午後になると西日が事務所に差し込んで、部屋が暑くなる。パソコンの画面に光が映り込んで、文字が見えにくい。ブラインドを下ろすと今度は暗くなって、照明をつけると冷房が効きにくい気がする。そんなお悩みは、沖縄の事務所でよく聞くものです。

この記事では、まず西日がいつ、どの向きから入るのかを国立天文台の資料で確かめます。そのうえで、事務所で起きることの整理、今日からできる工夫、窓まわりで変えられること、窓では解決しないことを順に説明します。内窓やカバー工法は選択肢の一つです。向くケースと向かないケースの両方をお伝えします。

西日が入るしくみ:沖縄は日没が遅く、季節で向きも変わる

国立天文台の「各地のこよみ」で、那覇の2026年の日の入り時刻と方位を確認しました。方位は北を0度として東回りに測った角度で、90度が東、180度が南、270度が西です。

日付日の入り時刻日の入りの方位
1月15日17:59246.8度(西よりやや南)
6月15日19:23296.6度(西よりやや北)
10月31日17:48254.6度(西よりやや南)
12月15日17:40244.3度(西よりやや南)

出典:国立天文台 暦計算室「各地のこよみ 日の出入り@那覇(沖縄県)」令和8年(2026)。時刻は太陽の上辺が地平線に一致する時刻です。

この表から言えることは三つです。

  • 冬の日没は17時台から18時ごろ、夏は19時を過ぎます。夏は終業後も日が残るため、午後の遅い時間まで西側の窓に日が当たる日が長く続きます。
  • 日の入りの方位は、冬は西よりやや南、夏は西よりやや北にずれます。真西を向いた窓だけでなく、南西や北西を向いた窓でも、季節によって西日が入ります。
  • 6月15日の南中高度(正午ごろの太陽の高さ)は87.1度で、ほぼ真上です。1月15日は42.7度です。夏は上から、冬は低い角度から日が入る、という違いがあります。

そこに沖縄の気温が重なります。気象庁の平年値(1991〜2020年)では、那覇の月平均気温は7月が29.1℃、6月が27.2℃です。湿度は6月が83%、7月が78%です。年平均は気温23.3℃、湿度73%です。蒸し暑い時期の午後に西日が当たる、という条件になります。

また、沖縄の住宅は非木造が96.5%、鉄骨・鉄筋コンクリート造が93.8%です(令和5年住宅・土地統計調査 沖縄県結果の要点、令和7年3月31日)。事務所の暑さが窓だけで決まるわけではないことは、あとの節で触れます。

事務所で起きること:室温・画面の映り込み・冷房の負担

西日が入る事務所では、主に三つのことが起こります。

  1. 窓ぎわの席が暑くなる

日が当たる席は、同じ部屋でも体感温度が上がります。席によって「暑い」「寒い」が分かれ、冷房の設定温度をめぐって困ることもあります。

  1. パソコンの画面が見えにくくなる

画面に光が映り込む、いわゆる「グレア」が起きます。画面の向きが窓と合っていないと、背中側からの光が画面に映ります。逆に窓を正面にすると、まぶしさで目が疲れます。

  1. 冷房の負担が増える

日が差す時間帯は、冷房が効いているのに部屋が冷えにくくなります。暑さを下げようとブラインドを閉めて照明をつけると、今度は明るさと手元の見やすさの問題が出ます。

事務所の温度・照明には国の決まりがあります

事務所には、厚生労働省令の「事務所衛生基準規則」で、室温や明るさの基準が定められています。e-Gov法令検索で条文を確認しました。

  • 第5条第3項:空気調和設備(エアコンなど)を設けている場合、室の気温が18度以上28度以下、相対湿度が40パーセント以上70パーセント以下になるように努めなければならない(努力義務)。
  • 第4条第2項:室を冷房する場合は、室の気温を外気温より著しく低くしてはならない。
  • 第10条:作業面の照度は、一般的な事務作業で300ルクス以上、付随的な事務作業で150ルクス以上。採光と照明は、明暗の対照が著しくなく、まぶしさを生じさせない方法によること。

出典:e-Gov法令検索「事務所衛生基準規則(昭和47年労働省令第43号)」(令和4年3月1日厚生労働省令第29号までの改正を反映した版)。

つまり「まぶしさを生じさせない」「明暗の差を小さくする」ことは、事務所の環境づくりの考え方として国の規則に書かれています。西日の対策は、働く人の快適さだけでなく、この考え方にも沿ったものです。

