台風が近づくと、窓の下にタオルを敷く。雨が上がってから、サッシの溝にたまった水を拭く。ある日、窓の横の壁紙に薄いシミが見つかる。沖縄では、そんな経験のある方は少なくないと思います。

「窓が古いから雨が入るのだろう」と考えて、窓の交換を思い浮かべる方も多いはずです。ただ、雨水が入る道すじは窓の中だけではありません。窓を新しくしても、水の入り口が別の場所にあれば、止まらない場合があります。

このページでは、雨水が入る経路、結露との見分け方、ご自宅でできる確認、窓まわりの対策の種類と限界を、確認できた資料をもとに順に説明します。

窓から雨が入るのは、どこを通っているのか

雨水が室内に出てくる経路は、大きく3つに分けて考えると整理しやすくなります。

1つ目は、サッシそのものを乗り越える水です。 日本サッシ協会の資料によると、強風雨のときにサッシの下枠に雨水がたまることがありますが、これは一般的なサッシの構造上、水密性能(雨を伴う風のときに、室内への雨水の浸入をどの程度防げるかを示す性能)を保つために必要なことで、不具合ではないとされています。不具合といえるのは、雨水が下枠を越えて流れ出たり、あふれ出たりすることだと説明されています。

同じ資料には、戸建て住宅の引違い窓の水密性能はJIS等級でW-2またはW-3のものが一般的で、W-2は1時間あたり240mmの降雨時に風速16m/秒程度の風が吹いてもサッシ部からの雨水浸入がないという性能、W-3は風速20m/秒程度、と目安が示されています。台風の暴風は、この目安を超える場合があります。

2つ目は、サッシと外壁のすき間です。 サッシの枠と外壁のあいだは、シーリング(ゴム状の充填材)でふさがれています。鹿児島市の公共建築物向けガイドブックによると、シーリングは紫外線の影響で劣化が進み、徐々に硬化して、ひび割れや剥離、破断が起こり、最終的には雨漏りや外壁のひび割れの原因になる、と説明されています。点検するときは実際に触って、柔らかいかどうかを確かめるようにとも書かれています。

3つ目は、窓のまわりの外壁や、もっと離れた場所から入った水です。 同じガイドブックは、雨漏りの代表的な原因として、屋根防水層の劣化、パラペット(屋上の立ち上がり壁)や外壁のひび割れ、窓枠と外壁の接合部からの漏水、コンクリート打ち継ぎ目地のシーリングの劣化、強風によるサッシからの吹き込みなどを挙げています。窓の近くに水が出ても、入口は壁や屋上のひび、目地にあることがあります。

沖縄で起こりやすい事情

沖縄の住まいは、非木造が96.5%、そのうち鉄骨鉄筋コンクリート造が93.8%と、RC造(鉄筋コンクリート造)が大半です(令和5年住宅・土地統計調査 沖縄県結果の要点、令和7年3月31日)。共同住宅は60.9%、借家は50.7%、持ち家率は42.6%です。

RC造の外壁は、コンクリートの壁とサッシの取り合い(つなぎ目)が、台風のたびに強い風雨にさらされます。一方、外壁のひび割れやシーリングは、住んでいる側から見えにくい場所にあります。集合住宅や借家では、外壁や共用部は自分では直せないことも多いでしょう。

結露か、雨水か。まずは見分ける

壁紙のシミや窓まわりの水滴が、雨漏りとは限りません。次の点を見てください。ここに挙げたのは一般的な見分け方の目安です。

  • 雨の日、あるいは雨の直後にだけ濡れるか。雨が降っていない日にも濡れるなら、結露の可能性があります。
  • 濡れているのが、ガラスの表面か。ガラス表面の水滴は結露が多く、サッシ枠やシーリング部分から水がにじむ場合は、外から入っている可能性があります。
  • 風向きや雨の強さで変わるか。特定の方角の横殴りの雨のときだけ出るなら、その面の窓や外壁に原因がある可能性があります。

