夜、赤ちゃんが泣き出した。窓は閉めているのに、隣の部屋や上の階に聞こえていないだろうか。子どもが走り回る音、ペットの鳴き声、練習中のピアノ、少し大きくなったテレビの音。「迷惑になっていないか」と、あとから気になった経験はありませんか。

音を出している側は、自分の音がどれくらい外へ届いているのか分かりにくいものです。名古屋市の生活騒音のページにも、音を出している人が、近所の人に迷惑をかけていることに気づいていない場合が多い、という趣旨の説明があります。心配になるのは、周りを気づかっている証拠でもあります。

この記事では、音がどこから漏れるのか、今日からできること、窓まわりで変えられること、そして窓では解決しないことを、順に整理します。

生活の音は「出さない」ことはできない

環境省のパンフレット「うるさくなっていませんか?生活騒音」では、生活騒音を、ピアノやクーラー、集合住宅の給排水音、自動車のアイドリングなど、ふつうの暮らしに伴って住まいの中や周りで出る音としています。そのうえで、誰もが被害者にも加害者にもなる可能性があり、感じ方は人それぞれだと説明しています。

同じパンフレットは、生活騒音の発生源の内訳として、電気機器、楽器・音響機器、人の声・足音・給排水音、ペットなどを挙げています。赤ちゃんの声、子どもの足音、楽器、テレビは、いずれも「ふつうの暮らしの音」の範囲に入ります。

また、このパンフレットには「生活騒音には法的規制はありませんが、近隣住民や地域内で話し合う、市区町村に相談するなどの解決方法があります」と書かれています。ここでは、個別のトラブルの判断には立ち入りません。音を出す側として何ができるかに絞ります。

音はどこから漏れるのか

音は、空気の振動として、すきまや薄い部分を通って外へ出ます。経路を知ると、手を打つ場所が見えてきます。

日本サッシ協会は、サッシ(窓)は閉めきっていても音の出入りが起こり得ること、構造上すきまをなくせないため音を完全に遮ることはできないことを説明しています。パッキンなどの気密部品でできるだけすきまを少なくしている、とのことです。

主な経路を整理すると、次のとおりです。

経路漏れ方
窓ガラスと枠のすきま、引き違い部分のすきま。窓を開けていればそのまま外へ出る
換気口・換気扇外とつながる穴なので、音も通りやすい
玄関ドア・室内ドアドアの下や周りのすきま。共用廊下側へ出る
壁・天井空気を伝わる音が、壁を通り抜ける
床・壁・柱歩く音や物を落とす音が、建物の躯体(骨組み)を伝わる

出典:日本サッシ協会「サッシの遮音性」、日本建設業連合会 技術研究部会音環境専門部会「固体伝搬音」の用語解説

最後の「床・壁・柱を伝わる音」は、空気中を伝わる音とは別の性質を持っています。窓まわりの対策で届く範囲を考えるときの大事な分かれ目なので、後の節で改めて触れます。

沖縄の住まいで、音が気になりやすい事情

沖縄は、ほかの地域と住まいの事情が少し違います。令和5年住宅・土地統計調査(沖縄県結果の要点、令和7年3月31日)によると、沖縄の住宅の非木造は96.5%、鉄骨鉄筋コンクリート造は93.8%、共同住宅は60.9%、借家は50.7%です。壁や床を隣の住戸と共有する暮らしが、全国より多い土地柄だと言えます。

気候も関係します。気象庁の平年値(1991〜2020年)では、那覇の月平均気温は1月17.3℃、7月29.1℃、年平均23.3℃、湿度は1月66%、6月83%、7月78%、年平均73%です。一般的には、暑さや湿気の多い時期は窓を開けたくなる一方、エアコンを使うために閉める時間も長くなりがちです。窓を開けたままだと、音はそのまま外へ出ます。窓を閉めた状態の音の通り方と、開けた状態の音の通り方を、季節で分けて考えると整理しやすくなります。

今日からできること

道具を買う前に、音の「出し方」と「置き方」を見直すだけで、気持ちが軽くなる場合があります。環境省のパンフレットは、生活騒音を防ぐための「5つの気くばり」として次を挙げています。

  • 時間帯に配慮しましょう
  • 音がもれない工夫をしましょう
  • 音は小さくする工夫をしましょう
  • 音の小さい機器を選びましょう
  • ご近所とのおつきあいを大切にしましょう

