夏の室内が暑いとき、「屋根や外壁に遮熱塗料を塗るべきか、窓を何とかするべきか」と迷う方は少なくありません。

結論から言うと、この2つは競い合うものではありません。守る部位が違います。遮熱塗料は、主に屋根(外壁用もあります)の「表面」で日差しをはね返す考え方です。窓まわりの対策は、ガラスを通って入る日差しや熱を減らす考え方です。どちらが合うかは、建物の造りや、暑さを感じる部屋の位置で変わります。

このページでは、公的に公開されている資料や業界団体の資料をもとに、それぞれのしくみと向き不向きを整理します。なお、当社(株式会社オンコード)は窓・ドアのリフォーム専門で、塗装工事は扱っていません。そのため塗料の施工や商品の比較には踏み込まず、しくみの説明にとどめます。

遮熱塗料のしくみと、窓との担当部位の違い

遮熱塗料は、日本塗料工業会の資料では「熱を遮蔽する塗料の総称」とされています。その中でも、太陽光の下で効果を出しやすいのが「高日射反射率塗料」で、日射を反射する機能を最大限に発揮する塗料だと説明されています。

しくみは次のとおりです。太陽光には、紫外線・可視光線・赤外線が含まれます。同資料では、赤外線が熱の元になるとされ、遮熱塗料は塗膜の表面で赤外線を多く反射させる、と説明されています。屋根の表面温度が上がりにくくなれば、室内に伝わる熱も減る、という考え方です。

同じ資料には、工場の屋根で塗装前と遮熱塗装後を比べた例があります。真夏の屋根の表面温度は、遮熱塗料で最大20℃以上低下する、という記載です。これは工場屋根での例で、「最大」の値です。住宅の屋根や外壁、色や素材が違えば、同じ結果になるとは限りません。

また、遮熱塗料の性能は「日射侵入比」という数字で示されます。日射侵入比は、室内に入ってくる熱の割合を表す数値で、測定方法はJIS K 5603で決められています。屋根用の高日射反射率塗料は、JIS K 5675で、日射反射率や耐久性などの品質が規定されています。

つまり、遮熱塗料が受け持つのは「屋根や外壁の表面で日差しを受け止める部分」です。窓は別の部位です。窓にはガラスがあり、日差しはガラスを通って直接室内に入ります。壁や屋根の塗装では、ここは変わりません。

出典:一般社団法人 日本塗料工業会「遮熱塗料」リーフレット(2025年版)

熱はどこから入る?部位ごとの割合

建物に入る熱の割合は、一般社団法人 日本建材・住宅設備産業協会(建産協)が2025年12月に公表した資料で、シミュレーションが示されています。

条件は次のとおりです。木造軸組の戸建住宅、省エネ基準策定モデル、6地域、断熱等性能等級4〜7の相当で試算されています。夏の熱の取得割合は、等級4(H28基準)相当で次のとおりです。

部位夏に入る熱の割合(等級4相当)
窓64%
外壁16%
換気15%
天井3%
床・基礎2%

出典:一般社団法人 日本建材・住宅設備産業協会「住宅各部位における熱の出入り割合」(2025年12月)図4

この数字を読むときの注意点が3つあります。

  • 窓の割合が大きいのは、この試算の条件での結果です。住宅の造りや断熱の仕方で変わります。
  • 「天井」の3%は、屋根そのものではなく、断熱を施した天井からの熱です。屋根の断熱が少ない建物では、屋根まわりの割合は変わります。
  • この試算は木造の戸建て・6地域が前提です。沖縄の多くを占めるコンクリート造や、沖縄の気候にそのまま当てはまる数字ではありません。

沖縄で考えるときの前提

那覇の月平均気温は、7月で29.1℃、年平均で23.3℃です。湿度は7月で78%、年平均で73%です(気象庁 平年値 1991〜2020年)。夏の日差しは強く、冷房の使用期間が長い地域です。

住まいの造りにも特徴があります。沖縄県の住宅は、非木造が96.5%、共同住宅が60.9%、借家が50.7%です(令和5年住宅・土地統計調査 沖縄県結果の要点、令和7年3月31日)。コンクリート造の家の暑さについては、コンクリートの家が暑い理由と最上階が暑い理由で整理しています。