見分けにくいときは、いつ、どの窓の、どこが濡れたか、そのときの風向きと雨の強さを、日付つきで写真と一緒にメモしておくと、後で調べる人の助けになります。鹿児島市のガイドブックも、雨漏りがあった場合は、雨が降り始めてすぐ漏れるのか、量はどのくらいか、風向きや雨の強さを記録しておくよう勧めています。

結露についての詳しい説明は結露・カビのページをご覧ください。

今日からできる確認と手入れ

窓や壁を工事する前に、自分で確認できることがあります。

  • サッシの下枠の溝を掃除する。 砂ぼこりや落ち葉が詰まると、水が流れにくくなります。まずは掃除機やブラシでごみを取り、水を流すときは室内にあふれないよう少量ずつにします。
  • 水抜き穴の位置を確認する。 下枠の水を外へ出す小さな穴が、水抜き穴です。機種によって位置や形が違うため、取扱説明書をご確認ください。針金などで強く突くと部品を傷つけるおそれがあります。
  • シーリングを目で見て、触る。 サッシと外壁の境目に、ひび、すき間、剥がれ、硬く縮んだ部分がないか見ます。手の届く範囲で、押して柔らかいか確かめます。高所の作業は避けてください。
  • 外壁と窓まわりのひびを見る。 窓の四隅から斜めに伸びるひび割れがないか、窓の上のひさしや外壁との取り合いに汚れの筋がないかを確認します。
  • 室内側の記録を残す。 シミの位置、広がり方、カビのにおい、壁紙の浮きを、日付つきで写真に撮っておきます。

台風の前後に、これを一度やっておくと、変化に気づきやすくなります。

窓まわりで変えられること

窓まわりの対策は、水の入り口が窓のどこにあるかによって、効くものが変わります。

対策できること限界・注意
シーリングの打ち替え(古いものを撤去して新しく充填する)サッシと外壁のすき間の劣化が原因なら、その入り口をふさぎ直せる外壁のひびや防水層など、別の経路が原因なら止まらない。足場が必要な場合がある
下枠の清掃・水抜き穴の手入れ下枠にたまった水が流れやすくなる強い風雨で水が下枠を越える場合は、この対策だけでは足りないことがある
カバー工法(既存の枠の上から新しい枠をかぶせる工法。詳しくは窓のカバー工法のページ)窓本体と、水密性能の新しい枠を使えるようになる。古いサッシ自体の劣化が原因の場合に選択肢になる枠ごと新しくするため、外壁とのすき間の処理が変わる。外壁側の防水が原因なら、窓だけでは直らない
内窓(今ある窓の室内側にもう1つ窓をつける。詳しくは内窓とは)結露、音、暑さ・寒さへの対策になる外から入る雨水そのものを止める工事ではない

カバー工法と内窓の違いは、内窓とカバー工法のページでも説明しています。

窓では解決しない・向かないケース

正直にお伝えします。窓の雨漏りは、窓の交換では直らず、外壁側の防水が原因のこともあります。

  • 水の入り口が外壁のひび割れや、目地のシーリング劣化にある場合。 窓を新しくしても、壁の中を通る水の経路は変わりません。外壁の補修や防水が先になります。
  • 屋上やバルコニーの防水層から入った水が、窓の近くに出ている場合。 離れた場所から伝ってきた水は、窓まわりに出てくることがあります。
  • 内窓だけで雨漏りを止めたい場合。 内窓は室内側に取りつけるため、外から入る水の入り口をふさぎません。
  • シミの正体が結露の場合。 結露なら、窓まわりの対策が有効なことがあります。この場合は雨漏りの工事ではなく、結露対策として考えます。

