台風が近づくと、「窓は何かしておいたほうがいいのか」と気になります。養生テープを貼る家もあれば、何もせずカーテンを閉めるだけの家もあります。雨戸がない窓はどうすればよいのか、迷う人も多いはずです。

このページでは、窓まわりの準備に話を限って、公的機関やメーカーの公式ページで確認できた内容をまとめました。養生テープについては、メーカーが公表している検証結果もそのまま紹介します。なお、避難するかどうかなど命に関わる判断は、窓の話ではありません。気象庁や市町村が出す情報に従ってください。

台風で窓に起きること:飛来物・風圧・吹き込み

台風のときに窓が受ける力は、一つではありません。YKK APの窓の解説ページでは、飛来物が窓を壊して室内に雨風が吹き込むと、飛来物や散らばったガラスが室内を舞うおそれがあると説明されています。また、吹き込んだ強風が屋根を吹き飛ばす恐れにも触れています。

同じページには、窓の「耐風圧性能」についての記載もあります。耐風圧性能とは、風の圧力に対して窓枠がどれだけ変形しにくいかを示すものです。ページでは、従来の木造住宅用サッシ(S-3)は風圧で変形が大きくなり、開閉に支障が出る場合があると述べられています。耐風圧性能が高い窓(S-5)は変形が少ないとされています。

整理すると、次の三つに分けて考えると分かりやすくなります。

  • 飛来物:風で飛ばされた物がぶつかる。ガラスが割れる原因になりやすい
  • 風圧:風が窓全体を押す。窓枠の変形や、開閉のしにくさにつながる場合がある
  • 吹き込み:すき間や、割れた部分から雨が入る

準備は「どれを防ぎたいのか」で選ぶ道具が変わります。雨の吹き込みについては、窓から雨が吹き込むときのページで別にまとめています。

台風の前にやっておくこと:窓と部屋の中の準備

まず、風雨が強くなる前に済ませておきたいことです。福岡管区気象台の「気象災害に備える」では、窓や雨戸を閉めて、しっかり鍵をかけるよう案内されています。YKK APの災害時の案内ページでも、窓・ドア・シャッター・雨戸は閉めたうえで施錠を確実にすることが示されています。鍵が確実に閉まっていないと、風で開いたり、落下したりする可能性があるためです。同じページには、窓や網戸の外れ止めを確認することも書かれています。

室内については、気象庁の同じページに、必要に応じて窓ガラスに飛散防止フィルムやテープなどを張ったり、カーテンやブラインドを下ろしたりする、という記載があります。

そのほか、YKK APの特集ページでは、庭やバルコニーの物を片付けたり固定したりして、飛来物を減らすことも対策として挙げられています。窓のすぐ外に置いた物は、風で飛んで窓に当たる側になるからです。沖縄電力の案内にも、はがれそうなトタンやテントを堅固に固定すること、アンテナを固定し庭木の枝を適当な高さに切ることが書かれています。

風が強くなってからの窓の開け閉めは危険です。YKK APの案内では、風が強いときは窓やドアを開けないこと、やむを得ず開閉するときは、急に動いて手足を挟んだり、人や物にぶつかったりしないよう注意することが示されています。準備は、風が強くなる前に終えておくほうが安全です。

養生テープは効くのか:メーカーが公表していること

「窓にテープを×印や米の字に貼る」という方法は、SNSなどで広まりました。メーカー側の見解は、次のとおりです。

YKK APのよくあるお問い合わせでは、「養生テープのみを貼ることにより、ガラスを割れないようにしたり、割れたガラスが飛び散ることを防いだりする効果は、当社では確認できておりません」と回答しています。

同社の特集ページには、2023年8月に行った検証の内容が載っています。条件は次のとおりです。

項目内容
窓引違い窓(アルミ枠、ガラスは単板4mm厚、幅1,690mm×高さ2,030mm)
飛来物屋根瓦の破片に見立てた木材(2.05kg±0.1kg)、衝突速度12.2m/秒
試験方法JIS R 3109(建築用ガラスの暴風時における飛来物衝突試験方法)に基づく

出典:YKK AP「めざそう災害に強い家 台風対策」

結果として、同ページには次の記載があります。

  • 養生テープ(上下に*の記号状に貼ったもの)では、ガラスの飛散は避けにくい。テープを増やすと飛散は減る
  • 段ボール(4mm厚)を2枚貼る、または4枚重ねて貼ると、飛散が減った
  • カーテンを閉めるだけでは、効果を確認できなかった
  • 段ボールとカーテンを併用し、カーテンが巻き上がらないようにすると、飛来物の威力と飛散が減った

