「真空ガラス」「ペアガラス」「内窓」。窓の断熱を調べると、この3つの言葉が必ず出てきます。名前が似ているので、同じものだと思われがちです。
でも、じつは「ガラスそのものを替える話」と「窓をもう1枚足す話」が混ざっています。このページでは、それぞれのしくみを一次資料で確認できた範囲でやさしく整理します。どれが上、どれが下という話はしません。お住まいの条件で答えが変わるからです。
なお、当社はガラスだけを交換する工事は扱っていません。ここでは「違いを知る」ための情報として書いています。
3つのしくみの違い
まず、熱を伝えにくくする工夫の場所を比べます。
| 種類 | 熱を伝えにくくする工夫 | 既存の窓との関係 |
|---|---|---|
| ペアガラス(複層ガラス) | 2枚のガラスの間の空気の層(Low-E膜つきもある) | ガラスを入れ替える、または窓ごと替える |
| 真空ガラス | 2枚のガラスの間の真空の層 | ガラスを入れ替える、または窓ごと替える |
| 内窓 | 今の窓と内窓の間の空気の層 | 今の窓の内側に窓を足す |
ペアガラス(複層ガラス)のしくみ
2枚のガラスの間に、空気の層(中空層)をつくったガラスです。LIXILの製品ページでは、この層がガラス面を通って逃げる熱をおさえ、室内側のガラス面が冷えにくくなるため結露の抑制にもつながる、と説明されています。
さらに「Low-E(ロウイー)」と呼ばれるタイプがあります。Low-Eは「低放射」の意味で、ガラス表面に非常に薄い特殊な金属膜をつけたものです(LIXIL)。膜をつける位置は製品によって違い、同じLIXILのページでも、室内側のガラスにつけるものと室外側のガラスにつけるものが載っています。
真空ガラスのしくみ
日本板硝子のニュースリリースによると、真空ガラス「スペーシア」は、2枚のガラスの間に0.2mmの真空層を閉じ込めた製品です。真空層を保つために「マイクロスペーサー」という小さな部品が入っています。同社の「スーパースペーシア」では、マイクロスペーサーどうしの間隔を20mmから28mmに広げて、スペーサーを伝わる熱を半分にしたと説明されています。
空気の層ではなく真空の層なので、ガラスの厚みをおさえやすいことが特徴です。同じ資料に、スーパースペーシアは厚さ10.2mmと書かれています。
内窓のしくみ
LIXILのニュースリリースでは、内窓「インプラス」を取り付けると、既存の窓との間の空気層が断熱と遮音の働きをする、と説明されています。また、枠は樹脂で、アルミの約1/1000の熱伝導率だとされています。
つまり内窓は、ガラスの性能だけでなく、「窓が二重になる」ことで効果を出す方法です。内窓のガラスにペアガラスやLow-Eを選ぶこともできます。この選び方は 内窓のガラスの選び方 にまとめています。
数字で見ると(ガラス単体の値)
熱の伝わりやすさを表す「熱貫流率」の値です。数字が小さいほど、熱が伝わりにくいことを表します。日本板硝子が2017年に発表した値です。
| ガラスの種類 | 厚み | 熱貫流率 W/(㎡・K) |
|---|---|---|
| 一枚ガラス | 3mm | 6.0 |
| 一般の複層ガラス | 18mm | 2.9 |
| Low-E複層ガラス | 18mm | 1.6 |
| 真空ガラス(スペーシア) | 6.2mm | 1.4 |
| 超高断熱真空ガラス(スーパースペーシア) | 10.2mm | 0.65 |
出典:日本板硝子 ニュースリリース(2017年6月12日・2017年9月29日)
見るときの注意が3つあります。
- これは「ガラス部分」の値で、サッシ(枠)を含めた窓全体の値ではありません。
- メーカーや製品、ガラスの組み合わせ、封入するガスで値は変わります。たとえばLIXILのページには、アルゴンガス入りのLow-E複層ガラスなど、別の値が条件つきで載っています。
- 内窓は「今の窓+内窓」の組み合わせなので、この表と同じ並びでは比べられません。
熱の出入りと、窓のリフォームの種類
日本サッシ協会の資料(2025年7月)では、住宅のなかで熱の逃げ道がいちばん大きいのは窓などの開口部と説明されています。従来の窓(アルミサッシ+単板ガラス)の住宅では、夏の冷房時に窓などから入る熱は73%(日本建材・住宅設備産業協会の資料をもとにした値)とされています。
同じ資料では、窓の断熱改修のやり方は大きく2つに分けられています。
- 外窓の断熱性能を高める方法(ガラス交換、外窓交換)
- 内窓を足す方法
外窓交換には「はつり工法」と「カバー工法」があります。環境省の「先進的窓リノベ2026事業」の概要資料も、窓の改修を「内窓設置」「外窓交換」「ガラス交換」に分けています。
サッシ交換が要る場合・要らない場合
| 方法 | サッシ(枠)は | 日本サッシ協会の資料にある特徴 |
|---|---|---|
| 内窓を足す | 今のまま | 他の窓断熱改修と比べて安価/1窓あたり数時間で設置可能/開閉の手間が増える/外窓が傷んだまま付けると、外窓との間に結露が起きることがある |
| 外窓交換 | 新しくする | 建付けが良くなる/窓の開閉は今までどおり/内窓と比べて施工費が高め |
| ガラス交換 | 今のまま(ガラスだけ替える) | 環境省の概要資料では、既存のサッシに入れ替える工事とされている |
