夏の午後、窓の近くに立つと熱を感じる。エアコンをつけても、部屋がなかなか涼しくならない。冬は冬で、窓のそばだけ空気が冷たい。築20年、30年と暮らしてきた家で、そんな場面が増えていないでしょうか。

「家が古いから仕方ない」と思われがちですが、原因は家全体にあるとは限りません。環境省の資料では、夏の冷房時に外から入る熱の約7割が窓などの開口部から入ってくると言われています(一般的な住宅の目安で、条件で変わります)。まず窓から見直す価値はあります。ただ、窓だけでは変わらない部分もあります。

このページでは、住宅の断熱基準がどう変わってきたか、古い窓の特徴、築年数ごとの考え方、窓の寿命の見方、そして窓では解決しないことまで、順に整理します。

築年数と断熱の関係は、基準の歴史を見るとわかりやすい

住宅の省エネ基準は、国が段階的に強めてきました。国土交通省の資料などでは、次のように整理されています。

基準制定・改正の年住宅性能表示制度の等級との対応備考
旧省エネ基準昭和55年(1980年)等級2省エネに関する初の基準
新省エネ基準平成4年(1992年)等級3寒冷地で気密化住宅
次世代省エネ基準平成11年(1999年)等級4全国的に気密化住宅

出典:鳥取県の資料「国の省エネ基準の変遷と住宅ストックの現状」(国土交通省サイト掲載)、国土交通省「持続可能社会における既存共同住宅ストックの再生に向けた勉強会」第1回資料

同じ国土交通省の資料では、その後の改正でも、等級4(平成11年)の断熱性能の水準は変わっていない、と説明されています。

そして、すべての新築住宅に省エネ基準への適合が求められるようになったのは、令和7年(2025年)4月1日からです。つまり、それより前に建てられた家の多くは、建てられた時点で適合を求められていませんでした。

基準は地域ごとに区分されており、沖縄で求められる内容は本州と同じではありません。ここでお伝えしたいのは、基準が「いつ、どう変わってきたか」という流れです。ご自宅が基準を満たしているかどうかは、建築年だけでは判断できません。

国内の住宅は、いま、どのくらいの断熱水準なのか

国土交通省の推計(令和4年)では、全国の住宅ストック約5,400万戸のうち、平成11年基準の断熱性能を満たす住宅は約18%です。残りは、平成4年基準相当が22%、昭和55年基準相当が36%、昭和55年基準にも満たないものが24%とされています。

窓についても、環境省の資料(令和5年住宅・土地統計調査をもとにした作成)で、全国の住宅の約67%は、二重サッシも複層ガラスの窓もない単板ガラスのみとされています。すべての窓が二重サッシまたは複層ガラスの住宅は約18%、一部の窓がそうである住宅は約16%です。

つまり、築20〜30年以上の家で「窓が古い」のは、特別なことではありません。

沖縄の住宅の年代と、暑さ寒さの出方

令和5年住宅・土地統計調査(沖縄県)で、建築の時期を見ると、居住世帯のある住宅627,400戸のうち、1981年(昭和56年)以降に建てられた住宅は71.3%です。1981〜1990年が14.9%、1991〜2000年が14.4%で、1980年以前は合計104,900戸、割合にすると約17%です(県の表の数字をもとにした計算値です)。建築の時期が「不詳」の住宅も11.9%あります。

また、沖縄の住宅は非木造が96.5%、そのうち鉄骨鉄筋コンクリート造が93.8%、共同住宅が60.9%、借家が50.7%です(持ち家率は42.6%)。鉄筋コンクリート造の住まいの暑さについては、RC住宅の暑さのページもご覧ください。

気候面では、那覇の月平均気温は1月で17.3℃、7月で29.1℃、年平均は23.3℃です。湿度も6月で83%と高い月があります(気象庁の平年値、1991〜2020年)。夏の暑さや湿気に加えて、冬も窓際の冷えが気になる、という方がいます。