同社は、これらの方法を「ガラスの強度を上げるものではなく、室内側からの応急処置」と位置づけています。割れを防ぐことは保証されていません。

もう一つ、LIXILの記事(防災アドバイザーの見解を紹介したもの)には、テープは「飛来物が衝突してガラスが割れた瞬間の飛び散りを減らす」効果しかない、という趣旨の記載があります。貼るなら窓の全面に貼るべきで、全面に貼れば飛散防止フィルムに近い効果が期待できるとされています。一方で、台風のたびに全部の窓に貼るのは手間とコストがかかる、という指摘も同じ記事にあります。

ここまでの内容をまとめると、養生テープは「窓を割れなくする」ものではない、ということです。貼る場合は、割れたときの飛散を少しでも減らす補助的な手段として考えるのが現実的です。

なお、テープや段ボールには後始末の注意があります。YKK APは、養生テープは粘着成分が残るおそれがあること、段ボールは窓ガラスの熱割れにつながるおそれがあることを理由に、台風が過ぎたら早めにはがすよう案内しています。

雨戸・シャッター:飛来物から窓を守る備え

窓の外側で飛来物を受け止めるのが、雨戸やシャッターです。YKK APの窓の解説ページには、「窓にシャッターを取り付ければ、飛来物から窓を守ることができます」と書かれています。既存の窓に後付けできる製品や、既存の雨戸・シャッターを取り替える製品も紹介されています。

同社のシャッターのページには、DIYの対策(テープなど)は「強風や飛来物により窓が割れる対策にはなりません」とも書かれています。また、同社の耐風シャッターについて「3kgの木材が時速55kmでぶつかってもガラスが割れない強度」との表記があります。これは製品を販売する会社の表記であり、すべてのシャッターに当てはまる数字ではありません。

使い方では、次の点に気をつけたいところです。

  • 閉めただけでなく、施錠まで確認する(前の節のとおり)
  • 電動シャッターは、停電するとそのままでは動かない。YKK APのページにも、停電すると動かないこと、製品によっては非常開放機構があることが書かれている
  • 台風が近づいてからでは、外に出て作業するのが危険になる。早めに閉める

雨戸やシャッターには、閉めている間は外の様子が見えず、光も入りにくいという面もあります。長所と短所を知ったうえで、台風の前だけ閉める使い方が一般的です。

雨戸のない窓はどうするか:割れた場合に備える

雨戸もシャッターもない窓について、YKK APの災害時の案内には、ガラスが割れたときの飛散に備えてカーテンを閉め、カーテンが巻き上がらないよう配慮し、窓から離れること、と書かれています。室内では、シャッターやカーテンを閉め、窓から離れた安全な場所で過ごすよう示されています。

選べる備えを、確認できた範囲で並べます。

備え確認できた内容気をつける点
カーテン・ブラインド気象庁・YKK APともに、閉めることを案内閉めるだけでは効果を確認できなかったという検証結果がある。巻き上がらない工夫が要る
飛散防止フィルム気象庁が、窓ガラスに貼ることを案内割れにくくする対策ではなく、破片の飛散を抑えるためのもの
養生テープ気象庁の案内に「テープなど」の記載ありメーカーは単独での効果を確認できていないと回答。貼るなら全面に、という見解もある
合わせガラスYKK APは、割れても破片が飛散しにくいとしている窓ガラスそのものの入れ替えが必要

出典:福岡管区気象台「気象災害に備える」、YKK AP各ページ

合わせガラスは、2枚のガラスの間に樹脂の膜を挟んだガラスです。YKK APのページでは、単板ガラスは破片が鋭く飛散して二次災害のおそれがあると説明されています。

どの備えも、飛来物そのものを止めるものではありません。止めたいのであれば、外側で受け止める雨戸やシャッターが役に立ちます。

窓では解決しないこと・内窓の位置づけ

内窓は、既存の窓の室内側にもう一つ窓を付けるものです。暑さ・寒さ、結露、音のお悩みには向いていますが、台風そのものから窓を守るための製品ではありません。飛来物を外で受け止めるのは、雨戸やシャッターの役割です。台風と窓の関係は、台風と窓のページにまとめています。内窓の特徴は内窓とは、向かない場合は内窓のデメリットで説明しています。

また、台風の備えには、窓以外の大事な準備があります。

  • 停電への備え:沖縄電力のページでは、停電情報は「停電情報公開サービス」や県内のコミュニティFM局で確認できるとされています。在宅医療機器を使っている場合は、非常用バッテリーなど代わりの電源の準備と、避難先の事前確認を求めています
  • 台風後の電気・電線:切れた電線や倒れた電柱を見つけても触れず、沖縄電力に連絡するよう案内されています。水につかった電気器具は、点検後に使うことも書かれています