出典:日本サッシ協会「快適な住まい情報室 REPORT #01」(2025年7月)、環境省「先進的窓リノベ2026事業の概要」
真空ガラスやペアガラスを使う方法には、ガラスだけを替える方法と、窓ごと替える方法があります。内窓は、サッシを替えずに今の窓の内側に足す方法です。くわしくは カバー工法と内窓の違い をご覧ください。
「どれを選ぶ?」の考え方
優劣は、何を困りごとにしているかで変わります。目安を並べます。
- 冬の寒さや結露がいちばんの悩み:ガラスの性能と、窓が二重になることの両方が関わります。外窓の状態も見ます。
- 音も気になる:LIXILの資料では、内窓と外窓の間の空気層が音の出入りをやわらげると説明されています。音のお悩みは 防音のページ も参考になります。
- 窓の開け閉めの手間を増やしたくない:内窓は開閉が二重になります(日本サッシ協会の資料)。この点では外窓交換やガラス交換が向く場合があります(ガラス交換は当社では扱っていません)。
- 工事を短く、住みながら済ませたい:内窓は1窓あたり約1時間から設置できるとLIXILが説明しています。実際の時間は現場の状況で変わります。
- 今のサッシの状態が悪い:すき間風や建付けは、ガラスや内窓では直らないことがあります。外窓交換が合う場合があります。
窓の種類ごとの特徴は 窓の種類の見分け方、断熱と遮熱の違いは 断熱と遮熱の違い、フィルムとの比べ方は フィルムと内窓の違い で整理しています。
沖縄で考えるときのポイント
那覇は年平均気温が23.3℃、湿度は年平均73%です(気象庁平年値 1991〜2020)。6月は27.2℃・83%、7月は29.1℃・78%と、蒸し暑い時期が長く続きます(同)。沖縄の住宅は、非木造が96.5%、鉄骨・鉄筋コンクリート造が93.8%、共同住宅が60.9%、借家が50.7%です(令和5年住宅・土地統計調査 沖縄県結果の要点、令和7年3月31日)。
マンションでは、窓の工事の可否が管理規約で決まります。規約は建物ごとに違うので、先に管理会社へご確認ください。くわしくは マンションの内窓 をご覧ください。
合わない場合・窓だけでは足りない場合
- 外窓が傷んでいる場合:内窓を付けても、外窓との間に結露が起きることがあります(日本サッシ協会の資料)。先に外窓の状態を見る必要があります。
- 窓以外が原因の場合:暑さや寒さが屋根・壁・換気から来ているときは、窓を替えても変わりにくいことがあります。
- 開け閉めが大変な方:内窓は二重に開け閉めするため、負担に感じる方もいます。
補助金・費用について
窓の断熱リフォームには、環境省の「先進的窓リノベ2026事業」などの補助制度があります。対象製品・条件・金額は制度ごとに決まっていて、変わることもあります。当ページでは金額は書きません。制度は 補助金のページ をご覧ください。
よくあるご質問
真空ガラスにすれば、内窓はいりませんか?
一概には言えません。真空ガラスはガラスそのものの性能を上げる方法、内窓は窓を二重にする方法で、やり方が別です。サッシの状態、音の悩み、開閉の手間、工事の大きさなどで、合う方法が変わります。
ペアガラスの窓に、内窓を付けてもいいですか?
付けられる場合があります。日本サッシ協会の資料にも、外窓が複層ガラスの状態で内窓を付けた室内温度の観測例が載っています。ただし、外窓との間の結露や窓まわりの寸法などは、現地で見ないと判断できません。
ガラスだけ替える方法と、内窓は何が違いますか?
ガラスだけを替える方法は、今のサッシはそのまま、ガラス部分の性能を変えます。内窓は、今の窓はそのままで、内側にもう1つ窓を足します。ガラス交換は当社では扱っておりません。
賃貸でもできますか?
窓の工事には、貸主さんの承諾が必要なことがあります。退去時の原状回復も含めて、先にご確認ください。
YKK AP 公式社員YouTuber・ずーしみさんとのコラボ動画
YKK AP 公式社員YouTuber・ずーしみさんとのコラボ動画を公開しました。内窓のくわしい説明や、YKK APのものづくりへのこだわりを、ショールームでたっぷり話しています(約1時間)。
このページで参照した資料
- 日本板硝子 ニュースリリース「超高断熱真空ガラス(仮称)『スーパースペーシア』の開発に成功」(2017年6月)
- 日本板硝子 ニュースリリース「超高断熱真空ガラス『スーパースペーシア』の発売開始」(2017年9月)
- LIXIL ニュースリリース「INPLUS for Renovation 新発売」(2020年9月)
- LIXIL 商品ページ「複層ガラス」「Low-E複層ガラス」
- 一般社団法人 日本サッシ協会「快適な住まい情報室 REPORT #01」(2025年7月)
- 環境省「先進的窓リノベ2026事業の概要」(令和7年度補正予算)
- 気象庁 平年値(1991〜2020年)
- 沖縄県企画部統計課 令和5年住宅・土地統計調査 沖縄県結果の要点(令和7年3月31日)
現地を見せていただいてから、正直にお伝えします
窓の断熱は、ガラスだけで決まるものではありません。今のサッシの状態、方角、お部屋の使い方、マンションの規約などで、合う方法が変わります。現地調査とお見積りは無料です。内窓が向いていない、または窓ではなく別の対策が先だと分かった場合は、そのように正直にお伝えします。費用は 料金のページ もご覧ください。

