花ブロックのある家は、沖縄らしい景色をつくる一方で、住んでみると気になることも出てきます。「風は通るのに、夏はやっぱり暑い」「外から丸見えではないけれど、防犯は大丈夫だろうか」「すき間にほこりや虫がたまる」。そんな声は、花ブロックのある家ならではです。
このページでは、まず花ブロックがどんな経緯で広まり、何のために使われてきたのかを、公開されている研究論文をもとに整理します。そのうえで、花ブロック越しの窓まわりをどう考えるか、窓で変えられること、窓では解決しないことを、順にお伝えします。なお、花ブロックそのものの改修や撤去は当店の領域外ですので、ここでは触れません。
花ブロックとは何か。由来と広まり方
花ブロックは、コンクリートでつくった「透かしブロック」の、沖縄での呼び名です。立命館大学の磯部直希氏の論文(立命館文学643号)には、「花ブロックとは、コンクリートを用いた『透かしブロック』の沖縄における通称」と書かれています。同じ論文によると、透かしブロック自体は沖縄以外でもブロック塀の通気用に使われていて、珍しい建材ではありません。沖縄の特徴として挙げられているのは、模様の種類が際立って多いことと、「花ブロック」という独自の呼び名を得たことです。
広まった背景について、同じ論文は次の点を述べています。
- 戦後の沖縄では、木造から鉄筋コンクリート造へ大きな転換があったとされる。
- 沖縄でコンクリートブロックの製造を最初に始めたのは、アメリカ陸軍の工兵隊(DE)で、1948年に基地建設の資材を調達するため、手動式の製造機を持ち込んだ。
- 民間でのブロック製造は1950年の知花ブロックの創業が始まりで、1953年に旭ブロックが操業を始めた。この2社は、のちに花ブロックと呼ばれる「異形ブロック」も作っていた。
- 花ブロックは建築家の仲座久雄によって考案された、というのが多くの文献に書かれた通説である。
ただし、論文の筆者自身が、花ブロックの起源や発展については「伝聞や推量以上のことは提供していない」先行研究が多く、生まれた過程を詳しく論じた研究は乏しい、と指摘しています。ですので、「誰が・いつ・どう始めた」を一つに言い切ることはできません。このページでも、通説として紹介するにとどめます。
あわせて、住まいの変化も押さえておきます。論文の注には、1960年代に木造住宅からコンクリートブロック造・鉄筋コンクリート造への移行が急速に進み、1970年代以降に県内で建てられたほぼ全ての住宅がそのどちらかだった、という研究が引かれています。
花ブロックの役割と、窓まわりで起きること
役割について、論文は次のように書いています。
- 鉄筋コンクリートの躯体に対して、テラスやベランダの目隠し壁、カーテンウォール(建物の外側をおおう壁)のような外壁として使われる。
- カーテンウォールとして使うと、沖縄の強い日差しが室内に直接入るのを防ぎ、台風の被害から窓や壁面を守る、という実用面の利点がある。
琉球新報のコラム(2015年2月14日)も、花ブロックは「家屋の湿気を逃がして風を通す」、日差しも遮るので亜熱帯の沖縄に合う、と紹介しています。
つまり花ブロックは、日差しをやわらげる、風を通す、視線をやわらげる、窓を守る、という複数の役を一つで受け持つ建材です。ここから先は、一般的に言われることを中心に、窓との関係を整理します。条件(向き、ブロックの模様、窓との距離、建物の構造)で変わるため、断定はしません。
暑さ
那覇の月平均気温は7月で29.1℃、湿度は78%です(気象庁平年値1991〜2020)。一般的には、日差しが窓ガラスに直接当たる前にブロックでさえぎられると、室内に入る熱はやわらぐ場合があります。一方で、ブロック自体が日中に温まり、その熱が窓のまわりにこもることもあります。模様の抜けが大きいほど日差しも入りやすいので、「花ブロックがあるから大丈夫」とは言い切れません。
風
一般的には、すき間の多いブロックは風を通しやすい一方で、窓を閉めると、その風の恩恵は受けられません。梅雨や台風の時期は窓を閉めている時間が長くなるため、「風の家なのに閉め切って暮らす」場面も出てきます。
視線と防犯
目隠しの役割は、論文でもはっきり述べられています。ただし、模様のすき間は外から内を見る角度にもなります。夜に室内の明かりをつけると、ブロックの向こうから室内が見える場合もあります。
防犯については、一般的には「外から見えにくいこと」と「入りにくいこと」は別の話です。ブロックの内側に窓があり、そこに足場やすき間があれば、窓そのものの鍵やガラスが守りの中心になります。ブロックがあるから安心、と考えず、窓の鍵・ガラス・補助錠も合わせて見るのがおすすめです。
掃除
模様のくぼみには、砂ぼこりや潮風による汚れ、クモの巣がたまりやすい傾向があります。窓とブロックの間が狭いと、ガラスの外側が拭きにくくなることもあります。
今日からできること
- 夜、室内の明かりをつけたまま外に出て、ブロック越しにどこまで室内が見えるか確かめる。
- 晴れた日の午前・午後・夕方に、窓ガラスやカーテンにどの角度で日が当たるかを見る。
- 窓の鍵が閉まる向きか、補助錠を付けられるかを確認する。
- 台風の前後に、ブロックと窓のすき間にたまった砂やごみを取る。
- 網戸の破れやゆがみを見る。風を通す家ほど、網戸の状態が暮らしやすさに響きます。
窓まわりで変えられること
花ブロックはそのままに、窓側でできることは次のとおりです。向き、広さ、お住まいの構造で合う方法は変わります。
