窓の商品説明を読むと、「断熱ガラス」「遮熱ガラス」「Low-E」と似た言葉が並びます。暑さ対策がしたいだけなのに、どれを選べばよいのか分からなくなる。そんな場面は少なくありません。
この記事では、言葉の意味と、沖縄で考えるときの順番だけを整理します。商品名ではなく、カタログに載っている2つの数字の見方が中心です。
「断熱」と「遮熱」は、止めている熱が違います
窓から入る熱には、大きく2つあります。
- 日射の熱:太陽の光そのものが、ガラスを通って部屋に入る熱
- 温度差の熱:室内と室外の温度差で、ガラスや枠を伝わって出入りする熱
「遮熱」は主に前者、「断熱」は主に後者に関わる言い方です。メーカーの資料では、この2つを別々の数字で表します。
| 数字 | 呼び方 | 意味 | 見方 |
|---|---|---|---|
| U値 | 熱貫流率 | 内外の温度差が1度あるときに、1平方メートルを通る熱量。単位はW/(m2・K) | 小さいほど断熱性能が高い |
| η値 | 日射熱取得率 | ガラス面に入る日射を1としたとき、室内に流れ込む熱量の比率 | 小さいほど日射を遮る |
出典:AGC ニュースリリース(2012年10月17日、2015年2月16日)の用語説明
国の「窓の性能表示制度」のリーフレット(資源エネルギー庁、2023年4月発行)も、窓の性能を「断熱性能」と「日射熱取得率」の2つで示しています。日射熱取得率は「日射熱が室内側に入る割合で、小さいほど日射を遮る」と説明されています。また、窓の日射熱取得率はサッシとガラスの組合せで決まる、とも書かれています。
つまり、「断熱」はU値、「遮熱」はη値で見分けます。同じ窓でも、2つの数字は別々に動きます。
一例として、AGCが2015年2月に公表した同じ構成(Low-Eガラス6mm+中空層12mm+透明ガラス6mm)のガラス4種を見ると、次のとおりです。
| 種類 | U値 | η値 |
|---|---|---|
| ピュアクリア | 1.7 | 0.55 |
| アクアグリーン | 1.6 | 0.40 |
| ブルーグレー | 1.7 | 0.29 |
| トリプルクール | 1.6 | 0.26 |
出典:AGC ニュースリリース(2015年2月16日)。公表時点の値で、現行の仕様は各社の最新資料で確認が必要です。
この4種ではU値が1.6〜1.7とほぼ並び、η値だけが0.26〜0.55まで開いています。「断熱の数字が同じでも、遮熱の数字は違うことがある」という例です。
沖縄は8地域。国の資料では「日射遮蔽型」の例示です
国の窓の性能表示制度のリーフレットには、全国を気候条件で8つの地域に分ける図があり、8地域は沖縄です。その図では、窓を「日射取得型」か「日射遮蔽型」かで選ぶ流れが例示されています。
- 1〜7地域:窓の方位(北・東西・南)によって、取得型と遮蔽型を使い分ける例
- 8地域(沖縄):方位の分岐はなく、日射遮蔽型が例示されている
リーフレットは、冬に日射を取り入れて暖かくするのが「日射取得型」、夏に日射を遮って涼しさを保つのが「日射遮蔽型」と説明しています。沖縄では、日射を遮る側の考え方が例示されている、ということです。なお同じリーフレットは、商品のバリエーションに応じて断熱性能を優先した選択もお願いします、と添えています。
那覇の月平均気温は、1月が17.3℃、7月が29.1℃です(気象庁の平年値、1991〜2020年)。年平均は23.3℃で、湿度も年間を通して高めです。暑い時期が長いので、日射の熱への備えが話題の中心になりやすい土地柄です。一方、リーフレットには「断熱性能は冷房の効果を高めることにも寄与します」とも書かれています。冷房を使う季節は、室内を外より低い温度に保つため、温度差の熱も窓から入ります。
Low-E複層ガラスの「遮熱型」と「断熱型」
Low-E複層ガラスは、特殊な金属膜をコーティングしたガラスを使った複層ガラスです。このリーフレットでは「低放射複層ガラス」とも説明されています。
同じLow-E複層ガラスでも、膜の設計で性格が分かれます。リーフレットの表記では、次の2種類です。
- 日射取得型:日射熱を取り入れやすい。冬の室内を暖めるのに向く一方、夏は庇・すだれ・ブラインドなどの工夫が必要とされています
- 日射遮蔽型:夏の日射を遮りやすい。ただし冬の日射も遮るため、とくに寒い地域では選択に注意が必要とされています
メーカーによって「遮熱タイプ」「断熱タイプ」「遮熱高断熱」などの呼び方があります。LIXILの2024年版資料では、Low-E複層ガラスのクリアを「冬の寒さ対策におすすめ」、グリーン(高遮熱仕様)を「夏の暑さ対策におすすめ」と整理しています。呼び名は会社ごとに違うので、名前よりもU値とη値の数字を見るのが確実です。
今日からできること:日射を、窓の手前で受け止める
窓を替える前にできることがあります。国のリーフレットには、窓に付加する部材として、外付けブラインド、和障子などで日射熱取得率が下がることが書かれています。庇やすだれ、ブラインドも有効な工夫として挙げられています。
- 日の当たる時間帯だけ、外側にすだれやシェードを掛ける
