演奏すると、音は外へ出やすくなります。環境省の生活騒音のリーフレットにも、話し声について「窓を開けたまま話さない」という配慮が載っています。暑さと音の両方を考えて、窓を閉めた部屋でどう過ごすかが、沖縄では大切な課題になります。

近隣への音について、環境省が示している考え方

環境省のリーフレット「生活騒音」では、家庭のピアノやクーラーなどから出る音を、日常の生活行動にともなって住居まわりで出る「生活騒音」として説明しています。内容のうち、楽器の練習に関わる部分は次のとおりです。

  • 生活騒音には法的規制はありませんが、近隣住民や地域内で話し合う、市区町村に相談するなどの解決方法があるとされています。
  • 生活騒音は、周囲の人との親密さや自分の気持ちに影響されるため、感じ方は人それぞれだと書かれています。自分には楽しい音や心地よい音が、他の人には不快な音として受け取られることもあります。
  • 「騒音をなくす5つの気くばり」として、時間帯に配慮する、音がもれない工夫をする、音は小さくする工夫をする、音の小さい機器を選ぶ、ご近所とのおつきあいを大切にする、が挙げられています。
  • ピアノ・ドラム・ギターなどの楽器類については、本格的な防音対策をする、カーペットを敷くなど室内の吸音性能を高める、という配慮の例が示されています。
  • 生活騒音で困ったときは、まず当事者間または住宅の管理人に相談し、地方公共団体に相談窓口がある場合はそちらへ、とされています。

ここから分かるのは、音の問題が「音量の数字」だけでなく、時間帯や、ご近所との関係にも左右されるということです。窓の工事は、その中のひとつの手段です。

このページは楽器の音という特定の悩みに絞っています。室内の音がご近所に漏れる心配の全般は 音漏れ・ご近所が心配なときのページ で整理しています。ご自分のお宅の音がどう聞こえているか、まずは身近な人に聞いてみるのも一案です。日常の音との違いは、生活音の種類別の考え方でも整理しています。

今日からできる工夫

工事をしなくても、できることがあります。環境省のリーフレットの「5つの気くばり」に沿って、一般的な工夫を挙げます。効果は、お住まいの構造や楽器の種類で変わります。

  • 練習する時間帯を考える:早朝や夜遅くを避けるなど、ご近所の生活時間に合わせます。
  • 楽器を置く場所を考える:隣の住戸と接する壁から離して置く、窓の正面を避ける、といった配置の見直しです。
  • 窓を閉める:窓を開けたままだと音は外へ出やすくなります。
  • 室内の吸音を高める:カーペットやラグ、厚手のカーテンなどを使います。環境省のリーフレットにも、カーペットを敷くなど室内の吸音性能を高める例があります。
  • 床からの振動に備える:楽器の脚の下に、ゴムなどの防振材を敷く方法があります。日本建設業連合会の解説では、ゴムや弾性のあるマットなどの防振材料で振動を弱める方法が、固体伝搬音への対策として挙げられています。
  • 音を出さない選択肢を持つ:電子楽器でヘッドホンを使えば、音が出ない練習ができます。生活騒音のリーフレットには、音響機器について、夜間はヘッドホン・イヤホンを使う例があります。
  • ご近所にひとこと伝えておく:リーフレットでも、日頃からの近所づきあいが大切とされています。「この時間帯に練習します」と伝えておくだけで、受け止められ方が変わることがあります。

窓を閉めて練習するときの暑さ

窓を閉めて演奏すると、部屋の中が暑くなりやすくなります。環境省ほか各省庁のリーフレット「熱中症が増えています」には、熱中症は室内でも夜でも発生し、命に関わる問題であること、無理な節電をせず、夜もしっかりエアコンを使うことが書かれています。

演奏する方は体も動かすので、暑さには注意が必要です。窓を閉める場合は、エアコンを適切に使い、水分をとりながら練習してください。熱中症の詳しい話は、熱中症と室内の暑さのページにまとめています。

窓まわりで変えられること

ここからは、窓の工事でできることを、条件をつけて整理します。

内窓(二重窓)を付ける

内窓は、今ある窓の室内側に、もうひとつ窓を取り付ける工事です。LIXILの公式サイトでは、今ある窓の内側に内窓を付けると空気層ができ、防音効果を発揮する、と説明されています。楽器の音を外へ出にくくしたい方の相談先になる工事です。

音への効き方は、ガラスの厚さや組み合わせ、窓どうしの間隔、すき間の少なさなどで変わります。

窓の種類によっては、対応できない場合もあります。内窓そのものの考え方は内窓のページにまとめています。

ガラスの種類を選ぶ

ガラスには、単板ガラス、複層ガラス、合わせガラスなどの種類があり、防音の面での違いがあります。ガラスの種類による防音の違いは、メーカーの資料や現地の条件を見ながら選びます。

ガラスの選び方は、目的で変わります。断熱を優先する場合と、音を優先する場合では、向くガラスが違うからです。くわしくは内窓のガラス選びのページをご覧ください。なお、当社ではガラスだけの交換や修理は扱っていません。

窓以外の選択肢も含めて考える

窓の防音を考えるときは、内窓のほかに、既存の窓に防音対策をする方法、防音室のような別の仕組みを使う方法もあります。どれが合うかは、音が出ている場所、楽器の種類、建物の構造で変わります。防音を目的とした窓の相談は、防音のページも参考にしてください。

