「家じゅうがずっと暑いわけではないのに、寝室だけがどうにも寝苦しい」。沖縄で窓のご相談をいただくとき、夏場にいちばん多いのがこのお話です。リビングはエアコンが効くのに、寝る部屋だけは冷えるまでに時間がかかる。明け方に暑さで目が覚める。エアコンを一晩つけっぱなしにしないと眠れない。思い当たる方は少なくないはずです。
この記事では、まず沖縄の夜がどれくらい下がらないのかを気象庁の平年値で確かめたうえで、「寝室だけ暑い」と感じるときに何から疑えばいいのかを順番に整理します。そのうえで、内窓(二重窓)でできること・できないことを、できるだけ正直に書きます。窓屋が書く記事ですが、窓を売るための記事にはしないつもりです。
沖縄の夜が下がらないことを、まず数字で確かめる
気象庁の平年値(1991〜2020年)によると、那覇で日最低気温が25.0℃以上になる日、いわゆる熱帯夜は年間107.3日あります。1年のうち約3.5か月ぶんが熱帯夜、という計算になります。
- 4月 0.1日
- 5月 2.6日
- 6月 16.8日
- 7月 29.2日
- 8月 29.3日
- 9月 22.6日
- 10月 6.4日
- 11月 0.2日
7月は31日のうち29.2日、8月は29.3日です。平年並みの年であれば、7月と8月はほとんど毎晩が熱帯夜だということになります。6月から9月までの4か月で97.9日、年間の約91パーセントがこの時期に集中しています(当社算出)。夏のあいだ、夜が下がる日はほとんどありません。
出典:気象庁「那覇 平年値(年・月ごとの値)詳細(気温・蒸気圧・湿度)」
猛暑日がほとんど無いのに寝苦しい、という沖縄の特徴
同じ平年値をもう一つの角度から見ると、沖縄の暑さの正体が見えてきます。那覇で日最高気温が35.0℃以上になる日、いわゆる猛暑日は年間わずか0.2日です。いっぽう東京は4.8日あります。昼のピークの気温だけを比べると、那覇のほうがむしろ低いのです。
ところが熱帯夜の日数は、那覇107.3日に対して東京17.8日。那覇は東京のおよそ6倍あります(当社算出)。
つまり沖縄の夏は、「昼がとんでもなく暑い」タイプではなく、「夜になっても下がりきらない」タイプです。ニュースで流れる最高気温の全国ランキングに沖縄の地名がなかなか出てこないのに、住んでいる方の体感はずっとしんどい。その理由がここにあります。ランキングに出る数字は昼の話で、眠れないのは夜の話だからです。
あわせて、那覇の6月の平均湿度は83パーセントで、年間でいちばん高くなります。気温が同じでも湿度が高いと汗が蒸発しにくく、体から熱が逃げにくくなります。夜の寝苦しさは、温度計の数字だけでは説明できません。
沖縄の熱中症は6月がピーク。いちばん多い発生場所は「住居」
消防庁がまとめた令和7年(2025年)5月から9月の熱中症による救急搬送状況を見ると、沖縄県の搬送人員は1,513人でした。月別の内訳は5月115人、6月417人、7月369人、8月348人、9月264人です。
注目していただきたいのは、6月がいちばん多いという点です。全国の搬送人員は7月の39,375人が最多で、6月は17,229人ですから、全国の山は7月にあります。沖縄だけ、山が1か月前倒しになっているのです。梅雨明けが早く、6月から夜が下がらなくなることと無関係ではないはずです。「まだ6月だから」と油断しやすい時期こそ、沖縄ではいちばん気をつけたい時期だということになります。
もう一つ。同じ資料の発生場所別を見ると、沖縄県で最も多かったのは「住居」の537人で、県全体の約35パーセントを占めます(当社算出)。次いで公衆(屋外)280人、道路207人と続きます。全国でも住居が38.1パーセントで最多です。熱中症は外で起きるものというイメージがありますが、実際にいちばん多くの方が運ばれているのは家の中なのです。
出典:総務省消防庁「令和7年(5月〜9月)の熱中症による救急搬送状況」
眠っているあいだは、自分で暑さに気づいて対処することができません。寝室の環境を整えることは、快適さの話であると同時に、安全の話でもあります。厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」でも、夏は他の季節より睡眠時間が短く、寝つきや眠りの持続が難しくなるとしたうえで、その一因として高温・多湿な寝室環境を挙げています。

「寝室だけ暑い」と感じるとき、疑う順番があります
ここからが本題です。ただ、いきなり窓の話にはしません。寝室が暑い原因はいくつもあって、窓はそのうちの一つでしかないからです。順番を間違えると、お金をかけたのに解決しなかった、ということになりかねません。
