リビングの掃き出し窓、寝室の腰高窓、階段の小窓、北側の浴室まわり。数えてみたら、家じゅうに窓が10か所以上ある。全部をいっぺんに変えるのは難しい。そんなとき、「どこから手を付ければいいのか」で止まってしまう方は少なくありません。

このページでは、窓の数が多い家で優先順位を付けるための「物差し」を5つ紹介します。あわせて、工事の前に自分でできる確かめ方と、一部の窓だけ工事した場合に分かっていること・分からないことも正直にまとめました。

先にお伝えしておくと、「ここから」という唯一の正解はありません。お住まいの向き、家族の過ごし方、悩みの種類で順番が変わります。

窓の熱は「向き」と「過ごす時間」で効き方が変わる

まず、窓から入る熱の大きさについてです。日本サッシ協会の資料(2025年7月)では、アルミサッシと単板ガラスの窓が付いた住宅の場合、夏の冷房時に入る熱のうち窓などの開口部から入る割合は73%と紹介されています。出典は日本建材・住宅設備産業協会の資料とされています。環境省の事業資料にも「住宅の熱の出入りの7割は開口部から」と書かれています。

ただしこれは、一定の想定をおいた試算です。窓の大きさ、向き、ガラスの種類、庇(ひさし)の有無で、実際の割合は変わります。この数字は「窓は熱の出入りが大きい場所」という目安として受け取ってください。

では、向きでどう違うのでしょうか。建築研究所の計算方法には、日射の影響は方位によって異なるため、方位ごとに係数を定めて日射熱取得量を計算する、と書かれています。

ここから言えるのは、北以外の向きでは数値に大きな開きがなく、北は小さい、ということです。これは設計計算に使う係数なので、実際の窓の熱の入り方とは一致しない場合があります。庇、隣の建物、ガラスの種類で変わるからです。それでも「南だけ、西だけを気にすればよい」とは言い切れない、というヒントにはなります。

沖縄は、鉄筋コンクリート造が多い地域です(令和5年住宅・土地統計調査では、非木造が96.5%)。日本サッシ協会の資料は、日中に窓や外壁、屋根から吸収された太陽熱が夜間にかけて室内に放出され、夜も室温が上がることがあると説明しています。日が沈んでも寝室が暑い、という場合は、このしくみが関わっている可能性があります。

優先順位を付ける5つの物差し

窓ごとに、次の5つを当てはめてみてください。当てはまる数が多い窓ほど、先に考える候補になります。

物差し見方気になるときの目安
日射の強さ日中、窓際に直射日光が長く入るか。西日や朝日がまぶしいか窓際の床やカーテンが熱くなる
過ごす時間家族が長くいる部屋の窓かリビング、在宅ワークの部屋、寝室
眠る場所夜の暑さ・音が睡眠に響いていないか夜中に目が覚める、朝から疲れている
音の入り口道路、基地、近隣などの音がどの窓から入るか窓を閉めても音が気になる
結露・カビ窓ガラスやサッシに水滴が付くかカーテンの裏、サッシの下に水がたまる

悩みが「暑さ」なのか「音」なのか「結露」なのかで、最優先の窓は変わります。暑さなら日射の入る窓、音なら音の入ってくる窓、結露なら実際に結露の出る窓です。悩みが複数あるときは、複数の物差しに当てはまる窓から数えるのが分かりやすい方法です。

西日が強い窓については西日が強い部屋のページ、寝室の暑さについては寝室が暑いのページも参考にしてください。

部屋ごとの目安

あくまで考え方の目安です。間取りや向きで変わります。

寝室

長い時間を過ごし、夜の暑さや音がそのまま睡眠に関わる部屋です。窓を開閉する回数が少ない部屋でもあります。YKK APのコラムは、内窓は開閉の手間が増えるため、開閉頻度の少ない寝室などの窓に付けることを検討する、という考え方を紹介しています。ただし、寝室の窓が北向きで日射が少なければ、暑さの面では優先度が下がります。その場合は、音や結露の物差しで考えます。

