「コンクリートの家は丈夫だと聞いていたのに、夏は夕方からのほうが暑い」——沖縄でいちばん多くいただくご相談のひとつです。エアコンをつけても効きはじめるまでが長い、夜になっても壁がほんのり温かい、朝までなんとなく蒸し暑い。木造住宅の多い本土から移ってこられた方ほど、この感覚に戸惑われます。
これは住まいが傷んでいるからでも、エアコンが壊れているからでもないことがほとんどです。鉄筋コンクリート造(RC造)という構造の性質と、沖縄の気候の組み合わせで起きている現象です。このページでは、気象庁の平年値と国の省エネ基準という公的な数字をもとに暑くなる仕組みを整理し、そのうえで窓でできること・できないことを、那覇の窓とドアの専門店として正直にお伝えします。
沖縄の家がコンクリートなのには理由があります
総務省統計局の令和5年住宅・土地統計調査によると、沖縄県の住宅は非木造が96.5%を占め、そのうち鉄筋・鉄骨コンクリート造が93.8%です。全国では木造が半分以上を占めますから、沖縄だけが極端に違います。共同住宅の割合も60.9%と全国2位の高さです。
台風の常襲地であること、シロアリの被害を受けやすいこと、戦後に木材が手に入りにくかったこと。理由はいくつも重なっていますが、結果として沖縄の住まいは「風には強いけれど、熱は溜め込む」構造になりました。台風・塩害と窓の関係については沖縄の暑さ・塩害・台風から家を守る窓リフォームのページでもご案内しています。
「コンクリートは涼しい」は、沖縄では当てはまりにくい
コンクリートは熱を溜めこむ性質(蓄熱)があります。これは新築の住宅でしばしば長所として説明されますが、国の省エネ計算では、蓄熱は「冬に効くもの」としてしか扱われていません。
国立研究開発法人建築研究所が公開している国の技術情報では、「蓄熱の利用」を「土壁、コンクリート土間等、住戸内に積極的に蓄熱部材を用いることにより、暖房期の暖房負荷の低減を行う、計画上の措置」と定義しています。つまり評価されるのは暖房期だけで、冷房期の効果としては計上されていません(出典:国立研究開発法人建築研究所「平成28年省エネルギー基準に準拠したエネルギー消費性能の評価に関する技術情報(住宅)第一章 概要と用語の定義」 こちら)。
沖縄はほとんど暖房を使いません。ということは、コンクリートの蓄熱という長所は、沖縄では数字のうえでメリットとして返ってこないことになります。残るのは「夏に溜め込む」側の性質だけ、という状態になりがちです。
那覇は、夜になっても外気が5℃しか下がりません
溜め込んだ熱は、外が涼しくなれば抜けていきます。ところが沖縄はその「外が涼しくなる」が起きにくい土地です。
気象庁の平年値(1991〜2020年)から日最高気温と日最低気温の差を計算すると、那覇は年平均で4.9℃、8月は5.0℃しかありません。同じ計算で東京は年8.2℃、8月7.8℃です(当社算出/出典:気象庁 那覇・東京 平年値 詳細(気温・蒸気圧・湿度))。
さらに那覇の日最低気温の平年値は7月27.0℃、8月26.8℃。熱帯夜(日最低25℃以上)の日数は年107.3日にのぼります。昼のあいだにコンクリートが吸った熱を夜に逃がそうとしても、外気が5℃しか下がらないうえに、そもそも27℃近くあるのですから、熱の行き場がありません。翌朝には熱が残ったまま、また日射を受けることになります。
沖縄に猛暑日はほとんどないのに、暑さが長く続きます
意外に思われるかもしれませんが、那覇の猛暑日(日最高35℃以上)は平年値で年0.2日しかありません。東京は4.8日です。ところが日最高30℃以上の日数になると、那覇は年102.5日、東京は52.1日と逆転し、約2倍になります(出典:同上)。
この対比が、沖縄のコンクリート住宅の暑さをよく説明してくれます。瞬間の最高気温はそれほど高くない。けれども「そこそこ暑い日」が1年の3分の1近く続く。蓄熱する躯体にとっていちばんこたえるのは、ピークの高さではなく、熱を受け続ける期間の長さです。ニュースの最高気温ランキングに沖縄が出てこないのに、住んでいる体感がしんどいのは、このためです。

国は、沖縄にだけ「断熱」の基準値を置いていません
国の省エネ基準は全国を8つの地域に分けており、沖縄県は全域が最も暑い8地域です。この8地域だけ、断熱性能を示すUA値(外皮平均熱貫流率)の基準値が定められておらず、日射の入りにくさを示すηAC値(冷房期の平均日射熱取得率)の基準だけが置かれています。