別の環境省パンフレット「その音だいじょうぶ?」では、具体的な例として次のような点が示されています。

  • 深夜・早朝はとくに注意する
  • 楽器やステレオ、テレビの音量に気をつける。ステレオなどではヘッドホンを使う
  • ピアノやステレオ、エアコンなどは、隣家から離して置く
  • ドアや窓の開け閉めにも気くばりをする
  • ペットの鳴き声は、習性を知ってしつけをしっかり行い、近隣に配慮する
  • 日頃からあいさつをするなど、近所づきあいを心がける

ここから、おうちでできる具体的な工夫に落とすと、次のようになります。

  • 音を出す時間を選ぶ。 楽器の練習やホームシアターは、夜遅くや早朝を避けます。
  • 音源の置き場所を変える。 隣の住戸と接している壁から離して、スピーカーや楽器を置きます。
  • 家具を壁に添わせる。 本棚やタンスを、隣と接する壁に置くと、空気中を伝わる音が壁に当たる前の障害物になる場合があります。
  • 床にカーペットやマットを敷く。 足音や物を落とした音がやわらぐ場合があります。日本サッシ協会も、室内で吸音効果のある厚手のカーテンやじゅうたんを使う方法に触れています。
  • ドアや窓のすきまを見直す。 閉めたときに、すきま風を感じるところや、パッキンが傷んでいるところがないかを確かめます。
  • 窓を閉めて、音を出す。 窓を開けたままの演奏やテレビは、外へそのまま届きます。
  • ひと言あいさつしておく。 赤ちゃんが生まれたとき、楽器を始めるときなどに、近所へ一言伝えておくだけでも、受け取られ方は変わる場合があります。

窓まわりで変えられること

窓は、音が出入りする経路の一つです。窓まわりでできることには、次のようなものがあります。

1. まず、いまの窓の状態を確かめる

日本サッシ協会は、音漏れが大きいと感じるときは、サッシ各部の調整が不十分な可能性があること、パッキンなど気密部品のねじれや経年劣化も確認することを挙げています。気になる場合は、メーカーの取扱説明書やホームページを参照し、建築会社や工務店、販売店に相談するよう勧めています。調整やパッキン交換で済む場合もあります。

2. 内窓(二重窓)を付ける

内窓は、いまの窓の室内側に、もう一つ窓を付ける方法です。窓が二重になり、窓の部分を通る音がやわらぐ場合があります。工事の内容や費用は 内窓とは と 料金 をご覧ください。補助金については 補助金のページ にまとめています。

3. ガラスを替える・カバー工法で窓ごと替える

ガラスを厚いものや音に配慮した種類に替える方法、いまの枠の上から新しい窓をかぶせる 窓のカバー工法 もあります。選び方は、内窓のガラス選び も参考にしてください。

日本サッシ協会によると、サッシの遮音性能はJIS(日本産業規格)で等級が決められており、実験室での測定値は次のとおりです。

等級遮音量室外80dBのときの室内騒音(実験室)
T-125dB約55dB
T-230dB約50dB
T-335dB約45dB

出典:日本サッシ協会「サッシの遮音性」

ただし同じ資料では、この数値は実験室での測定値であり、実際の住宅では、換気口や換気扇、ベランダの有無や構造、家具の配置なども影響し、部屋ごとに騒音レベルが異なる場合があると説明されています。表の数字が、そのままご自宅の効果になるわけではありません。また、これは室外の音が室内へ入るときの話として示された等級です。音が内から外へ出る場合も、すきまを通る点は同じですが、実際の聞こえ方は条件で変わります。

内窓を付けても、音が出なくなるわけではありません。窓の部分から出る音を、やわらげやすくなるという位置づけです。

窓では解決しないこと・向かないケース

正直にお伝えしたいのは、窓の工事でできる範囲には限りがある、という点です。

足音・飛び跳ねる音・物を落とす音は、窓では届きません。

日本建設業連合会の用語解説は、歩行、ドアの開閉、物の落下などで建物に力や衝撃が加わると、振動が建物の構造を伝わり、壁などから音として放射されること、これを固体伝搬音というと説明しています。固体伝搬音は、伝搬経路が複雑で減衰しにくく、一般に空気を伝わる音よりも制御が難しい、とされています。

制御の方法として、厚手のカーペットなどやわらかく緩衝作用のある材料を表面に用いる、ゴムやポリウレタンマットなどの防振材料を用いる、構造体の剛性を高める、といった例が挙げられています。つまり対策の中心は床や壁など「揺れの出どころ」に近いところで、窓ではありません。