リビング

家族が長く過ごす場所で、窓が大きいことも多い部屋です。日射の入る大きな窓があれば、候補の最上位になりやすいと言えます。一方、大きな窓は内窓にしても開け閉めの手間が出やすいため、日々の使い方も合わせて考えます。

子ども部屋

昼間は使わず夜だけ眠る部屋もあれば、勉強で長くいる部屋もあります。「何時にいるか」を家族に確かめてから決めると、無駄が出にくくなります。

北側の部屋

方位係数では北は小さいため、日射の面では後回しになりやすい向きです。ただし、結露が出る、水まわりで湿気が多いなど、別の理由で優先度が上がることはあります。向きだけで判断せず、実際の様子を見てください。

迷ったときの見分け方:チェックの手順

工事を考える前に、お金をかけずに確かめられることがあります。1〜2週間、次の順で記録してみてください。

  1. 間取り図を描き、窓に番号を付ける(紙で十分です)。
  2. 温度計を、窓際と部屋の中央に置く。時間帯ごとにメモする(朝・昼・夕方・就寝前)。
  3. 晴れた日に、窓際の床や壁を手で触り、熱を感じる時間帯と窓を書き留める。
  4. 夜、寝室で眠る前と夜中・起床時の室温を比べる。
  5. 音は、窓を閉めた状態で気になる音と時間帯を書く。可能なら窓ごとに閉め切って聞き比べる。
  6. 結露やカビは、朝に出る窓と場所(ガラス、サッシの下、カーテンの裏)を記録する。

記録を見ると、「暑いのは午後の西側の窓だけ」「音は道路側のこの窓から」といった偏りが見えてきます。偏りがはっきりしていれば、その窓が候補です。偏りがなく、家全体が暑い・うるさい場合は、窓以外の原因も疑う必要があります(後の節をご覧ください)。

今日からできる日射対策

日本サッシ協会の資料は、窓の外側にオーニングやすだれなどの日射遮蔽物を付けると、窓から入る熱をさらに減らせると紹介しています。建築研究所の資料の表では、単板ガラスの日射熱取得率(ガラスなどを通って入る日射熱の割合)が0.88、外付けブラインドを併用すると0.19、和障子を併用すると0.38とされています。設計計算用の値ですが、「窓の内側より外側で遮るほうが熱を抑えやすい」という方向性は読み取れます。

窓まわりで変えられること、一部だけ工事する場合

窓の対策には、大きく次の方法があります。

  • 内窓:今の窓の内側にもう1枚窓を付ける。1窓ずつ工事ができる。
  • カバー工法:今の窓枠の上から新しい窓枠をかぶせて、外窓を交換する。詳しくは窓のカバー工法のページをご覧ください。
  • ガラス交換:ガラスだけ高断熱のものに替える。
  • フィルムや日除け:貼る・掛ける方法。

日本サッシ協会の資料によると、内窓は他の窓断熱改修と比べて安価で、1窓あたり数時間で設置でき、マンションの高層階にも対応できる一方、開閉の手間が増えること、外窓が劣化したまま取り付けると外窓との間に結露が起こることがある、とされています。

内窓の効果について、確認できていること

YKK APのコラムでは、次の数値が条件つきで紹介されています。

  • 室外0℃・室内20℃のサーモグラフィ撮影で、外窓がアルミサッシ(単板ガラス)の場合、内窓がないとガラス面9℃・下框7℃、内窓を付けると18℃・14℃に上がった。
  • 80dBの交差点の音は、窓を閉めた室内で55dB、内窓を追加するとさらに約15dB下がって40dBになる。音域や外窓・内窓の仕様で変わる、と注記されています。

これらはメーカーの試験条件での値です。お住まいで同じになるとは限りません。

一部だけ工事するメリットと限界

メリットは、1窓ずつ進められるため、悩みの強い窓から手を付け、様子を見ながら次を考えられることです。予算や工事日数の都合にも合わせやすい方法です。

限界もあります。ここは確認できる資料が限られるため、分かる範囲でお伝えします。

  • 効果は工事した窓に現れるものです。工事していない窓から入る熱や音は、そのまま残ります。「リビングの1窓だけで部屋全体が涼しくなる」とは言えません。
  • 一部の窓だけ工事した住宅は、環境省の資料では全体の約16%(令和5年住宅・土地統計調査を基にした集計)とされています。どの窓をどこまで工事したときに、部屋全体がどう変わるかを示す公式の数字は、今回確認できませんでした。
  • 熱は窓以外(屋根や外壁)からも入ります。窓だけでは変えられない部分があります。

