「内窓を付けたけれど、思ったほど涼しくならなかった」。沖縄で窓のご相談をいただいていると、このお話を年に何度も伺います。内窓を扱っている私たちが言うのも変な話ですが、これは半分は本当のことで、しかも沖縄という土地には、内窓の効き方が本土とは違ってしまう、はっきりした理由があります

このページでは、内窓のデメリットを7つ、包み隠さずに書きます。そのうえで「それでも沖縄で内窓が効く場面」も、同じくらい正直にお伝えします。

デメリットの多くは、事前にわかっていれば避けられます

窓のリフォームは、一度付けたら簡単には外せません。ただ、内窓のデメリットの多くは「事前にわかっていれば避けられる」種類のものです。ガラスの選び方、付ける部屋の選び方、窓枠の状態。この3つを最初に押さえておくだけで、後悔の大半は防げます。逆に押さえずに進めると、決して安くない金額を払ったのに体感がほとんど変わらない、という結果になり得ます。

内窓そのものの仕組みは内窓(二重窓)のページで、よくいただくご質問は内窓に関するQ&Aでまとめています。このページは、そこに書ききれなかった「不都合な側」の話だとお考えください。

デメリット① 沖縄では「断熱」の効きが本土ほど期待できない

内窓の説明でいちばんよく使われる言葉が「断熱」です。この説明が力を発揮するのは「冬に暖房で温めた空気を、外に逃がしたくない」場面で、北海道や東北で内窓が劇的な効果を出すのは、外がマイナスの気温で室内が20度前後という大きな温度差があるからです。

沖縄はどうでしょうか。夏の日中、外が32度で冷房を効かせた室内が27度なら、温度差は5度ほどです。冬でも那覇の平均気温は17度前後で、暖房をほとんど使わないご家庭が多い。温度差が小さいということは、断熱で稼げる伸びしろも小さいということです。

国の省エネ基準は、沖縄だけ断熱(UA値)の基準値を設けていない

これは私たちの経験則ではありません。国が制度としてそう扱っています。住宅の省エネ性能は、国が全国を8つの地域に区分して基準を定めており、沖縄県は全域が「8地域」で、区分の代表都市として那覇市が挙げられています(出典:国土交通省「地域区分の見直し」)。指標は2つあります。

  • UA値(外皮平均熱貫流率)=熱の逃げやすさ。小さいほど断熱性能が高い
  • ηAC値(冷房期の平均日射熱取得率)=日射の入りやすさ。小さいほど日射を遮っている

国土交通省が示している基準値の表は、こうなっています。

  • UA値の基準値:1・2地域 0.46/3地域 0.56/4地域 0.75/5〜7地域 0.87/8地域(沖縄)=「―」
  • ηAC値の基準値:1〜4地域=「―」/5地域 3.0/6地域 2.8/7地域 2.7/8地域(沖縄)=6.7

読み違いではありません。沖縄には、断熱を表すUA値の基準値そのものが存在しません。逆に、寒い1〜4地域には日射遮蔽のηAC値の基準がありません。国は地域によって、住宅に求める中身を正反対に切り替えているということです(出典:国土交通省 社会資本整備審議会 資料「【参考】住宅における外皮性能」)。

理由も明記されています。「沖縄県(8地域)においては、他の地域と異なり暖房の使用がほとんど無く、全体のエネルギー消費量に占める冷房エネルギー消費量の割合が大きいことから、外皮基準について、外皮平均熱貫流率(UA値)の基準を設けず、冷房期の平均日射熱取得率(ηAC値)の基準のみを設けている」(出典:国土交通省「建築物エネルギー消費性能基準等に係る検討の方向性(案)について」資料4)。

同じ資料の、省エネ性能を計算するときの標準設備の一覧では、8地域の欄だけ暖房設備が「―」で空欄になっています。国の計算上、沖縄の住宅には暖房が設定されていない。「内窓を付けると冬あたたかい」という本土の売り文句が、沖縄では前提から成り立たないことがわかります。

沖縄で求められているのは、断熱ではなく日射の遮蔽です

では沖縄では何をすればいいのか。国の答えは明快で、ηAC値、つまり日射を室内に入れないことです。太陽の熱そのものを窓から入れない。これが沖縄の住宅の省エネの本丸だと、制度が言っています。

