朝、窓ガラスを見たら一本の線が入っていた。ぶつけた覚えはない。台風が過ぎたあとに、ガラスの端がひび割れていた。そんな場面で調べる方に向けた記事です。
窓ガラスのひびには、衝撃によるものだけでなく、物が当たっていなくても起こるものがあります。原因によって、気をつける点も、直し方の選び方も変わります。
この記事では、メーカーや業界団体の公開資料で確認できた範囲で、原因の見分けの目安、ガラスの種類による違い、修理の選択肢を順に説明します。見た目だけでは原因を決めきれないことも多いので、「こうなっていたら、まず誰に相談するか」までまとめました。
ガラスが勝手に割れる主な原因
物が当たっていないのにひびが入る現象として、メーカーや業界団体の資料では、主に次の2つが説明されています。
熱割れ
日本サッシ協会の「ガラスの熱割れ」のページでは、次のように説明されています。ガラスは温度差による膨張の差で力がかかり、その力が強度を超えると、突然ひびが入ることがあります。日が当たって温まる部分と、サッシの内側に隠れて日が当たらない端の部分とで温度差ができるためです。
同じページによると、冬の晴れた日の午前中に起きやすいとされています。割れ方は、サッシに隠れている端から始まり、最初は直角に走り、そのあと蛇行するのが特徴とされています。
錆(サビ)割れ
YKK APのよくあるお問い合せでは、網入りガラスの金網の切断面に錆が出て、その錆が内部へ進むと金網が膨らみ、ガラスにひびが入る現象を「錆割れ」と呼んでいます。線入りガラスでも同様の理由で起こることがあります。
原因として挙げられているのは、切断面の防錆処理が年月とともに効きにくくなること、そしてガラスまわりの合成樹脂のパッキンが硬くなったり割れたりして、雨水が入りやすくなることです。物がぶつかっていなくても、いつの間にかひびが入ることがあるとされています。
台風や飛来物による割れ
こちらは外から物が当たって割れるケースです。AGCの防災ガラスの解説では、台風で飛ばされた屋根瓦などが普通の窓ガラスに当たると割れ、飛来物とともに鋭い破片が室内に入って人を傷つけるおそれがあると説明されています。
割れ方から見る原因の目安
見た目だけで原因を断定することはできません。ただ、資料に書かれている特徴を並べると、次のように整理できます。
| 見られる様子 | 疑われる原因の目安 | 資料で確認できる特徴 |
|---|---|---|
| サッシに隠れた端から線が入り、直角に走ってから蛇行する | 熱割れ | 日本サッシ協会が示す割れ方の特徴 |
| 網入りガラスで、金網の切断面(端)まわりにひびがある。物は当たっていない | 錆割れ | YKK APが説明する、金網の錆の膨らみによる割れ |
| 瓦や物が当たった跡がある、その点から割れている | 飛来物・衝撃 | 台風後などに確認される |
出典:日本サッシ協会「ガラスの熱割れ」、YKK AP「網入ガラスの割れ『錆(サビ)割れ』現象について」、AGC「災害に備えたガラス」
当てはまらない割れ方もあります。「熱割れかな」と自己判断せず、割れた状態を写真に残して、施工した会社やメーカーに見せるのが近道です。
ガラスの種類による違い
ガラスの種類で、割れ方と、割れたあとの様子が違います。
- 網入りガラス:金網が入った板ガラスです。日本サッシ協会の用語集では、火災のときに熱で割れても破片が落ちにくく、延焼を防ぐため、防火戸などに使われると説明されています。一方で、熱割れは一般の板ガラスより起きやすいとされ、理由として、金網とガラスの膨張の差、切断時に切り口へ傷がつきやすいことなどが挙げられています。YKK APは、網入りガラスの周辺部の強度を、一般の板ガラスの約半分としています。
- 複層ガラス(ペアガラス):2枚のガラスの間に空気層がある構造です。熱割れや錆割れの起きやすさは、中に入っているガラスの種類(網入りかどうかなど)や、窓の状況で変わります。今回確認した資料では、複層ガラスという種類そのものの割れやすさは確認できませんでした。
- 強化ガラス:AGCの解説では、高い耐風圧強度を持ち、破損しても破片が細かい粒状になるとされています。
- 合わせガラス:2枚以上のガラスの間に樹脂の中間膜を挟んで加熱圧着したものです。YKK APの説明では、割れても破片が飛び散りにくいとされています。