つまり「悩みが特定の窓から来ているなら、その窓から」「家全体が暑いなら、窓の数をまとめて考える」と分けて考えるのが現実的です。

補助金は、工事の範囲や製品の条件で対象かどうかが変わります。補助金のページでご確認ください。金額や費用は、現地を拝見してから料金のページの考え方に沿ってご案内します。

窓では解決しない・向かないケース

正直に書きます。次のような場合、窓だけの工事では期待どおりにならないことがあります。

  • 工事現場の音や、隣室の話し声などの固体音:YKK APのコラムは、地面や壁を振動させて伝わる音は窓だけでは防ぐことが難しいとしています。
  • 暑さの主な原因が屋根や外壁の場合:日中に屋根や外壁が吸収した熱が夜に室内へ放出されるため、窓以外の対策も視野に入れる必要があります。
  • 外窓が傷んでいる場合:内窓を付けても、外窓との間に結露が出ることがあります。まず外窓の状態を確認します。
  • 結露の原因が室内の湿気そのものの場合:換気や除湿の見直しが先になることがあります。
  • 窓の開け閉めが多く、手間が増えるのが負担になる場合:内窓は「開ける手間が増える」ことを前提に選ぶ必要があります。

結露の見方は結露・カビ、音の見方は防音のページにまとめています。

賃貸・マンションの場合

賃貸では、窓の工事に管理会社や大家さんの承諾が要ります。退去時の原状回復の条件も、先に確認してください。マンションでは、窓や窓枠が共用部分にあたる場合があり、管理規約で工事の可否や手順が決まっています。詳しくは賃貸の窓対策とマンションの内窓をご覧ください。

よくあるご質問

全部の窓を一度にやらないと意味がありませんか?

意味がないわけではありません。工事した窓の周りでは、変化を感じられる場合があります。ただし、工事していない窓の影響は残ります。悩みが特定の窓にあるのか、家全体なのかで考え方が変わります。

南向きの窓を先にすればいいですか?

向きだけでは決められません。建築研究所の計算方法では、方位ごとに日射の影響の大きさが違うとされていますが、沖縄が含まれる地域では、北以外の向きで数値の開きは大きくありません。実際に熱が入る窓、過ごす時間が長い窓を、チェックの手順で確かめてください。

寝室だけ内窓にする意味はありますか?

夜の暑さや音が睡眠に関わっている場合は、検討する価値があります。ただし、寝室の悩みが他の部屋から来る音や、家全体の熱によるものなら、寝室の窓だけでは変わりにくいこともあります。

窓が多すぎて、どれが原因か分かりません

その場合は、現地を見せていただくのが早い方法です。窓ごとの向き、ガラス、外窓の状態、音の入り方を確認して、優先順位をご一緒に整理します。

このページで参照した資料

  • 日本サッシ協会「快適な住まい情報室 REPORT #01 災害級の猛暑から命を守る!自宅の熱中症対策」(2025年7月)
  • 建築研究所「外皮の日射熱取得の計算方法」
  • 環境省・経済産業省・国土交通省「断熱窓への改修促進等による住宅の省エネ・省CO2加速化支援事業」事業概要資料(令和7年度補正予算(案))
  • YKK AP「内窓(二重窓・二重サッシ)とは?」コラム
  • 総務省統計局「令和5年住宅・土地統計調査」沖縄県結果の要点(令和7年3月31日)

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窓の数が多い家ほど、図面だけでは優先順位が決めにくいものです。現地を見せていただいてから、正直にお伝えします。向きや外窓の状態、音の入り方を確認し、窓ではない原因が見つかれば、そのこともはっきり申し上げます。現地調査・お見積りは無料です。お問い合わせからお気軽にどうぞ。