もうひとつ、見過ごせない記述があります。同じ資料に「沖縄県(8地域)においては、外付けブラインドやLow-Eガラスの普及が進んでおらず、この状況下でηAC値の基準に適合させるためには、外壁等の断熱性能の向上が必要となり、かえって冷房エネルギー消費量を増加させてしまう場合がある」と書かれています。

断熱を上げれば上げるほど良い、という単純な話ではないと国が明記しているわけです。沖縄の家で「とりあえず断熱」が危ういのは、このためです。

デメリット② ガラスを選び間違えると、ほとんど体感が変わらない

内窓は「枠」と「ガラス」でできています。ここで多くの方が意識されないのが、枠が同じでも、入れるガラスによって性能がまるで別物になるということです。

ガラスには、透明の単板ガラス、複層ガラス(ペアガラス)、Low-E複層ガラスがあります。さらにLow-E複層ガラスには、金属膜を室外側に置く遮熱タイプと室内側に置く断熱タイプがあり、見た目はよく似ていますが狙っている効果は逆です。

  • 遮熱タイプ:日射熱を跳ね返す。夏の日差しを室内に入れたくない窓向き
  • 断熱タイプ:室内の熱を逃がさない。冬の暖房を逃したくない窓向き

前の見出しで見たとおり、沖縄で国が求めているのは日射の遮蔽です。それなのに値段や在庫の都合で断熱タイプや透明単板ガラスが選ばれてしまうと、いちばん効かせたい「日射」に対してほとんど働かない内窓ができあがります。「付けたのに変わらなかった」というお話の相当数が、ここに原因があると私たちは考えています。

ただし「西日の当たる窓はすべて遮熱にすればいい」という単純な話でもありません。同じ家の中でも、方位、庇の有無、隣の建物との距離、その部屋を何時に使うかで正解が変わります。沖縄の西日対策のページでは、那覇の日没方位が真西ではなく西北西であることなど、方位まわりの話を詳しく書いています。

デメリット③ 窓を開けるのに、動作が2回になる

ここからは性能ではなく、暮らしやすさの話です。内窓を付けると窓が二重になりますから、開けるときは内窓を開けて、外窓を開けて、という2回の動作が必要になります。閉めるときも2回、カギも2か所です。

本土なら「冬は開けないから気にならない」で済む話ですが、沖縄はそうとは限りません。風の通る日に窓を開けて過ごすご家庭が多く、朝晩の涼しい時間に風を入れる習慣が根づいています。毎日何度も開け閉めする窓に内窓を付けると、この手間が地味に効いてきます。内窓には基本的に網戸が付かないため、風を入れる動作はさらにひとつ増えます。

そこでよくご提案するのが、「開ける窓」と「開けない窓」を分けて考えることです。毎日開ける掃き出し窓は慎重に、西日の当たる小窓やほとんど開けていない窓は積極的に。全部の窓に一斉に付ける必要はまったくありません。

デメリット④ 掃除する場所が増える。沖縄は台風のたびに

窓が二重になれば、ガラス面もサッシのレールも増えます。掃除する箇所が単純に増えるということです。

そして沖縄には本土にない事情があります。台風です。日本サッシ協会はアルミサッシのお手入れの目安を年1〜2回としたうえで、海岸地帯ではこまめに、台風の後は必ずお手入れするよう案内しています(出典:日本サッシ協会「アルミサッシのお手入れ方法」)。沖縄地方への台風接近数は年7.7個が平年値ですから、それだけで年に7回、8回とお手入れの機会が来ることになります。

塩分を含んだ砂ぼこりがレールに残ったままだと、戸車が傷んだり動きが渋くなったりします。沖縄のサッシが本土より早く傷む話は窓のカバー工法のページでも触れていますが、内窓を増やすということは、この手入れの対象がひとつ増えるということでもあります。

デメリット⑤ 取り付けられない窓、ひと手間かかる窓がある

内窓は既存の窓枠の内側に新しい枠を取り付けます。ということは、取り付けるための奥行きが窓枠に残っていないと、そのままでは付けられません。

内窓の取り付けに必要な窓枠の奥行きを10円玉と比べた比較画像

奥行きが足りない場合でも、あきらめる必要はありません。「ふかし枠」という部材で窓枠を室内側に延長する方法があります。ただし部材の分だけ費用が上がりますし、窓が室内側に出っぱる分、カーテンやブラインドと当たることがあります。カーテンレールの位置をずらす工事が別途必要になるケースもあります。