音の種類によって、窓の効き方は異なります。

窓では解決しないこと・向かないケース

次のような場合は、窓の工事をしても、お困りごとが残る可能性があります。

  • 床からの振動が主な原因の場合:楽器の脚や足の動きが、床を伝わって下の階や隣へ響いている場合は、固体伝搬音にあたります。日本建設業連合会の解説のとおり、一般に空気伝搬音より制御が難しいため、窓の工事では変わりません。防振材など、床まわりの対策を先に考える必要があります。
  • 壁や天井から音が出ている場合:窓は音の通り道のひとつにすぎません。
  • 換気口やドアのすき間から出ている場合:窓の工事をしても、その部分の音は変わりません。
  • 窓が、そもそも主な出口ではない場合:楽器が窓から遠い位置にあるときなどです。
  • 音量や時間帯そのものが原因の場合:環境省のリーフレットのとおり、時間帯への配慮が基本です。窓をよくしても、深夜の演奏が許されるわけではありません。
  • 本格的な防音を求める場合:ピアノ・ドラムなどの楽器類は、環境省のリーフレットでも「本格的な防音対策」が挙げられています。窓だけでその水準に届くかどうかは、現地を見ないと分かりません。

窓の工事が合うのは、「音が窓から出ている」と考えられるお住まいです。その見極めには、実際の部屋を見る必要があります。

賃貸・マンションの場合

賃貸や分譲マンションでは、窓の工事の前に、確認することがあります。

  • 管理規約や賃貸借契約書に、楽器の演奏について定めがあるか。建物ごとに異なります。
  • 内窓の取り付けについて、管理組合や大家さんの承諾が必要か。
  • 退去するときに、元の状態へ戻す必要があるか。

内窓の取り付けには、承諾が必要な建物もあります。賃貸の場合の流れは賃貸にお住まいの方へ、マンションの場合はマンションの内窓で説明しています。環境省のリーフレットが示すように、困りごとが出たときは、まず管理人に相談する方法もあります。

迷ったときの見分け方

次のような点を、ひとつの目安にしてください。

  • 外に出て、窓の外から聞いてみる。窓の位置で音が強く聞こえるなら、窓が出口のひとつかもしれません。
  • 窓を閉めたときと開けたときで、聞こえ方がどれくらい違うか、ご家族やご近所の方に聞いてみる。
  • 下の階や隣から苦情がある場合は、床や壁を通っている音かもしれません。窓の工事より先に、楽器の置き方や床の防振を考えます。
  • 夜の演奏の時間帯を見直せるかを考える。

迷うときは、費用の目安も含めて料金のページで全体像を確認し、現地調査でご相談ください。窓リフォームに使える補助金は、金額や条件が年度ごとに変わります。くわしくは補助金のページをご覧ください。

よくあるご質問

窓を閉めれば、ピアノの音は外に聞こえませんか?

窓を閉めると、開けているときよりは外へ出にくくなります。ただ、窓を閉めても、壁や床、換気口など、ほかの通り道から音が出ることがあります。聞こえるかどうかは、お住まいの構造、楽器、時間帯で変わります。

内窓を付ければ、夜でも練習できますか?

時間帯への配慮は、窓の工事とは別に必要です。環境省のリーフレットでは、時間帯に配慮することが5つの気くばりの最初に挙げられています。内窓は、音が出にくくなるように手助けする工事で、夜の練習を認めるための工事ではありません。

窓の補助金は、使えますか?

先進的窓リノベ2026事業は、既存の住宅および非住宅建築物が対象です。非住宅は建物の用途で決まります。学校・診療所・寺院などは地域を問わず、店舗や事務所つきの住宅の店舗部分は第1種・第2種低層住居専用地域のみ対象です。ホテルなど表にない用途は事務局に確認します。対象かどうか、金額がいくらかは、建物や使う製品によって変わりますので、補助金のページと先進的窓リノベ2026(沖縄)のページでご確認ください。

近所の方から音が気になると言われたら、まず何をしますか?

環境省のリーフレットでは、生活騒音について、まず当事者間または住宅の管理人に相談し、地方公共団体に相談窓口がある場合はそちらにも、とされています。窓の工事を考える前に、時間帯や置き場所を見直し、お話をするほうが早いこともあります。ご近所の方との関係を保つことは、大切な対策のひとつです。

このページで参照した資料

  • 環境省 リーフレット「生活騒音」(互いの思いやりで騒音のない社会を)。平成28年度の苦情件数などを掲載した版
  • 環境省ほか 熱中症予防リーフレット「熱中症が増えています」
  • 日本建設業連合会 技術研究部会 音環境専門部会 用語解説「空気伝搬音」(2024年2月改訂)・「固体伝搬、固体伝搬音」(2019年11月作成)
  • LIXIL まどどあチャンネル「音が漏れる」
  • 先進的窓リノベ2026事業【公式】「対象要件の詳細(住宅)」
  • 気象庁 平年値(1991〜2020年)那覇
  • 沖縄県企画部統計課『令和5年住宅・土地統計調査 沖縄県結果の要点』(令和7年3月31日)

現地を見せていただいてから、お伝えします

音の問題は、お住まいの構造や楽器、置き場所で、答えが変わります。窓で変えられる部分があるのか、床や壁など窓以外のほうが大きいのか。現地を見せていただいてから、正直にお伝えします。窓の工事では解決しにくいと分かった場合は、そう申し上げます。現地調査とお見積りは無料です。お気軽にご相談ください。お問い合わせからお送りいただけます。