私たちがご相談を受けたとき、頭の中で確認している順番はこうです。
- エアコンそのものに問題はないか(目詰まり・冷媒不足・年式による能力低下・設置位置)
- 部屋の広さや形に対して、エアコンの畳数が足りているか
- 昼のあいだ、その部屋にどれだけ日が入っているか
- 天井裏や屋上から熱が入っていないか
- 窓の断熱・気密はどうか
窓は5番目です。1から4を飛ばして内窓を付けても、期待した結果にならないことがあります。
まずエアコンを疑ってください。窓の話はそのあとです
寝室が冷えないというご相談で、実際にはエアコン側に理由があったというケースは珍しくありません。フィルターや熱交換器の目詰まり、冷媒(ガス)の不足、10年以上使っている機種の能力低下、部屋の広さに対して畳数が小さいエアコン、風が寝ている位置に届かない設置角度。いずれも窓とは関係のない話です。
エアコン側の切り分けについては沖縄でエアコンが効かないときのページで詳しくまとめています。窓のご相談の前に、まずこちらを読んでいただくほうが早い場合があります。
私たちはガラスと窓の専門店で、エアコンの修理や交換は扱っていません。ここは正直にお伝えします。エアコンに原因がありそうなときは、その旨をお伝えして、いったん窓の工事をお勧めしないこともあります。
昼のあいだに寝室へ入った熱は、夜になっても出ていきません
エアコン側に問題がなさそうなら、次に見るのは「昼のあいだ、その部屋がどれだけ熱をためたか」です。
沖縄の住宅は非木造が96.5パーセントを占め、そのうち鉄筋コンクリート系が93.8パーセントです(令和5年住宅・土地統計調査/沖縄県)。コンクリートは熱をためこむ性質があります。昼のあいだに壁や床がためた熱は、日が沈んでからゆっくり室内側へ放出されます。外気温が下がりはじめても部屋がなかなか涼しくならないのは、このためです。
そして沖縄の場合、その外気温自体が下がりません。前述のとおり7月・8月はほぼ毎晩が熱帯夜で、朝までに躯体が冷えきる機会がないまま次の日を迎えます。日中に熱をためて、夜に放出して、冷めきる前にまた朝が来る。この繰り返しが夏のあいだじゅう続きます。
西向き・北西向きの寝室は特に不利です。那覇の7月1日の日の入りの方位は西北西(296.4度)で、夕方から日没まで、低い角度の日差しが窓へまっすぐ入ってきます。庇(ひさし)は真上から来る南の日射には効きますが、真横から来る西日には効きません。詳しくは沖縄の西日対策のページに書いています。

窓が熱の出入り口になりやすい理由
壁や屋根と比べると、窓はとても薄い部分です。板ガラス1枚の厚みは3ミリから5ミリ程度で、コンクリートの壁とは比べものになりません。家の中で外と接している部分のうち、いちばん熱が通りやすいのが窓だ、というのはそのためです。
さらに、古いアルミサッシは枠そのものが金属で、熱をよく伝えます。すき間から出入りする空気の量も、年数が経つほど増えていきます。窓を触ってみて、昼にじんわり温かい、夜になっても温かい、というときは、そこが熱の通り道になっています。
窓の種類ごとの考え方は窓のリフォームのページにまとめました。
内窓(二重窓)で、寝室にできること
内窓は、いま付いている窓の内側にもう一枚の窓を取り付けて、窓と窓のあいだに空気の層をつくる工事です。既存の窓を外したり壊したりはしません。
寝室に付けたときに期待できるのは、おおむね次のようなことです。
- 窓を通って出入りする熱の量が減り、エアコンで冷やした空気が保たれやすくなる
- すき間からの空気の出入りが減る
- 外の音が伝わりにくくなる(道路沿いや繁華街の近くでは、こちらを目当てにされる方も多いです)
- 窓まわりのすき間風やほこりの侵入が減る
寝室はリビングに比べて部屋が小さく、窓の数も少ないことがほとんどです。窓の枚数あたりの手応えという意味では、実は寝室は手をつけやすい部屋です。
内窓そのものの仕組みや製品については内窓(二重窓)のページで説明しています。実際の施工写真は施工事例にまとめました。

内窓ではできないこと・解決しないことも書いておきます
ここが、いちばん大事なところだと思っています。
まず、私たちは「内窓を付けると室温が何度下がります」「騒音が何デシベル下がります」といった数字はお出ししません。同じ製品を付けても、住まいの構造、窓の向き、部屋の広さ、階数、周囲の建物、エアコンの能力によって結果がまったく変わるからです。数字を約束できるふりをするより、現地を見せていただいたうえで正直にお伝えするほうが誠実だと考えています。
そのうえで、内窓では解決しないことをいくつか挙げます。
- 天井や屋上から入ってくる熱。最上階で「天井が熱い」と感じる場合、主な原因は窓ではありません