内窓を取り付ける前に確認する既存の窓枠(木枠)の状態

現地で「ひと手間かかります」とお伝えすることが多いのは、次のような窓です。

  • 出窓:窓枠の形状によって取り付け方法が限られます
  • 窓枠が傷んでいる窓:下地が弱っているとビスが効かず、先に補修が必要です
  • エアコンの配管が窓を横切っている窓:配管を逃がす加工か、引き直しが要ります
  • 浴室の窓:一般の内窓ではなく浴室仕様のものを選ぶ必要があります

いずれも「できません」ではなく「ひと手間と費用がかかります」という話です。ただ、こうしたひと手間はお見積りの金額に直結します。料金に関するページの目安と実際のお見積りが違ってくる主な理由が、まさにここです。

デメリット⑥ 内窓は、台風対策にはなりません

これは沖縄で最も誤解されやすい点なので、はっきり書きます。内窓を付けても、台風に対する窓の強さは一切上がりません。

根拠は規格にあります。サッシの日本産業規格であるJIS A 4706の定義には、「二重サッシ」について「あらかじめ二重サッシとして設計・製作されたものに限定する。一重サッシとして設計・製作されたものを現場取付けで二重にしたものは含まない」と書かれています(規格本文は国立研究開発法人建築研究所のサイトに掲載されています)。

つまり後付けの内窓は、規格上の「二重サッシ」ではありません。台風に対する強さを表す耐風圧性も、雨の吹き込みにくさを表す水密性も、等級を持っているのは外窓のほうです。内側にもう1枚足しても外窓の等級は上がりませんし、飛来物が当たって割れるのも外窓のガラスです。

台風に備えて窓を強くしたいのであれば、内窓ではなく外窓そのものの交換(カバー工法)や雨戸・シャッターの追加が本筋です。玄関まわりも同様で、戸建てなら玄関ドアのカバー工法、集合住宅なら集合住宅の玄関ドアのカバー工法をご覧ください。

デメリット⑦ 補助金は、ご自身では申請できません

内窓の工事でよく使われる国の補助制度が「先進的窓リノベ2026事業」です。上手に使えば負担はかなり軽くなりますが、制度の作りに注意点があります。

公式サイトには「補助金の申請手続きや受け取りと一般消費者への還元は、窓リノベ事業者が行います。補助対象者である一般消費者が直接申請をすることはできません」と明記され、さらに「登録のない事業者との契約は補助対象となりません」とも書かれています(出典:環境省 先進的窓リノベ2026事業 公式サイト)。つまりご自分で申請書を出すことはできず、登録済みの事業者と契約しないと補助の対象にすらならないということです。DIYで取り付けた場合も、当然ながら対象外です。

もうひとつが予算です。この制度は予算の上限に達した時点で受付が終了します。公式サイトの発表では2026年8月25日午前0時時点で、予算に対する補助金申請額の割合は19%です。この数字は毎日更新されますので、ご覧いただく時点では変わっています。まだ余裕はありますが、年度の後半に申請が集中する傾向がありますので、早めに動かれることをおすすめします。

制度の中身は補助金に関するページ先進的窓リノベ2026に関して(沖縄)でご案内しています。

それでも沖縄で内窓が効く場面は、はっきりしています

ここまで7つのデメリットを書いてきましたが、私たちは内窓が悪いものだとは思っていません。効く場面と効かない場面が、沖縄でははっきり分かれるというだけの話です。

ひとつめは、日射の遮蔽です。遮熱タイプのLow-E複層ガラスを入れた内窓は、まさに国が沖縄に求めているηAC値を下げる方向に働きます。西向き・南西向きの窓、午後に人がいる部屋。ここは内窓が最も素直に効く場所です。

ふたつめは、音です。音の伝わりにくさは断熱とは別の性質で、窓と窓のあいだの空気層とサッシの気密性で決まります。温度差が小さい沖縄でも、音に対しては本土と同じように働きます。航空機騒音については基地・航空機騒音の防音対策のページにまとめています。

