北側の部屋の扉を開けたとたん、むわっとカビのにおいがする。押し入れの奥の布団や衣類に、黒や白の点が出ている。そんな経験はありませんか。掃除をしても、またにおいが戻ってくることがあります。

カビは、掃除の頻度だけで決まるわけではありません。部屋の湿気、空気の動き、壁や窓の「冷たさ」が重なると、同じ家の中でも北側や収納の中だけに出やすくなることがあります。このページでは、その理由を沖縄の気候と合わせて説明します。そのうえで、今日からできること、窓まわりで変えられること、窓では解決しないことを分けてお伝えします。

北側の部屋や押し入れでカビが出やすい理由

カビが育つ条件は3つ

大田区の公開資料では、住まいの中でカビが好む条件を次の3つとしています。

  • 温度が20〜35℃
  • 湿度が60%以上
  • 栄養分があること(手あか、ほこり、水分など)

そして、これらがそろいやすい場所として、浴室やキッチンなどの水まわりのほか、押し入れ、寝具の裏側、家具の裏側を挙げています。押し入れがカビやすい場所の代表なのは、このためです。

沖縄は、湿度の条件を満たしやすい

那覇の気温と湿度の平年値を見ると、湿度が60%を上回る月が続くことがわかります。

月平均気温平均湿度
1月17.3℃66%
6月27.2℃83%
7月29.1℃78%
年平均23.3℃73%

出典:気象庁 平年値(1991〜2020年)、那覇

上の表は一部の月です。この月々の湿度は、先ほどの「60%以上」を上回っています。温度も、6月や7月は「20〜35℃」の範囲に入っています。沖縄では、屋外の空気そのものがカビの育つ条件に近い、と言えます。

北側は「冷たい面」ができやすいことがある

国土交通省の補助事業で作られた資料『住宅の省エネルギー 設計と施工2023』では、結露を次のように説明しています。温かく湿った空気が急に冷やされると、空気に含めなくなった水分が、近くにある温度の低い物の表面に水滴として付きます。これが結露です。同じ資料は、窓ガラスや暖房していない部屋の壁のように、ほかより冷たい所に暖かく湿った空気が触れたときに出るものを「表面結露」と呼んでいます。また、北側の暖房していない部屋で、暖房している部屋からの暖かい空気が冷やされて結露が起きることがある、とも書かれています。

ほかより冷たい面に湿った空気が触れると、水分が付き、カビの栄養分と水分がそろいます。この資料は、暖房を使う本州の地域(4〜7地域)の冬の結露を説明したものです。冬の仕組みは、暖房で温まった空気が、北側の冷えた壁や窓で冷やされて水滴になる、というものです。沖縄の夏は仕組みが逆になります。冷房で冷えた壁や押し入れに、屋外の湿った空気が触れて水滴がつく場合があるためです。夏の結露は 冷房の部屋で窓が曇る・濡れる原因 でくわしく説明しています。

押し入れは、空気が動きにくい

押し入れは扉を閉めている時間が長く、中の空気が入れ替わりにくい場所です。布団や衣類を詰め込むと、さらに空気が動きにくくなります。湿った空気が入り込んだまま、出ていく道が少なくなります。

沖縄の住宅の事情

沖縄県企画部統計課『令和5年住宅・土地統計調査 沖縄県結果の要点』(令和7年3月31日)によると、人が住んでいる住宅のうち、非木造は96.5%、鉄骨・鉄筋コンクリート造は93.8%、共同住宅は60.9%、借家は50.7%です。集合住宅や賃貸では、自分の判断で壁や窓を大きく変えにくい場合もあります。次の章からは、すぐにできることを先にご紹介します。

今日からできること

湿度を知る

まず、湿度計を北側の部屋と押し入れの近くに置いてみてください。数字が見えると、「どの時間帯に湿度が上がるのか」がわかります。湿度の測り方は 湿度・温度のはかり方 でも説明しています。