この基準値の一覧は国土交通省の社会資本整備審議会資料「【参考】住宅における外皮性能」(こちら)で確認できます。理由についても、別の国土交通省資料にはっきり書かれています。「沖縄県(8地域)においては、他の地域と異なり暖房の使用がほとんど無く、全体のエネルギー消費量に占める冷房エネルギー消費量の割合が大きいことから、外皮基準について、外皮平均熱貫流率(UA値)の基準を設けず、冷房期の平均日射熱取得率(ηAC値)の基準のみを設けている」(出典:国土交通省「建築物エネルギー消費性能基準等に係る検討の方向性(案)について」資料4 こちら)。
同じ資料には、さらに踏み込んだ記述もあります。沖縄で日射を遮る手立てが十分でないまま基準に適合させようとすると、「外壁等の断熱性能の向上が必要となり、かえって冷房エネルギー消費量を増加させてしまう場合がある」というものです。「とりあえず壁の断熱を厚くする」という発想を、国のほうが慎重に見ているということになります。
もうひとつ、国が8地域の計算で使う住宅の標準モデルは、天井には断熱材を入れ、壁と床は無断熱、窓はアルミサッシの単板ガラスに外付けブラインドという組み合わせです(出典:同上)。壁を厚く包むことではなく、窓から入る日射を止めることを前提に基準がつくられているのです。
コンクリート住宅の暑さ対策を考えるときも、この順番で見ていくのがいちばん筋が通ります。内窓(二重窓)のページでも、この考え方をもとにご案内しています。
熱がいちばん多く入ってくるのは、壁ではなく窓です
コンクリートの壁は厚みがあるぶん、外の熱が室内側に伝わるまでに時間がかかります。夕方から暑くなるのは、昼に受けた熱が数時間おくれて出てくるからです。
いっぽう窓は、厚み5〜6ミリほどのガラス1枚が外と室内を隔てているだけです。太陽の光は壁のように時間をかけて伝わるのではなく、ガラスを通り抜けてそのまま室内の床や家具を温めます。面積は小さくても、いちばん速く、いちばん直接的に熱が入ってくるのが窓です。だからこそ、国も8地域には日射遮蔽の基準を置いています。窓まわり全体の考え方は窓リフォームのページにまとめています。
「窓を開けて涼む」も、沖縄の夏の夜には効きにくい
先ほどの国の技術情報では、「通風の利用」を「夏期夜間や中間期など気象条件が温熱感覚上の体感改善に有効な場合に、外気を通風という形で積極的に取り入れ、冷房エネルギー消費量の削減を実現することを目的とした措置」と定義しています。あくまで「気象条件が有効な場合に」という条件つきです。
那覇の8月は、夜でも外気が26.8℃、平均湿度が78%あります。窓を開けても入ってくるのは、室内とほとんど同じ温度で、湿った空気です。本土では有効な「夜に窓を開けて熱を逃がす」が、沖縄の真夏には効きにくくなるのは、責められる話ではなく気象条件の違いです。エアコンの効き自体に不安があるときは沖縄でエアコンが効かないときの原因の切り分けもあわせてご覧ください。
最上階と西向きの部屋が、とくに暑くなります
同じ建物でも、暑さの出方には偏りがあります。まず最上階です。屋上のスラブは一日じゅう直射日光を受け、その熱がそのまま天井側から降りてきます。RCの戸建てでも、マンションの最上階でも同じことが起こります。
もうひとつが西側の部屋です。沖縄は夏の太陽高度が高く、南の窓には庇(ひさし)が効きますが、低い角度から差し込む西日には庇がほとんど効きません。夕方の西日については沖縄の西日対策で詳しく書いています。冷房が効きにくい部屋が増えると電気代にも表れますので、沖縄の電気代を窓で下げるもあわせてどうぞ。

窓でできること(1)内窓(二重窓)
いまの窓の内側にもう一つ窓を足す工事です。窓と窓のあいだに空気の層ができるため、外の熱が室内へ伝わりにくくなります。壁を壊さずに済み、1か所あたり1時間程度で終わることが多いので、住みながら進められるのが利点です。
沖縄で結果を分けるのは、内窓に入れるガラスの選び方です。同じLow-E複層ガラスでも、日射を跳ね返す「遮熱タイプ」と、熱を逃がしにくくする「断熱タイプ」があります。前の章で見たとおり、国が沖縄に求めているのは日射遮蔽ですから、遮熱寄りの選び方が合う場面が多くなります。ただし北向きの部屋や、明るさを優先したい部屋では判断が変わります。料金のページもあわせてご覧ください。