みっつめは、冷房の効きです。伸びしろが小さいとは書きましたが、ゼロではありません。冷房をかけっぱなしにする部屋で、冷えた空気が窓から逃げるのを抑える効果はあります。エアコンが効かないと感じておられる場合は、まず機器側の原因を潰すのが先ですのでエアコンが効かない原因のページを、電気代の考え方は沖縄の電気代を窓で下げる方法をご覧ください。

よっつめは、防犯です。窓が二重になれば、破って入るまでの手間が増えます。実際の工事の様子は施工写真集でご覧いただけます。

沖縄県内の住宅で内窓を取り付けている施工中の様子

マンション・賃貸にお住まいの場合は、確認がもう一段階あります

沖縄は共同住宅にお住まいの方の割合が全国で2番目に高い地域です。分譲でも賃貸でも、内窓にはご自身の判断だけでは進められない部分があります。

分譲マンションの場合、窓は多くの管理規約で「共用部分」として扱われます。室内側に付けるとはいえ、管理組合への申請が必要になるのが通例です。国が示している標準管理規約でも、窓の断熱・防音・防犯工事は本来は管理組合が計画修繕として行うものと位置づけられており、個人が行うのは条件付きの例外ルートになります。賃貸なら貸主(大家さん・管理会社)の承諾が要り、退去時にどうするかを工事の前に文書で決めておくことが大切です。

いずれも「できない」という話ではなく、順番を踏めば通ることがほとんどです。手続きの進め方は私たちがご案内します。玄関ドアも同じ考え方になりますので、集合住宅にお住まいの方は玄関ドアのカバー工法(集合住宅)もあわせてご覧ください。

私たちが「内窓はやめておきましょう」とお伝えすることもあります

実際に現地を見せていただいて、内窓をおすすめしないことがあります。

  • 窓ではなく屋根や外壁が原因のとき:最上階で天井から熱が降りてきている場合、窓を触っても体感は大きく変わりません
  • エアコンの能力や設置状態に原因があるとき:まず機器を見直すほうが確実で、費用も安く済みます
  • 窓枠の下地が傷みすぎているとき:先に外窓の交換をご提案します
  • 台風・飛来物への備えが目的のとき:前述のとおり、内窓では目的を果たせません

お客様が求めておられる結果に対して内窓が正しい道具でないのなら、そう申し上げるのが私たちの仕事だと思っています。売れる工事ではなく、効く工事をご提案します。ご相談からお引き渡しまでの流れはご利用の流れにまとめています。

沖縄の住宅に内窓を取り付けた施工後の窓まわりの様子

沖縄の窓のことは、現地を見せていただいてから正直にお伝えします

他社のページでは「室温が◯度下がる」「騒音が◯デシベル減る」といった数字を見かけますが、私たちはこうした数字を書かないようにしています。窓の方位、階数、庇の有無、屋根と外壁の状態、エアコンの能力で結果がまったく変わってしまい、カタログの試験条件とご自宅は同じではないからです。数字をお約束する代わりに、現地を見せていただいたうえで、どこまで期待していただけるかを正直にお伝えします。

最後に要点をまとめます。

  • 国の省エネ基準は、沖縄(8地域)にだけ断熱(UA値)の基準値を設けていない。求めているのは日射の遮蔽(ηAC値)。だから沖縄の内窓は断熱目的だと期待外れになりやすく、ガラス選びで結果が決まる
  • 開け閉めが2回になる、掃除が増える、窓によっては費用が上がる、といった負担がある
  • 台風対策にはならない(JIS A 4706の定義上、後付け内窓は二重サッシに当たらない)。補助金もご自身では申請できず、登録事業者との契約が必須
  • それでも、日射遮蔽・防音・冷房の効き・防犯という4つの場面では、沖縄でもしっかり働く

マドアーズ!沖縄は、沖縄県内で窓と玄関ドアのリフォームだけを行っています。那覇市をはじめ県内全域にお伺いしており、現地の確認とお見積りは無料です。「内窓を付けるべきかどうか」の段階からご相談いただいて構いませんし、内窓が向いていないと判断したときは、その理由をご説明したうえでほかの方法をご提案します。

お問い合わせはお問合せページから承っています。窓のことで困っておられることを、そのまま書いていただければ大丈夫です。