湿気を増やさない

大田区の公開資料には、湿気を減らすための例として、次のものが挙がっています。

  • 調理中は換気扇を回す
  • 入浴後は浴室の換気をする(自然換気で2時間程度)
  • 除湿機やエアコンで部屋の湿気を取る
  • 下駄箱や押し入れは定期的に換気をする

室内干しは、部屋の湿気を増やす場合があります。北側の部屋を洗濯物の部屋にしている場合は、除湿機や風を当てる工夫と合わせて考えてみてください。

空気の入口と出口をつくる

同じ資料では、効率よく換気するために、窓を2か所以上開けて空気の入口と出口をつくるよう勧めています。換気用の給気口は、閉めたままにしたり、家具でふさいだりしないように、とも書かれています。沖縄では、台風や雨で窓を開けにくい日も多くあります。その場合は、扉を開けて空気が通る道をつくったり、除湿機を使ったりと、できる方法を組み合わせます。

収納の工夫

  • 押し入れの中身を詰め込みすぎず、壁との間にすき間をあける
  • 布団は、湿気を逃がしてからしまう
  • 床に直接物を置かず、すのこなどで空気の通り道をつくる
  • 押し入れの扉は、天気のよい日にときどき開けて空気を入れ替える
  • 収納ケースの中身は、季節の変わり目に出し入れする

カビが生えてしまったら

大田区の公開資料では、消毒用アルコール、漂白剤、市販のカビ取り剤を使う方法を紹介しています。使う際は、それぞれの用法と用量を守ってください。素材によって使える薬剤は違いますので、製品の表示も確認してください。クロスの下地や畳の奥までカビが及んでいる場合は、表面を拭くだけでは足りないことがあります。

窓まわりで変えられること

窓は、壁に比べて熱が出入りしやすい場所です。前述の国土交通省補助事業の資料には、表面結露は、断熱性の高いガラスを使ったり、壁体内に断熱を施工したりして表面温度を上げることで防ぎやすくなる、という説明があります。

窓まわりの方法は、条件によって向き不向きがあります。

内窓(今の窓の内側にもう一つ窓をつける)

今の窓の室内側に、もう一つ窓をつける方法です。窓と窓の間に空気の層ができ、室内側の窓の表面温度が下がりにくくなる場合があります。これは主に冬場や窓ガラスの結露に効く方法で、夏のカビへの効き方は家によって変わります。ただし、窓の種類や取り付け位置によっては、つけられないこともあります。窓と窓の間に湿気が入る場合の注意点は 内窓と窓のあいだの結露 で、内窓そのものの考え方は 内窓のページ でまとめています。夏型の結露については 夏型結露と冷房 もご覧ください。

換気の取り方を変える

換気が足りないことが原因のときは、窓の工事より前に、換気のしかたを見直す方が合っている場合があります。給気口がふさがっていないか、換気扇が回っているか、空気の通り道があるかを確かめます。

フィルムやカーテン

窓に貼るフィルムやカーテンの工夫は、手軽に試せる方法です。ただし、窓の表面温度や結露に対する効果は、窓の種類や向き、使い方で変わります。

向きや環境で変わる

内窓や窓まわりの工事が、北側の部屋の湿気に役立つかどうかは、窓の大きさや数、壁の状態、部屋の使い方で変わります。窓の結露が目立たない家では、窓まわりの工事の影響は小さいことがあります。窓のカビや結露全般は 結露とカビのページ も参考になります。

窓では解決しない、向かないケース

窓まわりを変えても、次の場合は別の対処が必要です。

  • 押し入れの壁や床そのものが湿っている、冷たい
  • 床下からの湿気が上がってきている
  • 雨漏りや外壁のひび割れから、水が入っている
  • 外壁側の断熱が足りない、壁の内部で結露している
  • 洗濯物の室内干しなど、湿気の発生源が多い
  • 給気口や換気扇がふさがっている、働いていない