古い窓の特徴と、築年数ごとに考えられること

窓について、一般的に言える特徴を整理します。

  • ガラスが1枚(単板ガラス)のことが多い。 築年数が古いほど、複層ガラスの窓の割合は低いと考えられます。ただ、途中でガラスだけ交換している家もあるため、築年数だけでは決まりません。
  • サッシの部品が傷んでいることがある。 日本サッシ協会は、引違い窓などの戸車、はずれ止め、ストッパーなど安全に関わる部品は、10年を目安に交換することを推奨しています(使用環境により異なり、保証期間ではありません)。
  • 開け閉めが重い・すき間が気になる。 サッシの劣化のサインとされています。

築年数ごとの考え方の目安は、次のとおりです。あくまで「目安」で、実際は窓の状態を見て判断します。

建築の時期考えられること
1980年以前(築45年以上)省エネ基準ができる前後の建物。窓まわりだけでなく、壁・屋根の状態も一緒に確認したい時期です。
1981〜1999年ごろ旧基準・新基準の時代。サッシは単板ガラスのままの場合が多いと考えられます。部品の劣化も気になる頃です。
2000年代以降複層ガラスの窓が入っている場合もあります。窓の状態と、実際の困りごとを見て考えます。

建築の時期が基準の制定年のちょうど前後にある場合、実際にどの基準相当かは建物ごとに異なります。

窓の寿命は、年数よりも状態で見る

「窓は何年で交換」という決まった年数は、YKK APの公式コラムでも示されていません。同コラムでは、窓ガラスの耐用年数は商品や環境によって異なるとされ、次のような状態を交換を考えるサインとしています。

  • ガラスが割れた、ひびが入った
  • 結露が気になる(断熱性の高いガラスへの交換が勧められています)
  • 窓際が暑い、寒いと感じる
  • 窓の開け閉めがしづらい(サッシの劣化が考えられ、その際にガラスも交換するとよいとされています)

沖縄では台風や塩害の影響を受けやすいため、サビや部品の傷みは早めに点検することをおすすめします。詳しい状態は、実際に窓を見ないとわかりません。

窓まわりで変えられること(選択肢と向き不向き)

窓の断熱を高める方法は、大きく分けて次のとおりです。YKK APのコラムでは、施工時間の目安も紹介されています(条件で変わります)。

  • 内窓:今ある窓の室内側に、もう1つ窓を付けて二重にします。1窓あたり約60分が目安とされています。工事が短く、今の窓をそのまま使えるのが利点です。詳しくは内窓とはのページへ。
  • ガラス交換:サッシはそのままで、ガラスだけを断熱性の高いものに入れ替えます。1窓あたり30〜60分程度が目安です。ただし、サッシそのものの断熱性や気密性は変わりません。
  • カバー工法:今の窓枠の上から新しい窓枠をかぶせます。壁を壊さず、1窓あたり2時間〜半日程度が目安です。サッシごと新しくしたい、開閉が重い、という場合に向きます。詳しくは窓のカバー工法、内窓とカバー工法の違いのページへ。
  • 建て替え・大規模改修:窓だけでなく、壁・屋根・床まで一度に見直す方法です。費用や期間は大きくなります。

国土交通省の資料でも、既存の建物の開口部の改修技術として、二重化(内窓など)、かぶせ工法、サッシ交換、ガラス交換が挙げられています。

どれが合うかは、窓の傷み具合、ガラスの種類、お住まいの形態で変わります。費用は条件で大きく異なりますので、料金のページをご覧ください。補助金は補助金のページで案内しています。

窓では解決しない・向かないケース

正直にお伝えします。窓を変えても、次のような場合は期待どおりにならないことがあります。

  • 壁や屋根からの熱が主な原因の場合。 窓を変えても、屋根や外壁から入る熱は残ります。屋上の防水・断熱や外壁の状態が関わる場合があります。
  • 床下・天井まわりの空気の通り道がある場合。 窓以外のすき間は、窓の工事では変わりません。
  • 雨漏りや外壁のひび、サッシまわりの腐食・サビが進んでいる場合。 窓の取り替えの前に、建物の補修が必要なことがあります。
  • カバー工法が向かない場合。 既存の窓枠が大きく傷んでいたり、壁との取り合いに不具合があるときは、カバー工法ができないことがあります。
  • 内窓が向かない場合。 窓の前に物が置かれている、窓の開閉を頻繁にする、窓まわりのスペースが取れない、などの場合は使いにくいことがあります。詳しくは内窓のデメリットをご確認ください。

