朝早くから重機の音が響く。壁や床が小さく揺れる。洗濯物に白い粉がつく。近所で建設や解体が始まると、家にいる時間そのものがつらくなることがあります。
「いつまで続くのか」「文句を言っていいのか」「窓を替えたら静かになるのか」。この記事では、まず工事のルールの考え方と相談先を整理します。そのうえで、窓でできることと、窓だけでは限界があることを、正直にお伝えします。
なお、この記事は一般的な情報の整理です。個別の工事が基準に合っているかどうかの判断や、トラブルの解決方法の助言はできません。判断は工事現場のある市町村の窓口にご相談ください。
工事の音や振動には、ルールがあります
国の騒音規制法・振動規制法では、建設工事のうち著しい騒音や振動を出す作業を「特定建設作業」と呼び、規制しています。環境省の資料によると、対象になる作業の例は次のとおりです。
- 騒音:くい打機・くい抜機、びょう打機、さく岩機、一定以上の出力のバックホウ・トラクターショベル・ブルドーザー を使う作業など
- 振動:くい打機・くい抜機を使う作業、鋼球で建物などを壊す作業、舗装版破砕機を使う作業、手持ち式でないブレーカーを使う作業
そして、基準の考え方は次のとおりです(環境省の資料による)。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 音・振動の大きさ | 工事現場の敷地境界線で、騒音は85デシベル、振動は75デシベルを超えないこと |
| 夜間の作業 | 第1号区域は午後7時から翌朝7時まで、第2号区域は午後10時から翌朝6時までは行わない |
| 1日の作業時間 | 第1号区域は10時間以内、第2号区域は14時間以内 |
| 連続する日数 | 同じ場所で連続6日以内 |
| 日曜・休日 | 行わない |
出典:環境省「騒音規制法」パンフレット、「振動規制法」パンフレット(いずれも環境省資料)
次の点に注意してください。
- 基準は工事現場の「敷地の境界線」での値です。お宅の室内の値ではありません。
- 災害や緊急の場合など、例外があります。
- 規制の対象になる地域(指定地域)や、第1号・第2号の区域は、市や都道府県が定めています。同じ工事でも、場所によって当てはまり方が変わります。
- 特定建設作業を行う場合、施工者は作業開始の7日前までに市町村長へ届け出る義務があります。
- 低騒音型として指定された機械などは、規制の対象から外れる場合があります。
つまり、「うるさい」「揺れる」と感じても、法律上の特定建設作業に当たるかどうかは、作業の種類・機械・場所で決まります。ここは自分で判断せず、行政に確認するのが近道です。
まず確認したいこと
怒りや不安が先に立つ場面ですが、順番に確認すると、その後の相談がスムーズになります。
- 工事のお知らせを見る:工事の名称、期間、作業時間、施工者の連絡先が書かれていることがあります。ポストや現場の掲示を確認します。
- 現場の看板や掲示を確認する:施工者名、現場の責任者、連絡先がわかる場合があります。
- 解体工事の場合は、掲示を見る:建物の解体・改修では、石綿(アスベスト)の事前調査の結果を、石綿の有無にかかわらず工事現場に掲示することが求められています(環境省の資料による)。
- 困っている内容を記録する:日時、時間帯、音や揺れの様子、どの部屋で気になるかを、日付つきでメモしておきます。写真や動画も役に立ちます。
行政への相談先
環境省の振動規制法のパンフレットには、工場や建設作業の振動で困ったときは、お住まいの都道府県・市町村・特別区の公害に関する相談窓口へ、とあります。具体的な規制基準や指定地域も、市や都道府県への確認になります。
那覇市の場合、公式サイトでは、公害の相談を環境部 環境保全課が受け付けています。相談の際は、次のような内容を聞かれます。
- 相談する人の住所・氏名・連絡先
- 発生源(工事をしている人)の住所・氏名・連絡先
- 公害の種類、発生時期、時間、頻度
- 被害の内容