窓でできること(2)ガラス交換とカバー工法
ガラスだけを性能の高いものに入れ替える方法もあります。サッシがしっかりしていて、ガラスの厚みが合えば、いちばん手数の少ない選択肢です。
サッシそのものが古く、建て付けが悪い、隙間風が入るという場合は、既存の枠を残したまま新しい窓をかぶせるカバー工法があります。RC造は開口部の寸法が躯体で決まっているため、壁を壊す(はつる)工事は大がかりになりますが、カバー工法なら躯体に手を入れずに済みます。玄関ドアも同じ考え方で交換でき、詳しくは玄関ドアのページをご覧ください。実際の仕上がりは施工事例でご確認いただけます。

正直にお伝えします|窓だけでは解決しないこと
窓の会社が言うのも妙ですが、沖縄のコンクリート住宅の暑さは、窓だけで解決するものではありません。
とくに最上階や平屋のRCでは、屋上から入ってくる熱のほうが大きいことがあります。この場合は屋上防水のやり替えや遮熱塗装のほうが先です。外壁のひび割れから熱と雨が入っているなら、そちらが先です。エアコンの容量が部屋に対して小さい、室外機が西日にさらされている、といった機器側の問題も珍しくありません。
また、「何℃下がります」「電気代が何%減ります」といった数字を、私たちは事前にお約束しません。同じ工事でも、部屋の向き、階数、窓の面積、屋上の状態、エアコンの容量で結果はまったく変わるからです。現地を見せていただいたうえで、窓で改善できる部分と、そうでない部分を分けて正直にお伝えします。よくいただくご質問はQ&Aのページにまとめています。
先進的窓リノベ2026の補助金が使えます
内窓の設置、ガラス交換、カバー工法による外窓交換は、いずれも国の「先進的窓リノベ2026事業」の補助対象です。工事内容とガラスの性能グレード、窓の大きさで補助額が決まります。
注意していただきたいのは、この補助金は一般のお客さまがご自身で申請できないことです。あらかじめ登録された事業者が申請と還元を行うため、登録のない業者と契約すると対象になりません。予算の消化状況は公式サイトで毎日更新されており、2026年8月27日午前0時時点で19%でした(出典:先進的窓リノベ2026事業 公式サイト こちら)。予算上限に達した時点で受付が終了します。
制度の中身は先進的窓リノベ2026(沖縄)、沖縄で使える補助金全般は補助金のページでご案内しています。

沖縄のコンクリート住宅で、手を付ける順番
ご相談をいただいたとき、私たちがいつもお伝えしている順番です。
1つめ、エアコン側の確認。フィルター、室外機の設置場所、容量が部屋に合っているか。ここが原因なら窓を触っても変わりません。
2つめ、日射が直接入る窓。西向き・南西向き、そして最上階の窓から手を付けます。全部の窓をいっぺんに触る必要はありません。
3つめ、屋上と外壁。最上階・平屋で改善が足りないときは、屋上側の対策を検討します。
4つめ、残りの窓と玄関。ここまでで手応えを確かめてから、範囲を広げるほうが無駄がありません。
よくあるご質問
Q. 内窓を付ければ、コンクリートの蓄熱もなくなりますか。
いいえ。躯体が熱を溜める性質そのものは変わりません。内窓が担うのは「窓から新しく入ってくる日射と熱を減らすこと」です。入ってくる量が減れば、溜まる量も冷房の負担も減っていきます。
Q. 賃貸やマンションでも工事できますか。
賃貸は貸主さまの承諾、分譲マンションは管理組合の承認が必要になる場合があります。必要な書類の作成はこちらでお手伝いできますので、まずはご相談ください。
Q. 全部の窓に付けないと意味がないですか。
そんなことはありません。日射がいちばん入る部屋の1〜2か所からでも十分に始められます。むしろ、効く場所から順に進めるほうが費用対効果は高くなります。
Q. 工事にどのくらいかかりますか。
内窓は1か所あたり1時間ほど、ガラス交換はより短時間で終わることが多いです。カバー工法は半日から1日が目安です。
那覇のマドアーズ!沖縄にご相談ください
マドアーズ!沖縄は、沖縄県の窓・玄関ドアのリフォームを専門にしています。那覇市、浦添市、宜野湾市をはじめ沖縄本島全域にお伺いします。
コンクリート住宅の暑さは、原因がひとつではありません。だからこそ、現地を見せていただいてから、窓で変えられることと変えられないことをはっきりお伝えします。無理におすすめすることはありませんので、お問い合わせから気軽にお声かけください。