- ブラインドやカーテンは、ガラスの近くで日射を受け止める位置に付ける
- 西日が入る時間帯は、窓の近くにあるものが熱をためていないか見る
一般的には、日射を室内に入れる前に止めるほど、室内側の負担は軽くなりやすいとされます。窓の外側に付けられるかどうかは、住まいの条件によって変わります。
窓まわりで変えられること
窓の選択肢には、それぞれ得意なことがあります。
- 内窓:今ある窓の内側に窓を足す方法です。LIXILの資料では、既存の窓との間にできる空気層が断熱効果や遮音効果を生む、と説明されています。内窓のガラスにLow-E複層ガラスを選べば、U値とη値の両面を考えられます。ガラスの種類は 内窓のガラス選び で詳しく整理しています
- 遮熱フィルム:今あるガラスに貼る方法です。内窓との違いは 遮熱フィルムと内窓の比べ方 にまとめています
- 窓の交換・カバー工法:窓そのものを入れ替える方法です。窓のカバー工法 を参照してください
どれを選ぶかは、日射が当たる向き、今の窓の種類、騒音や結露など他の悩みの有無で変わります。内窓についての基本は 内窓とは をご覧ください。
窓では解決しないこと・落とし穴
窓の見直しで変えられるのは、窓から入る熱の分です。次の点は、窓だけでは解決しにくい場合があります。
- 日が当たらない窓:η値は「入ってくる日射」に対する数字です。一般的には、日射がほとんど当たらない窓では、遮熱の数字の差が働く場面が少なくなります。ただし、日射が当たらない窓でも温度差の熱は通るため、断熱の数字が意味を持つ場合があります。向きごとの効果の出方は、現地を見て判断が必要です
- 屋根・壁・天井から入る熱:鉄筋コンクリート造の住宅が多い沖縄では、壁や屋根にたまった熱が室内に伝わる場合があります。RC住宅の暑さ も参照してください
- エアコンの能力や使い方、換気、室内の発熱:窓を替えても、ここが原因のままだと体感が変わらない場合があります。エアコンが効かない の記事に原因を整理しています
- 熱割れへの注意:LIXILの2024年版資料には、日射時間が長く外窓に複層ガラスを使っている場合、内窓にLow-E複層ガラスを使うと、ガラスの熱割れ、枠や障子の変色・変形の恐れがある、との注記があります。南面・西面などでは事前の確認が要ります
賃貸・マンションの場合
賃貸では、内窓の取り付けやフィルムの施工に、管理会社やオーナーの承諾が要る場合があります。共用部にあたる窓は個人で手を入れられないこともあります。詳しくは 賃貸の窓対策 と マンションの内窓 をご覧ください。
迷ったときの見分け方
- カタログや仕様書で、U値とη値の両方を見ているか
- 一番困っているのは、日射が当たる時間帯の暑さか、冷房を使っても残る暑さか
- 日射が当たる窓の向きと、今のガラスの種類(単板か複層か)を把握しているか
- 窓の外側でできる日よけは試したか
- 窓以外(屋根・壁・エアコン)が原因の可能性を確かめたか
日射が主な原因なら遮熱の数字(η値)、温度差による熱や冬の冷えも気になるなら断熱の数字(U値)も合わせて見る。順番としては、これが基本です。
よくあるご質問
遮熱ガラスと断熱ガラスは、別の製品ですか
呼び名はメーカーごとに異なります。Low-E複層ガラスは「断熱」にも「遮熱」にも関わるガラスで、膜の設計によってη値の大きさが分かれます。名前だけで判断せず、U値とη値を見比べてください。
沖縄では、遮熱型だけ選べばよいですか
国のリーフレットでは、8地域(沖縄)は日射遮蔽型が例示されています。ただし同じ資料は、商品のバリエーションに応じて断熱性能を優先する選択もあるとしています。窓の向きや、他の悩み(騒音・結露)によって優先順位は変わります。
内窓だけで暑さは解決しますか
窓から入る熱の分は、やわらぐ場合があります。屋根や壁、エアコンの条件が大きいお住まいでは、窓だけでは足りないことがあります。窓以外の原因は、現地で確認します。
遮熱フィルムと内窓は、どちらがよいですか
貼る方法と、窓を足す方法で、できることが違います。比べ方は 遮熱フィルムと内窓 にまとめました。費用は 料金のページ を、補助金は 補助金のページ をご覧ください。
このページで参照した資料
- 資源エネルギー庁「省エネ性能向上のための 窓の性能表示制度」リーフレット(2023年4月発行)
- AGC(旧 旭硝子)ニュースリリース「サンバランスⓇトリプルクール」(2012年10月17日)
- AGC(旧 旭硝子)ニュースリリース「サンバランスⓇブルーグレー」(2015年2月16日)
- LIXIL「住宅省エネ2024キャンペーン」資料(2023年12月27日時点の内容)
- LIXILニュースリリース「INPLUS for Renovation」(2020年9月25日)
- 気象庁 平年値(1991〜2020年)
現地を見せていただいてから、正直にお伝えします
窓の向き、今のガラス、日の当たり方によって、効果の出方は変わります。現地を見せていただいたうえで、窓で変えられること、変えられないことを正直にお伝えします。現地調査・お見積りは無料です。窓ではなく別の対策が合うと分かれば、そのようにお伝えします。まずは お問い合わせ からご相談ください。