市では、現地調査を行い、必要に応じて発生源の事業者へ助言や指導を行う、と案内されています。過去の相談事例では、工事の場所を特定できないと現地調査ができないため、騒音の発生源の住所や目印になる建物を伝えてほしい、と回答されています。市の相談事例には、騒音規制法と那覇市公害規制条例の対象かどうかを現地確認で判断する、という説明もあります。
那覇市以外にお住まいの方は、お住まいの市町村の環境担当課に問い合わせてください。連絡先や受付時間は、市町村の公式サイトで最新の情報をご確認ください。
また、工事の音や振動のほか、人の声やペットなどの生活音は、市の案内では規制の対象外とされています。ここで扱うのは、工事や事業活動に伴う騒音・振動です。
窓まわりで変えられること
窓は、工事の音が家に入る大きな入口のひとつです。窓でできることを、手軽なものから順に整理します。
閉める・隙間をなくす
まずは窓を閉め、サッシのまわりに隙間がないかを見ます。隙間があると、そこから音が入りやすくなります。網戸だけで開けていないか、戸を引き寄せるクレセントがしっかり掛かっているかも確認してください。ここは費用をかけずにできます。
内窓を付ける
今の窓の内側にもうひとつ窓を付ける方法です。ガラスと窓のあいだに空気の層ができます。仕組みは内窓とはで説明しています。音の面では、防音のページでも整理しています。
ガラスの種類を選ぶ
内窓のガラスには複数の種類があり、選び方で音への働きが変わる場合があります。くわしくは内窓のガラス選びをご覧ください。
窓の外側からのカバー工法
既存の窓枠の上から新しい枠を取り付ける方法です。詳細は窓のカバー工法にあります。
どの方法でも、工事の音をゼロにするものではありません。窓の種類・向き・隙間の状態・音の種類で、感じ方は変わります。
窓では解決しない・向かないケース
正直にお伝えしなければならないことがあります。
低い音や振動は、窓だけでは抑えにくい場合があります。 工事の音には、重機の低い唸りや、ドンドンという響きが含まれます。振動は、音とは別の経路でも伝わります。
日本建設業連合会の資料(共鳴透過の用語解説)によると、複層ガラスや二重ガラスのように空気層をもつ構造では、ガラスの質量に対して空気層がばねのように働き、特定の周波数で遮音性能が大きく下がる現象(共鳴透過)が起こります。資料では、ガラスの厚さを同じにした試算の例として、空気層6mmの複層ガラスで280Hz、空気層50mmの二重ガラスで96Hz、空気層200mmで48Hzの共鳴透過周波数が示されています。この周波数付近では、遮音性能が単板ガラスより低い値になる場合があるとされています。
つまり、内窓を付けても、音の高さによっては期待したほど音が小さく感じられない場合があります。実際の内窓の空気層でどの周波数になるかは、製品や取り付けで変わります。この記事では、一般的な内窓の数値は示せません。
また、次のようなケースでは、窓以外にも目を向ける必要があります。
- 揺れ(振動)が主な悩み:窓を替えても、床や壁の揺れそのものは変わりません。振動は、施工者や市への相談が先になります。
- 窓が小さい・数が少ない:工事の音が入る経路が、窓以外(換気口、壁、玄関ドアなど)にもある場合があります。
- 工事が短期間で終わる:期間が限られている場合、窓の工事を急がず、工事が終わってから検討する方法もあります。
- 窓の隙間や窓以外の原因を確かめていない:先に隙間を確認する方が、費用に見合うこともあります。
内窓にはデメリットもあります。内窓のデメリットも合わせてご覧ください。
粉じんと換気の注意
解体工事や掘削では、粉じん(細かいほこり)が出ることがあります。窓を開けると室内に入ってくるため、換気の仕方に悩みやすい場面です。
- 解体工事では、事前調査結果の掲示が現場にあります。石綿(アスベスト)が使われているかどうかは、掲示で確認できます。不安があるときは、まず掲示を確認し、不明な点は市町村の環境担当課に問い合わせてください。