どの種類でも、割れないわけではありません。種類によって「割れ方」と「割れたあとの危なさ」が違う、と考えるのが実際に近い見方です。
割れたときに、まずすること
公式資料で確認できる範囲で、まずの流れを書きます。
- ガラスのひび・割れは放っておかない。 YKK APの交換方法の解説では、割れた場合はケガの危険があるため、すぐに交換するとしています。割れ目から雨風が入ると、壁や床、家具が濡れて傷むおそれもあると説明されています。
- 早めに相談する。 ひびが入ったら、早めに交換を依頼するよう、メーカーのよくあるお問い合せで案内されています。相談先は、建築会社・施工店・工務店・管理会社・販売店、またはメーカーのお客様相談室です。
- 状況を残す。 いつ気づいたか、どの位置か、天気はどうだったか。写真を撮っておくと、原因の見当をつけるときに役立ちます。
養生テープなどによる応急処置については、メーカーの公式資料で手順を確認できなかったため、この記事では細かい方法を書いていません。台風対策としての養生テープについては、YKK APの解説に「効果が確認されていない」という趣旨の記述があります。割れた窓の扱いは、無理に自分で動かさず、業者の指示に従うのが安全です。
熱割れを減らしやすくする暮らし方
日本サッシ協会とYKK APのページには、ガラス表面が高温になりすぎない、あるいは温度差ができにくいようにするための注意点が載っています。
- カーテンやブラインドを、ガラス面に密着させない
- 冷暖房の風を、ガラスに直接当てない
- ガラス面に、紙やポスターを貼らない
- 熱反射フィルムを貼ったり、ペンキを塗ったりしない
- シャッターや雨戸を、半開きの状態で使わない
- 庇や外付けのスクリーンで、ガラスに直接日が当たらないよう配慮する
日射を和らげる目的でフィルムを貼る方も多いのですが、上のとおり、ガラス面へのフィルムは熱割れの注意点として挙げられています。フィルムを検討するときは、遮熱フィルムと内窓の違いの記事と、ご自宅のガラスの種類を合わせて、施工店に確認してください。
なお、YKK APの解説では、防犯・防災フィルムを自分で貼った場合、不具合が起きたときに商品保証の対象外になるとされています。
修理・交換の選択肢
割れたあとに考えられる主な選択肢を、YKK APの解説をもとに整理します。
| 方法 | 内容 | 向いている場面 |
|---|---|---|
| ガラスだけ交換 | 今の窓からガラスだけを外して替える | サッシに問題がなく、ガラスだけの不具合のとき |
| カバー工法 | 既存の窓枠の上から新しい窓枠をかぶせて取り付ける。壁を壊さずに施工できる | 窓枠・建て付けも含めて新しくしたいとき |
| 内窓を追加 | 既存の窓はそのままに、室内側にもう1つ窓を付ける | 割れた窓の交換とは別に、断熱・防音なども見直したいとき |
ガラスだけの交換では、サッシの断熱性や気密性は変わりません。また、窓の種類によっては、ガラスだけでなく障子(動く部分)ごとの交換が必要になることがあります。複層ガラスを入れたいのに、元の窓が単板ガラス用の枠のときは、枠の厚みの違いから、窓枠ごとの交換が必要な場合もあります。
カバー工法は、窓のカバー工法のページと、内窓とカバー工法の比べ方で、向き不向きを説明しています。内窓は内窓とはをご覧ください。
費用は窓の大きさやガラスの種類で変わるため、料金のページをご確認ください。
窓では解決しない・向かないケース
正直にお伝えします。
- 内窓を付ければ、外の窓が割れなくなるわけではありません。 内窓は、既存の窓の室内側に追加する窓です。外側の窓の熱割れや錆割れ、飛来物による破損を、内窓が止めるという資料は、今回確認できていません。
- すでに割れている窓は、内窓だけでは直りません。 割れたガラスや傷んだ枠は、そのまま残ります。まず交換や補修を先に考えます。
- 台風時の備えは、別の手段も検討します。 YKK APの解説では、台風や突風による破損対策には、ウインドウシャッターの併用が効果的とされています。窓の追加だけで対策を済ませるより、シャッターや雨戸、飛散しにくい合わせガラスなども合わせて考えるのが現実的です。台風対策のページも参考になります。