国土交通省補助事業の資料は、壁の内部で起きる「内部結露」について、表面結露に比べて発見が難しく、見つけたときには深刻な被害になっている場合がある、と説明しています。壁の内部や床下の問題は、窓では変えられません。天井や壁にシミがある、雨の後だけにおいが強くなる、といった場合は、まず建物の点検を受けることをおすすめします。

当社は窓・ドアのリフォームの専門店です。窓が原因ではないとわかった場合は、そのようにお伝えします。なお、ガラスだけの交換・修理は当社では扱っていません。

賃貸・マンションの場合

沖縄は借家が多く、鉄骨・鉄筋コンクリート造の共同住宅も多い地域です。窓や壁を変える前に、管理会社やオーナーへ相談することが先です。退去のときに、元の状態に戻す必要が出る場合もありますので、工事の前に取り決めを確かめてください。

そのため、まずは湿度計での確認、換気、収納の工夫のように、元に戻せる方法から試すのが安全です。賃貸での窓まわりの考え方は 賃貸のお客様へ で説明しています。分譲マンションの場合は、窓の扱いが管理規約で決まっていることがあるので、確かめてください。

迷ったときの見分け方

次の表は、原因の目安です。

見られる様子考えられること
窓ガラスやサッシにも水滴が付く窓の表面が冷たくなっている
窓は乾いているが、押し入れの奥だけカビる収納の空気が動いていない、壁が冷たい
雨のあとにだけ、においが強くなる雨漏り、外壁側の問題の可能性
梅雨から夏にかけて全体に湿っぽい屋外の湿気が主な原因の場合
床に近い所に出る床下や床材の湿気の可能性

どれに当たるか迷うときは、湿度計の数字を数日分、メモしておくと役に立ちます。窓の結露がなく、壁や床が湿っている場合は、窓以外の原因を先に疑います。

費用の目安は 料金のページ に、利用できる制度については 補助金のページ にまとめています。

よくあるご質問

除湿機とエアコンの除湿は、どちらがよいですか。

どちらにも向き不向きがあります。部屋の広さ、家の気密、使う時間帯で変わります。大田区の公開資料は、除湿機やエアコンで部屋の湿気を取ることを例に挙げています。まずは湿度計を置いて、数字の変化を見ながら試してみてください。

押し入れの除湿剤は役に立ちますか。

小さな収納の中の湿気を取る補助にはなる場合があります。ただ、湿気が入ってくる量が多いと、追いつかないことがあります。詰め込みすぎない、空気を入れ替えるといった基本と合わせて使ってください。

窓の結露がなくても、窓を変えると意味はありますか。

窓の結露が目立たない家では、窓まわりの工事による変化は小さいことがあります。北側の部屋のカビの原因が、壁や床、収納の中にある場合は、窓では変えられません。原因の見極めが先です。

カビのにおいだけで、カビは見えません。原因はどこですか。

家具の裏側、押し入れの奥、クロスの下地、床下など、見えない場所にカビがあることがあります。においが続くときは、家具を少し動かして壁との間を見てみてください。それでも原因がわからないときは、現地で確認します。

このページで参照した資料

  • 国土交通省補助事業『住宅の省エネルギー 設計と施工2023(4〜7地域版)』(一般社団法人 木を活かす建築推進協議会、令和5年度)
  • 大田区「カビ」(生活衛生課、2023年2月更新)
  • 気象庁「平年値(1991〜2020年)」那覇
  • 沖縄県企画部統計課『令和5年住宅・土地統計調査 沖縄県結果の要点』(令和7年3月31日)

現地を見せていただいてから、正直にお伝えします

北側の部屋や押し入れのカビは、窓だけでなく、壁、床、収納、暮らし方が重なって起きます。写真や言葉だけでは、原因を決めきれないことがあります。現地調査とお見積りは無料です。窓や壁の状態、湿気の通り道を見たうえで、窓まわりを変える意味があるのか、別の対処が先なのかをお伝えします。窓ではないとわかれば、そう申し上げます。