- 一般的には、粉じんの出やすい時間帯は窓を閉め、工事が止まっている時間に短時間でまとめて換気する方法が考えられます。工事の予定がわかれば、それに合わせる方が楽です。
- 洗濯物を室内に干す、布団を外に干さない、といった対応も、一般的に行われています。
- 沖縄は、6月の平均湿度が83%(那覇、気象庁平年値1991〜2020)と高い時期があります。窓を閉めきると、湿気がこもりやすくなります。換気扇やエアコンの除湿を併用し、無理のない範囲で調整してください。
体調に不安があるときは、お近くの医療機関や、市町村の窓口に相談してください。
賃貸・マンションの場合
沖縄は共同住宅が全体の60.9%、借家が50.7%を占めます(令和5年住宅・土地統計調査 沖縄県結果の要点、令和7年3月31日)。そのため、窓の工事を考えたときに、自分の判断だけで進められない場合が多くあります。
賃貸では、窓まわりの工事に管理会社や大家さんの承諾が必要です。退去時の原状回復の扱いも事前に確認してください。詳細は賃貸でできる窓の対策をご覧ください。
分譲マンションでは、窓や窓枠の扱いが管理規約で決まっていることがあり、管理組合への届け出が必要な場合があります。マンションの内窓で整理しています。
工事の相談そのものも、管理会社や管理組合を通すと動きやすい場合があります。
迷ったときの見分け方
次の点を確認すると、どこから動くかが見えてきます。
- 音が主な悩みか、揺れが主な悩みか(揺れは窓では変わりにくい)
- 工事の期間は決まっているか、いつ終わるか
- 窓を閉めたときに、音は小さくなるか(変わらないなら、窓以外の経路も考える)
- 隙間風や、窓のまわりから音が入る場所はないか
- 時間帯は、夜間・早朝・日曜など、通常の作業時間の外ではないか(外なら、行政へ相談する材料になります)
- 賃貸や分譲で、承諾や管理規約の確認が必要か
よくあるご質問
工事がうるさいとき、まず誰に連絡すればよいですか。
まず、工事のお知らせや現場の掲示にある施工者の連絡先に、状況を伝える方法があります。直接話しにくいときや、改善されないときは、市町村の環境担当課に相談できます。那覇市では環境保全課が公害の相談を受けています。
工事はいつまで続きますか。
工事ごとに異なります。お知らせや現場の掲示に期間が書かれていることがあります。わからないときは、施工者に確認してください。
内窓を付ければ、工事の音は静かになりますか。
音の種類と窓の状態によります。中高音のこもりやすい音がやわらぐ場合がありますが、低い音や振動は窓だけでは抑えにくい場合があります。現地で窓の状態や隙間を確認してから判断します。
基準を超えているかどうかは、自分で測れますか。
基準は、工事現場の敷地境界線での値です。お宅の室内で測った値とは異なります。測定や判断は、市町村の担当部署にご相談ください。
このページで参照した資料
- 環境省「住みよい音環境を目指して 騒音規制法」パンフレット(2017年3月)
- 環境省「よりよい住環境を目指して 振動規制法」パンフレット
- 環境省「特定建設作業に伴って発生する騒音の規制に関する基準」(告示)
- 環境省「大気環境中へのアスベスト飛散防止対策について」
- 日本建設業連合会 技術研究部会 音環境専門部会「共鳴透過、共鳴透過現象」(2019年11月)
- 那覇市公式ホームページ「公害にお困りのときは」
- 那覇市電子相談システム「朝からの工事音について」(2020年8月更新)
- 気象庁 平年値(1991〜2020)那覇
- 総務省統計局 令和5年住宅・土地統計調査 沖縄県結果の要点(令和7年3月31日)
現地を見せていただいてから、正直にお伝えします
工事の音や振動は、窓を替えれば解決するとは限りません。お住まいの窓の状態、隙間、悩みの音の種類を現地で確認し、内窓が合うかどうかをお伝えします。窓では変わらないと分かれば、そう申し上げます。現地調査・見積りは無料です。お問い合わせからご相談ください。