| 方法 | 向いていること | 気をつけたい点 |
|---|---|---|
| 内窓(今の窓の内側に、もう1枚窓を付ける) | 暑さ・音・結露・防犯面の見直し | 窓まわりの寸法や開閉の使い勝手を現地で確認する |
| ガラスの種類を選ぶ | 日差しをやわらげたい/割れにくくしたい | 明るさや見え方も変わる。種類は用途で選ぶ |
| 網戸の見直し | 風を通したい、虫が気になる | 窓の開き方によって付けられる種類が変わる |
| カバー工法(既存の枠の上から新しい枠をかぶせる) | 開け閉めの重さ、古い窓の傷み | 大きさ・形によっては向かない場合がある |
内窓とガラスの選び方は内窓のガラスの選び方、窓の暑さ全般は2階が暑いときの考え方、防犯は防犯のページ、台風前の準備は台風前の窓の準備も参考になります。内窓の概要は内窓のページにまとめています。
内窓は、窓を二重にすることで、閉めたときの暑さや音、結露にかかわる部分を見直せる場合があります。ただし、花ブロックがあることで「風を通す」「光をやわらげる」役割は、窓を閉めた状態では働きにくくなります。内窓を付けたあとの暮らし方(いつ開けて、いつ閉めるか)も、付ける前に考えておくと安心です。
窓では解決しない・向かないケース
正直にお伝えします。次のような場合は、窓の工事で変えられる範囲に限りがあります。
- ブロックそのものの欠けやひび、鉄筋のさびなど、構造の問題がある場合。これは窓の工事の対象ではなく、建築の専門家にご相談ください。
- 暑さの主な原因が屋根や壁の熱、ブロックから離れた場所の窓にある場合。窓だけを変えても、期待したほど変わらないことがあります。
- ブロックと窓の間が狭すぎて、内窓を付ける奥行きが取れない場合、窓の種類によっては取り付けが難しいことがあります。
- 風通しを何よりも重視していて、窓を閉める時間が少ない暮らし方の場合。内窓の良さを実感しにくい可能性があります。
- 夜の視線が気になる場合、窓のガラスや内窓だけでは解決せず、カーテンやブラインドなど別の対策が必要になることがあります。
花ブロックの改修や撤去、外構の工事は当店の領域外です。必要な場合は、外構や建築の専門の会社にご相談ください。
賃貸・マンションの場合
沖縄は集合住宅や借家が多い地域です。令和5年住宅・土地統計調査(沖縄県結果の要点、令和7年3月31日)では、共同住宅が60.9%、借家が50.7%、持ち家率が42.6%と示されています。
花ブロックは、マンションのバルコニーの手すり壁や目隠しにも使われています。こうした場合、ブロックは共用部分にあたる場合があり、その際は窓の外側をご自分の判断では変えられません。一般的には、窓や共用部分の変更には管理規約の確認や管理組合・貸主の承諾が必要です。ただし、内窓は今ある窓の内側に付けるため、承諾の範囲や原状回復の考え方は管理規約や契約によって変わります。詳しくは賃貸のページとマンションの内窓のページをご覧ください。
迷ったときの見分け方
- 夏の日中に、窓ガラスやサッシが熱くなっているなら、窓の日差し対策が役に立つ可能性があります。
- 窓を閉めても音や熱が気になるなら、内窓の相談先になります。
- ブロックの欠け・ひび・さびなら、窓ではなく建築の専門家へ。
- 風通しを残したい、でも網戸の調子が悪いなら、まず網戸から。
- 窓の鍵が弱い、ガラスが薄いのが心配なら、防犯を意識した窓まわりの見直しが選択肢です。
よくあるご質問
花ブロックがあれば、窓の日差し対策はしなくてよいですか?
一般的には、日差しをやわらげる役目はあります。ただし、論文でも「直射を防ぐ」という実用的な利点が述べられている一方で、効き方は模様や向き、ブロックと窓の距離で変わります。窓ガラスが熱くなるなら、窓側の対策も検討する価値があります。
花ブロックは防犯に役立ちますか?
目隠しとしての役割は論文にもあります。ただし、一般的には、見えにくいことと入りにくいことは別です。窓の鍵・ガラス・補助錠を確認することをおすすめします。
内窓を付けると、花ブロックの風通しは悪くなりますか?
窓を閉めている間は、窓を二重にしますので、風は通りにくくなります。窓を開けたときは、内窓も開けることで風を通せます。使い方次第で変わります。
花ブロックの家の窓を、先に見てもらうことはできますか?
はい。現地を拝見して、窓まわりでできること、できないことをお伝えします。花ブロックの改修そのものは対象外です。
このページで参照した資料
- 磯部直希「戦後沖縄における『花ブロック』の変成―研究動向の整理と現地調査報告―」立命館文学643号(立命館大学人文学会)
- 琉球新報「金口木舌『本土化』にあらがう」2015年2月14日
- 気象庁 平年値(1991〜2020年)那覇
- 総務省統計局「令和5年住宅・土地統計調査」沖縄県結果の要点(令和7年3月31日)
現地を見せていただいてから、正直にお伝えします
花ブロックのある家は、窓まわりの状況が一軒ごとに違います。ブロックの模様、窓との距離、向き、建物の構造によって、合う方法も、そもそも窓で対応すべきかどうかも変わります。現地調査・お見積りは無料です。見せていただいたうえで、窓では変えられないことが分かれば、そのとおりに申し上げます。ご相談はお問い合わせからどうぞ。費用の目安は料金のページ、補助金は補助金のページをご覧ください。