- 原因が、窓の外にあることもあります。 建物の歪みや、サッシの取り付け状態などが絡む場合は、ガラスだけを替えても同じことが起こりえます。現地で見ないと判断できません。
賃貸・マンションの場合
賃貸では、窓や枠は貸主や管理会社の持ち物です。割れたり、ひびが入ったりしたら、自己判断で業者を呼ぶ前に、まず管理会社や大家さんに連絡してください。
YKK APの解説でも、集合住宅の場合は、管理組合や管理会社に相談するとされています。共用部分の窓でも、管理組合などの承認が得られれば、区分所有者の負担で修繕できる場合があります。
賃貸での窓の工事の考え方は賃貸のページ、マンションでの進め方はマンションの内窓のページで説明しています。
火災保険については、窓ガラスの破損が補償の対象になるかは契約内容によって異なります。加入している保険会社や代理店に、早めに確認してください。
迷ったときの見分け方
- 網入りガラスか、型板(模様の入った)ガラスか、透明な板ガラスか。ガラスの種類を、見た目や図面で確認しましたか
- ひびの位置は、サッシに隠れた端からか、真ん中や一点からか
- 物が当たった跡や、台風・強風のあとという心当たりはあるか
- ガラスの周りのゴムやパッキンが、硬くなったり割れたりしていないか
- ガラスの内側にカーテンやブラインドが密着していたり、紙やフィルムを貼っていたりしないか
- 賃貸や分譲マンションで、管理会社や管理組合への連絡が必要か
- 保険の契約内容を確認したか
これらを写真と一緒にメモしておくと、施工店への相談がスムーズです。
よくあるご質問
ひびが入った窓は、そのまま使ってもよいですか
YKK APの案内では、ひびが入ったら早めに交換するよう示されています。ひび割れが広がるか、どのくらいの期間で広がるかは、今回確認した資料にはありません。割れ目から雨風が入る場合や、手の届く範囲にあるときは、特に早めの相談をおすすめします。
熱割れは、保証で直せますか
YKK APの解説では、熱割れは商品の構造上やむを得ない現象とされ、一部を除いて保証の免責事項とされています。保証の対象になるかは、お持ちの保証書や保証規定、メーカー・施工店への確認で分かります。
網入りガラスを普通のガラスに替えることはできますか
網入りガラスは、火災のときに破片が落ちにくいため、防火戸などに使われるとされています。使われる場所によって、防火に関する要件が絡む場合があります。種類を変えたいときは、場所の条件を確認したうえで、施工店に相談してください。
台風のあとに、ガラスにひびが入っていました。原因は飛来物でしょうか
物が当たった跡があれば、飛来物による割れが疑われます。跡がない場合は、熱割れや錆割れの可能性も残ります。見た目だけで断定はできないため、写真を撮って施工店に見てもらってください。
このページで参照した資料
- 一般社団法人 日本サッシ協会「サッシ・ドアの豆知識:ガラスの熱割れ」
- 一般社団法人 日本サッシ協会「サッシ・ドア用語集:網入板ガラス」
- YKK AP「よくあるお問い合せ:網入ガラスの割れ『錆(サビ)割れ』現象について」
- YKK AP「よくあるお問い合せ:ガラスの『熱割れ』現象について」
- YKK AP「よくあるお問い合せ:窓ガラスが割れた時、交換はどこに頼めばよいですか」
- YKK AP「よくあるお問い合せ:合わせガラスとは、どういうガラスですか」
- YKK AP「窓ガラスの交換方法は?」リフォームコラム
- YKK AP「知って役立つガラスのギモン」連載(前編・後編)
- AGC「災害に備えたガラス 台風や地震から人と建物を守る」
- AGC「建築のガラス」
現地で見てから、正直にお伝えします
窓ガラスのひびは、原因によって、直し方も、気をつけることも変わります。ガラスの交換で足りる場合もあれば、窓の種類や状態によっては別の方法を考えたほうがよい場合もあります。
株式会社オンコードは、窓・ドアリフォームの専門会社で、完全自社施工です。現地調査とお見積りは無料です。現地を見せていただいてから、ガラスの交換が合うのか、カバー工法や内窓が合うのか、あるいは窓の工事ではない対応が合うのかを、正直にお伝えします。窓では解決しないと分かった場合は、そのように申し上げます。お問い合わせはこちらからどうぞ。