- エアコンの能力不足や故障。窓を直しても、冷やす力そのものは増えません
- 壁の断熱不足。窓だけ強くしても、壁からの熱の出入りは変わりません
- 建物全体の暑さ。内窓は工事した部屋にしか効きません
また、内窓は台風対策にはなりません。窓が風に耐える力は、あくまで外側に付いている既存のサッシで決まるためです。台風の日に内窓があるから安心、ということはありません。
「寝室だけ」を工事しても意味はあるのか
よくいただくご質問です。結論から言えば、意味はあります。ただし条件付きです。
内窓の効果は、工事した窓のある部屋の中で完結します。寝室に付ければ寝室に効きますが、リビングには効きません。逆に言えば、「家じゅうを一度にやらないと意味がない」ということもありません。夜に長く過ごす部屋、エアコンを長時間動かす部屋から順に手をつけていくのは、理にかなった進め方です。
条件というのは、その部屋のドアを閉めて使うかどうかです。寝るときに寝室のドアを開けっぱなしにしていると、隣の部屋や廊下と空気がつながってしまい、寝室だけを整えた手応えは薄れます。ドアを閉めて眠る習慣がある方ほど、寝室単独の工事は向いています。
ご予算の都合で全室は難しいという場合に、まず寝室から、というご提案をすることが多いのはこのためです。電気代の面からの考え方は沖縄の電気代と窓のページにも書きました。
寝室に内窓を付けるときの、現実的な注意点
良いことばかり書いても仕方がないので、実際に付けたあとで「思っていたのと違った」となりやすい点も挙げておきます。
- 窓の開け閉めが二手間になります。夜風を入れたい日、朝に換気したい日は、そのぶん手数が増えます
- 掃除する面が増えます。ガラスの枚数が2倍になるので、拭く手間もそのぶんかかります
- 窓際にベッドや家具を寄せている場合、内窓の障子(可動する部分)を開けるスペースが必要です。ベッドヘッドが窓に接していると、開け閉めしづらくなることがあります
- カーテンレールの位置によっては、レールを前に出す、または付け替える必要が出ることがあります
- 窓枠の奥行きが足りない場合は「ふかし枠」という部材を足して奥行きをつくります。そのぶん室内側へ数センチ出っ張ります
いずれも現地を見れば事前に分かることばかりです。採寸のときに必ずご説明します。

費用と、先進的窓リノベ2026の補助金について
費用は窓の大きさ・枚数・ガラスの種類で変わります。おおよその目安は料金のページに載せています。
いま内窓を検討されるなら、国の補助事業「先進的窓リノベ2026事業」は必ず確認してください。窓の断熱改修に対して補助が出る制度で、内窓の設置も対象です。事業の内容は沖縄の先進的窓リノベ2026のページと補助金のページにまとめています。
注意点が二つあります。一つは、予算の上限に達した時点で受付が終了することです。公式サイトの発表では、2026年8月24日午前0時時点で、予算に対する補助金申請額の割合は19パーセントでした(毎日午前中に更新されます)。もう一つは、一般の方が直接申請することはできず、登録された事業者との契約でなければ対象にならないことです。当社は登録事業者です。
制度は年度ごとに内容が変わります。最新の条件は必ず公式サイトでご確認ください。出典:環境省「先進的窓リノベ2026事業」公式サイト
工事は寝室1部屋なら半日ほど。那覇・浦添・沖縄市など県内どこでも
内窓の取り付けは、1つの窓につきおおむね1時間前後です。寝室の窓が1か所から2か所であれば、半日ほどで終わることがほとんどです。壁を壊さないので大きな音や粉じんもほとんど出ず、その日の夜からいつもどおり眠っていただけます。
ご相談から工事までの流れはご依頼の流れにまとめています。よくあるご質問もあわせてご覧ください。
対応エリアは沖縄県全域です。那覇市、浦添市、沖縄市をはじめ、県内各地へ伺っています。沖縄の暑さ・塩害・台風をまとめて考えたい方は窓リフォームの総合ページもあわせてどうぞ。
まずは寝室を見せてください
ここまで読んでいただいて、「うちの場合はどれが原因なんだろう」と思われた方が多いと思います。それでいいのだと思っています。寝室が暑い理由は家ごとに違い、文章だけで言い当てられるものではありません。
窓の向き、階数、窓の大きさ、いま付いているサッシの状態、エアコンの位置と年式、天井からの熱の入り方。実際に見せていただければ、窓で改善できそうか、それとも別のところに原因がありそうかを、その場でお伝えします。窓の工事が向いていないと判断したときは、そう申し上げます。
お見積り・現地調査は無料です。お問い合わせからお気軽にご相談ください。眠れない夜が3か月半続く島だからこそ、寝る部屋から整えるのは悪くない選択だと思っています。