原因が特定できていない段階で、窓の工事を決めるのはおすすめしません。散水して水の入る場所を調べる方法もありますが、専門の調査が必要になる場合があります。

放置するとどうなるか

小さなシミだから様子を見る、という判断には注意が必要です。鹿児島市のガイドブックには、ひび割れから雨水が入ると、コンクリートの中性化と鉄筋のさびが始まり、さびが膨張してコンクリートが押し出され、落下に至る流れが図で示されています。窓まわりの外壁にも、同じことが起こる可能性があります。

室内側では、壁紙の内側に水分が残るとカビの原因になり、木の下地や枠が傷む場合があります。

賃貸・マンションの場合

賃貸や分譲マンションでは、窓のサッシや外壁、共用部を、ご自身の判断で直したり交換したりできないことが多くあります。まず管理会社、オーナー、管理組合に状況を伝えてください。そのとき、前の章でお伝えした日付つきの写真と記録があると、話が進めやすくなります。窓を新しくする工事や内窓の取りつけは、承諾が必要な場合があります。詳しくは賃貸の窓リフォームとマンションの内窓のページをご覧ください。

火災保険の風災補償で対象になるかどうかは、契約によって異なります。保険会社や代理店にご確認ください。

迷ったときの見分け方

  • 雨の日だけ、雨のあとだけ濡れる。→ 雨水の可能性が高い
  • 雨が降っていなくても朝に窓が濡れる。→ 結露の可能性がある(結露・カビ)
  • ガラスの表面が濡れている。→ 結露のことが多い
  • サッシ枠やシーリング周りから水がにじむ。→ 外から入っている可能性がある
  • 窓の上や横の壁紙にシミがある。→ 窓以外の経路もあるため、原因の確認が先
  • 台風のときだけ、特定の方角の窓から入る。→ 横殴りの雨の吹き込みの可能性がある(台風と窓)

よくあるご質問

サッシの下に水がたまるのは、故障ですか。

強風雨のときにサッシの下枠に水がたまること自体は、日本サッシ協会の資料で、構造上必要なことで不具合ではないとされています。水が下枠を越えて室内にあふれるときが、不具合として扱われます。

水抜き穴は、自分で掃除してよいですか。

ごみを取り除く程度の手入れなら、多くのお宅でできます。ただし機種によって構造が違います。針金などで強く突くと部品を傷つけるおそれがあるため、取扱説明書をご確認ください。

内窓をつければ、雨は入らなくなりますか。

内窓は、外から入る雨水そのものを止める工事ではありません。結露や音、暑さ・寒さへの対策として考える製品です。雨水が入る原因は、別に調べる必要があります。

雨漏りかどうか分からないとき、どこに相談すればよいですか。

住宅の不具合や契約のトラブルについては、公益財団法人 住宅リフォーム・紛争処理支援センターの「住まいるダイヤル」が相談窓口として案内されています。窓まわりの状況を見てほしい場合は、私たちにもご相談ください。

このページで参照した資料

  • 日本サッシ協会「サッシの水密性能について」(作成2001年7月)
  • 日本サッシ協会「サッシまわりの雨水浸入防止対策(木造住宅用・要約版)」(第二版 2008年10月)
  • 鹿児島市 公共建築物のガイドブック「建築」の章(2020年4月作成のPDF)
  • 住宅リフォーム・紛争処理支援センター「住宅相談・紛争処理支援業務について」
  • 令和5年住宅・土地統計調査 沖縄県結果の要点(令和7年3月31日)

現地を見せていただいてから、正直にお伝えします

窓から雨が入る原因は、窓の中、サッシと外壁のすき間、外壁やほかの場所と、いくつもの可能性があります。お写真だけでは判断できないことも多くあります。

現地調査と見積りは無料です。実際の窓と外壁を見たうえで、窓の工事で変えられる範囲か、外壁側の防水など別の対応が先かを、分かる範囲で正直にお伝えします。窓ではないと分かれば、そう申し上げます。料金は料金のページ、ご相談はお問い合わせからどうぞ。