窓を変えれば全部が変わる、とは言えません。窓が主な原因かどうかは、現地で見て判断します。

賃貸・マンションの場合

賃貸住宅やマンションでは、窓まわりの工事に管理会社・管理組合・大家さんの承諾が必要です。工事の範囲や方法によって、確認が必要な先が変わる場合があります。退去時の原状回復についても、先に確認しておくと安心です。詳しくは賃貸の場合、マンションの内窓のページをご覧ください。

迷ったときの見分け方

  • 窓際だけが特に暑い・寒い、窓から離れると差がある → 窓が主な原因の可能性があります
  • 部屋全体が暑い、特に最上階・屋根の下 → 屋根や壁の影響も確認したい
  • 窓の開け閉めが重い、ガタつく、戸車が傷んでいる → サッシの状態を点検
  • 結露やカビが窓まわりに集中する → 窓まわりの断熱を見直す価値があります
  • 雨水が入る、サッシの下にサビがある → 先に補修の相談を

よくあるご質問

築何年で窓を替えるべきですか。

決まった年数はありません。YKK APも、耐用年数は商品や環境によって異なるとしています。年数ではなく、割れ・開閉のしづらさ・結露・窓際の暑さ寒さといった状態で考えるのが現実的です。

昔の窓は、いまの基準を満たしていませんか。

建築の時期によります。昭和55年や平成4年の基準は、当時は適合を求められていませんでした。国土交通省の推計では、平成11年基準の断熱性能を満たす住宅は全国で約18%です。ご自宅の窓や壁がどの程度かは、建築年だけでなく、現在の状態で見る必要があります。

古い窓のままで、すぐに困りますか。

「困る」かどうかは、毎日の暑さや寒さ、開閉の状態で決まります。安全に関わる部品(戸車など)は、日本サッシ協会が10年を目安に交換を推奨しています。異常を感じたら、専門業者にご相談ください。

窓を変えると、家全体の暑さは解決しますか。

窓は、熱の出入りの大きな部分ですが、壁や屋根の影響は残ります。窓で変えられる範囲を、現地で一緒に確認させてください。

このページで参照した資料

  • 国土交通省「持続可能社会における既存共同住宅ストックの再生に向けた勉強会 第1回資料」(共同住宅ストックの性能に関する課題)
  • 鳥取県「国の省エネ基準の変遷と住宅ストックの現状」(国土交通省サイト掲載)
  • 国土交通省資料「住宅ストックの性能別分布」(令和4年推計、令和5年住宅・土地統計調査をもとに作成)
  • 国土交通省 報道発表「令和7年4月1日から省エネ基準適合の全面義務化や構造関係規定の見直しなどが施行されます」(令和6年4月)
  • 環境省「断熱窓への改修促進等による住宅の省エネ・省CO2加速化支援事業」(令和7年度補正予算案)
  • 沖縄県企画部統計課「令和5年住宅・土地統計調査 沖縄県結果の要点」(令和7年3月31日)
  • 気象庁「平年値(1991〜2020年)」
  • 一般社団法人日本サッシ協会「サッシの定期的な維持管理について」(2024年5月)
  • YKK AP「窓ガラスの交換方法は?」(2026年3月更新)

現地を見せていただいてから、正直にお伝えします

窓が主な原因なのか、屋根や壁の影響が大きいのか。写真や築年数だけでは、判断しきれません。現地調査・お見積りは無料です。窓の傷み具合を見たうえで、内窓・ガラス交換・カバー工法のうち合うものを、また窓では解決しない場合はそのことも、そのままお伝えします。お問い合わせから、お気軽にご相談ください。