避難が必要かどうかの判断は、窓の備えがあるかどうかでは決まりません。避難情報や気象情報は、気象庁や市町村などの公的な情報を確認してください。

賃貸・マンションの場合

賃貸住宅やマンションの窓は、窓やサッシは、管理規約で扱いが決まっていて、勝手に交換できない場合があります。フィルムやテープを貼る、窓を交換するといった作業は、契約や管理規約の確認が先です。管理会社や管理組合に相談しておくと安心です。

貼ったテープの粘着成分が残る場合もあるため、はがしやすさにも気をつけたいところです。詳しくは賃貸の場合、マンションの内窓をご覧ください。

なお、ベランダ側の窓は、排水溝の掃除も関係します。YKK APの案内には、集合住宅の2階以上のバルコニーでも排水溝を掃除して、室内への水の侵入を防ぐよう書かれています。窓の下枠のレールのゴミを取り除くことも示されています。

台風の後の点検

台風が過ぎたあとは、次の順に見ていくと整理しやすくなります。確認できた情報と、一般的な考え方に分けて書きます。

確認できた内容:

  • テープや段ボールを貼った場合は、早めにはがす(粘着成分の残りや熱割れのおそれがあるため)
  • 窓の下枠のレールの水やゴミを取り除く。強風雨でレールに水が溜まるときの案内も、YKK APのよくあるご質問にある
  • 切れた電線や倒れた電柱には触れない
  • 水につかった電気器具は、点検後に使う

一般的な考え方として:窓ガラスにひびが入っていないか、鍵やクレセント(窓の鍵)が閉まりにくくなっていないか、雨戸・シャッターの動きに引っかかりがないかを、順番に見ておくと安心です。ひびのある窓は、後日の風や振動で割れる場合があります。割れた窓の交換の相談先は、施工店や販売店、メーカーの修理窓口などがあります。

迷ったときの見分け方

  • 窓の外に雨戸・シャッターがある → 閉めて、施錠まで確認する
  • 雨戸もシャッターもない → カーテンを閉め、窓から離れて過ごす。養生テープやフィルムは、割れたときの飛散を抑える補助と考える
  • 窓の近くに物が置いてある → 飛来物になるため、片付けるか固定する
  • 電動シャッターを使っている → 停電時の動きを、台風の前に確認しておく
  • 在宅医療機器を使っている → 電源と避難先を、台風の前に確認しておく
  • 賃貸・マンション → フィルムやテープ、窓の交換は、管理会社や管理組合に確認する

よくあるご質問

養生テープを貼れば、窓は割れませんか。

メーカーの回答では、養生テープだけでガラスが割れなくなる、あるいは飛び散りを防げるという効果は確認できていません。貼る場合は、割れたときの飛散を少し抑える補助的な手段と考えてください。

雨戸がない窓は、台風のときどうすればよいですか。

メーカーの案内では、カーテンを閉め、巻き上がらないようにして、窓から離れた安全な場所で過ごすこととされています。日ごろの対策としては、飛散防止フィルムや合わせガラスという選択肢もあります。

内窓を付ければ、台風から窓を守れますか。

内窓は、台風そのものから窓を守る目的の製品ではありません。飛来物を外で受け止めるのは、雨戸やシャッターです。内窓は、暑さ・寒さ、結露、音のお悩みのための選択肢です。防犯面の働きは防犯のページで説明しています。

台風が近づいてから、窓の対策をしても間に合いますか。

風雨が強くなる前に済ませるのが基本です。風が強いときは、窓の開け閉めや外での作業が危険になります。時間のあるときに、雨戸の動きや鍵の状態を確認しておくことをおすすめします。

このページで参照した資料

  • 福岡管区気象台「気象災害に備える」(台風への備え)
  • YKK AP「めざそう災害に強い家 台風対策」(2023年8月の検証結果を含む)
  • YKK AP「災害時の対応 大雨・暴風・台風の時は」
  • YKK AP「窓ガラスに×印、または「米」の字のように養生テープを貼るとガラスは割れなくなりますか。」(よくあるお問い合わせ)
  • YKK AP「台風と窓」(窓の教科書)
  • YKK AP「窓シャッター」商品ページ(耐風シャッターの表記は製品を販売する会社の記載)
  • LIXIL「窓ガラスの飛散を防止する応急措置」
  • 沖縄電力「災害にそなえて」

窓まわりの備えは、お住まいの窓の種類や向き、雨戸の有無で、できることが変わります。現地を見せていただいてから、正直にお伝えします。現地調査・お見積りは無料です。台風対策には雨戸やシャッターが向く場合もあり、内窓やカバー工法が合わないと分かれば、そのように申し上げます。