パソコン作業については、厚生労働省のパンフレット「情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドライン」(令和元年7月12日付け基発0712第3号に基づく)に、次の記載があります。

  • 明暗の対照が著しくない室内照明にする。間接照明はグレア防止に効果的。
  • 机上の照度は300ルクス以上が目安。
  • 太陽光が差し込むときは、窓にブラインドを。
  • ディスプレイの位置・角度、輝度を調節する。

今日からできること:道具と配置で、まず試せる工夫

工事の前に、費用をかけずに試せることがあります。

画面と机の向きを変える

  • 厚生労働省のガイドラインには、ディスプレイの位置・角度・輝度を調節することが書かれています。机の配置を変えられない場合も、画面の角度と明るさ(輝度)から試せます。

日が入る時間帯だけブラインドを使う

  • 西日が当たるのは主に午後です。その時間だけ窓のブラインドを閉め、羽根の角度を調整して、明るさを確保しながら直射日光を遮ります。
  • 外側にすだれやシェード、日よけを付けられる場合は、検討の余地があります。ただし、建物の外側に取り付けるものは、管理者の承諾が必要なことがあります。
  • カーテンを閉めても暑い理由は、カーテンを閉めても暑いのはなぜ?で説明しています。

窓ガラスに貼るフィルムを試す

  • 遮熱や映り込みを抑えるためのフィルムがあります。貼ると、窓の外の景色や室内の明るさが変わります。
  • ガラスの種類によっては、貼れない、または施工店への確認が必要な場合があります。貼る前に、施工店や建物の管理者に確認してください。フィルムと内窓の違いは、フィルムと内窓、どちらがいい?で比較しています。

照明を見直す

  • 机上の明るさが足りないと、暗い部屋で画面だけが明るくなり、目が疲れやすくなります。西日を遮ったあとは、机上の照度が300ルクス以上あるか、確認してみてください。
  • 間接照明は、画面への映り込みを抑えやすいとされています。

席替えや時間割で調整する

  • 窓ぎわの席を、午後だけ会議や外回りの人に割り当てる。
  • パソコン作業が多い人は、窓から離れた席にする。
  • 小さな工夫ですが、費用をかけずに始められます。

窓まわりで変えられること:向き・条件で選ぶ

窓を変える方法もあります。大切なのは、「何を一番解決したいか」で選ぶことです。

困りごと向きやすい方法気をつけたい点
暑さをやわらげたい内窓、遮熱フィルム、外付けの日よけ窓の向き・ガラスの種類・建物の構造で変わります
画面の映り込みを減らしたいブラインド、フィルム、席の配置窓だけでは決まらないことがあります
冷房の効きを良くしたい内窓西日以外の熱の出入りも関係します
外の音も気になる内窓店舗・飲食店の騒音の考え方は店舗の防音も参考になります

内窓(今ある窓の内側にもう一つ窓を付ける)

窓の内側にもう一つ窓を付けると、二重窓になります。西日による暑さは、窓の種類や向きで変わるため、西日が当たる部屋の対策で窓の種類別に整理しています。

  • 向く場合:窓が引き違いサッシで、内側に取り付ける空間がある。西日の暑さに加えて、音や結露も気になる。
  • 向かない場合:窓の内側に家具や配管が密着していて、取り付け場所がない。窓を頻繁に出入り口として使う。

カバー工法(今あるサッシの枠の上から新しい窓を取り付ける)

古いサッシの枠を残して、その上から新しい窓枠を取り付ける方法です。窓そのものを新しくしたい、すき間風や開閉の不具合も直したいときに検討できます。壁を壊す工事を最小限にしやすい方法ですが、建物の構造によっては向かないことがあります。

  • 向く場合:サッシが古く、開閉やすき間の不具合もある。
  • 向かない場合:外壁側の状態によっては、工事が難しいことがあります。現地確認が必要です。

ガラスの種類を変える

ガラスだけの交換・修理は、当社では承っていません。

費用と補助金について

費用は窓の大きさや枚数で変わります。料金のページをご覧ください。補助金は補助金のページにまとめています。

窓では解決しないこと・向かないケース

正直にお伝えします。西日の悩みは、窓だけでは解決しないことがあります。

  • 壁や屋上からの熱が主な原因のとき:事務所が最上階や、壁面の広い角部屋の場合、窓以外の面から入る熱も大きく関わります。窓だけを変えても、体感があまり変わらないことがあります。
  • 冷房の能力・配置が合っていないとき:エアコンの能力や吹き出し口の位置、人や機器の発熱の量が原因のこともあります。
  • 画面の映り込みが、照明の位置や机の配置で起きているとき:窓を変えても、天井の照明が画面に映っていれば、映り込みは残ります。
  • 窓に日が当たる時間が短いとき:1日のうち短い時間だけ、ブラインドを閉めれば済むなら、工事より簡単な工夫のほうが合う場合もあります。
  • 建物の外観や共用部に関わるとき:ビルによっては、窓の外側の変更ができないことがあります。