次のような場合は、窓まわりの工事だけでは、期待した変化にならない場合があります。

  • 気になっているのが、子どもの走る音、飛び跳ねる音、家具を引きずる音など、床や壁を伝わる音である
  • 音が漏れている主な経路が、換気口や玄関ドア、壁である
  • 窓を開けた状態での音が主な原因である
  • 賃貸で、窓の工事ができない

この場合は、床のマットやカーペット、家具の位置、音を出す時間帯の見直しが、先に取り組みやすいことです。窓の工事をおすすめできないと分かれば、そのように申し上げます。内窓のデメリット も正直にまとめています。

賃貸・集合住宅の場合

借家は沖縄の住宅の50.7%、共同住宅は60.9%です。賃貸や分譲マンションでは、窓まわりを変える前に、確認することがいくつかあります。

  • 窓や外壁は、管理規約で扱いが決まっていることがある。 窓の交換やカバー工法は、管理規約や貸主の承諾が必要な場合があります。
  • 内窓は、いまの窓に手を加えずに付けられる場合がある。 原状回復(退去時に元の状態へ戻すこと)の面でも、事前に管理会社や貸主へ確認することをおすすめします。
  • 床の工事は、基本的に自分ではできない。 マットやカーペットなど、置くだけ・敷くだけの方法から始めます。

詳しくは 賃貸の場合 と マンションの内窓 をご覧ください。

迷ったときの見分け方

次の項目で、どこから手を付けるかの目安にしてください。

  • 気になる音は、声・楽器・テレビなど「空気を伝わる音」か、足音・物音など「床や壁を伝わる音」か
  • 窓を閉めたときと開けたときで、気になり方は変わるか
  • 窓の閉まりが悪い、パッキンが傷んでいる、すきまがあるところはないか
  • 換気口や換気扇、玄関ドアのすきまから出ている音はないか
  • 音を出す時間帯や、音源の置き場所を変えられないか
  • 賃貸や管理規約のある建物で、窓の工事を管理者に確認したか

「空気を伝わる音」で、窓を閉めても気になるなら、窓まわりの見直しを考える価値があります。「床や壁を伝わる音」なら、床や置き方から手を付けます。

よくあるご質問

内窓を付ければ、赤ちゃんの泣き声は聞こえなくなりますか?

聞こえなくなるとはお約束できません。窓から外へ出る音をやわらげやすくなる場合があります。壁や換気口、玄関ドアなど、ほかの経路から出る音は変わりません。窓を閉めて過ごす時間帯なのか、開けている時間帯なのかでも、結果は変わります。

楽器の練習のために、窓だけ工事すれば足りますか?

楽器の種類、置き場所、時間帯によります。ピアノのように床へ振動が伝わる楽器は、窓だけでは届かない部分があります。まずは置き場所や時間帯の見直し、床へのマットなどを試してから、窓の工事が必要か考える順番がおすすめです。

夜のテレビの音は、音量を下げるほうが先ですか?

先にできるのは音量や置き場所の見直しです。環境省のパンフレットも、時間帯への配慮や、音を小さくする工夫を挙げています。そのうえで、窓まわりにすきまがないかを確かめます。

近所に直接言われたわけではないのですが、確認したほうがいいですか?

気になるようでしたら、日頃のあいさつの機会に、ひと言伝えておく方法があります。環境省のパンフレットは、近所づきあいを大切にすることを挙げています。個別の状況の判断は、このページではできません。

このページで参照した資料

  • 環境省「うるさくなっていませんか?生活騒音」(環境省 水・大気環境局 大気生活環境室、平成28年度の苦情件数を掲載)
  • 環境省「その音だいじょうぶ?」(近隣騒音に関するパンフレット)
  • 名古屋市「生活騒音」のページ
  • 日本サッシ協会「サッシ・ドアの豆知識 サッシの遮音性」
  • 日本建設業連合会 技術研究部会音環境専門部会「固体伝搬音」用語解説(2019年11月作成)
  • 気象庁 平年値(1991〜2020年)那覇
  • 総務省統計局 令和5年住宅・土地統計調査 沖縄県結果の要点(令和7年3月31日)

現地を見せていただいてから、正直にお伝えします

音がどこから漏れているのかは、お宅の窓の種類、建物の構造、音の種類によって変わります。マドアーズ!沖縄では、現地を見せていただいたうえで、窓まわりでできることと、窓では解決しないことを、分けてお伝えします。現地調査と見積りは無料です。窓の工事が向かないと分かれば、そのように申し上げます。気になることがあれば、お問い合わせ からご相談ください。音の悩み全般は 防音のページ にもまとめています。