内窓やカバー工法をすすめる前に、まず現状を見て、窓以外に原因がないかを確認します。窓ではないと分かれば、そう申し上げます。

賃貸ビル・テナントの場合:オーナー・管理会社の承諾と原状回復

入居しているビルの窓は、オーナーや管理会社の持ち物であることが多くあります。工事の前に、次の点を確認してください。

  • 窓やサッシ、ガラスの変更、フィルム貼りは、賃貸借契約や管理規約で制限されていることがあります。
  • 内窓は、既存の窓を残して内側に取り付けるため、比較的説明しやすい方法です。それでも、承諾を得ることが先です。
  • 退去時に元の状態に戻す「原状回復」が必要になることがあります。取り外せる工法かどうか、原状回復の費用をどちらが負担するかを、契約書で確認してください。

住まいの賃貸は賃貸でも内窓をつけられる?、マンションはマンションの内窓で説明しています。事務所は、契約の内容によって話が変わります。まずは管理会社に相談することをおすすめします。

迷ったときの見分け方

次の順に確認すると、整理しやすくなります。

  1. いつ、どの席が困っているか:午後だけか、1日中か。窓ぎわの席だけか、部屋全体か。
  2. 暑さと映り込み、どちらが重いか:暑さなら、日射を遮る方法。映り込みなら、席の配置と照明。
  3. 窓の向きと大きさ:日の入りの方位(上の表)と、窓の向きを照らし合わせます。
  4. まず無料でできる工夫を試したか:ブラインドの時間帯調整、席の配置、画面の角度。
  5. 建物の承諾が得られるか:オーナー・管理会社に確認します。
  6. それでも足りないか:そのときに、内窓やカバー工法を検討します。

よくあるご質問

西日の対策は、内窓とフィルムのどちらがいいですか?

窓の種類、向き、ガラスの種類、建物の承諾によって変わります。フィルムは貼りやすい反面、ガラスの種類によっては貼れないことがあります。内窓は、暑さに加えて音や結露も気になるときに向きます。比較はフィルムと内窓の違いをご覧ください。

窓を変えたら、電気代は下がりますか?

下がるとは言い切れません。窓の種類、向き、使い方、エアコンの状態で変わります。電気代との関係は内窓と電気代で説明しています。

断熱と遮熱は、どう違いますか?

断熱は熱の出入りをやわらげること、遮熱は日射の熱を遮ることです。西日の対策では、遮熱が中心になることがあります。違いは断熱と遮熱の違いで説明しています。

西日はできるだけ遮ったほうがいいですか?

遮りすぎると、部屋が暗くなります。事務所衛生基準規則には、作業面の照度の基準もあります。暑さと明るさのバランスを見ながら、調整することをおすすめします。

このページで参照した資料

  • 国立天文台 暦計算室「各地のこよみ 日の出入り@那覇(沖縄県)」令和8年(2026)
  • 気象庁「平年値(1991〜2020年)」那覇の月別気温・湿度
  • 沖縄県企画部統計課「令和5年住宅・土地統計調査 沖縄県結果の要点」令和7年3月31日
  • e-Gov法令検索「事務所衛生基準規則(昭和47年労働省令第43号)」令和4年3月1日厚生労働省令第29号までの改正を反映した版
  • 厚生労働省 パンフレット「情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドライン」(令和元年7月12日付け基発0712第3号に基づく)

現地を見せていただいてから、正直にお伝えします

窓の向き、ガラスの種類、席の配置、冷房の位置は、事務所ごとに違います。資料だけでは、内窓が合うかどうかは決められません。現地を見せていただいてから、原因と、窓で変えられる範囲を、正直にお伝えします。現地調査とお見積りは無料です。窓ではなく、席の配置や日よけで足りると分かった場合は、そう申し上げます。ご相談はお問い合わせからお気軽にどうぞ。内窓の全体像は内窓のページにまとめています。