屋根や外壁から入る熱と、窓から入る熱。この2つのうち、どちらが主因かは、建物ごとに違います。最上階なのか、中層階の角部屋なのか。日が当たるのは屋根か、西側の窓か。まずはここを見分けることが大切です。

今日からできること

道具を買う前に、次の点を確かめてみてください。

  • 暑くなる時間帯を記録する:午後に西日が入る頃に暑いのか、夜も暑さが残るのか。メモしておくと、現地でご相談するときの手がかりになります。
  • 窓の日差しを外で止める:すだれやシェードなど。室内側のカーテンだけでは、熱が部屋に入りやすくなります。理由はカーテンを閉めても暑い理由に書きました。
  • 西日が強い窓を把握する:西日の対策を参考にしてください。

遮熱塗料と窓対策、どう使い分ける?

それぞれが得意な部位を整理します。

見るところ屋根・外壁の遮熱塗料窓まわりの対策
受け持つ部位屋根・外壁の表面ガラスとサッシ(窓)
考え方主に屋根(外壁用もあります)の表面で日射をはね返す日射と熱の通り道を減らす
注意点窓から入る日差しには働かない屋根や壁を伝わる熱には働かない

窓まわりの対策には、内窓(二重窓)、カバー工法、フィルムなどがあります。ガラスだけの交換は当社では扱っていません。内窓は、今ある窓の内側にもう1つ窓を付ける方法です。窓の種類や向きで、感じ方は変わります。違いは断熱と遮熱の違いで整理しています。

電気代を気にされる方は、冷房の電気代と窓もご覧ください。

なお、遮熱塗料の効果の目安として、日本塗料工業会の資料には試験の例があります。茨城県つくば市の長屋式の実験棟で、夏場のエアコンの消費電力が一般塗料より7%減った、という記載です(平成20年度の事業)。これも特定の建物での結果で、冬場は差がなかったと書かれています。沖縄の住宅にそのまま当てはまる数字ではありません。

窓では変わりにくいケース

正直にお伝えします。次のような場合、窓の工事だけでは暑さが変わりにくいことがあります。

  • 最上階で、屋根からの熱が主な原因と思われる場合:日差しで熱くなった屋根や天井から、室内に熱が伝わっているケースです。この場合は、屋根の断熱や遮熱の検討が先になることがあります。
  • 通風や換気、家具の配置など、住まい方が原因の場合:窓の工事の前に見直せることがあります。

当社は塗装工事を扱っていないため、屋根・外壁の塗装そのものはご案内できません。ただ、現地を拝見して「窓ではなく、屋根や壁の話ですね」と分かった場合は、そのようにお伝えします。内窓の体感についての注意点は、内窓の効果を感じにくいケースにもまとめました。

賃貸・マンションの場合

賃貸では、屋根や外壁の塗装は建物のオーナーや管理組合の判断になります。窓の工事も、勝手に行えないことがあります。まずは管理会社や管理組合に確認してください。賃貸の注意点は賃貸でできる窓の暑さ・寒さ対策、マンションの内窓はマンションの内窓にまとめています。

迷ったときの見分け方

次の順で考えると整理しやすくなります。

  1. 暑い部屋はどこか。最上階か、中層階か。
  2. 暑くなる時間はいつか。午後の西日の時間帯か、夜も続くか。
  3. 日が強く当たっているのは窓か、屋根・壁か。

窓にじかに日が当たる部屋は、窓まわりの対策が合う場合があります。最上階で天井や壁が熱い場合は、屋根・壁側の確認が先です。両方当てはまる建物もあります。その場合は、どちらから手を付けるかを順に決めていきます。

よくあるご質問

遮熱塗料を塗れば、窓の対策はいりませんか?

遮熱塗料は屋根や外壁の表面で日差しを受け止める考え方で、ガラスから入る日差しとは部位が違います。窓から日が差し込む部屋では、窓側の対策が別に必要になる場合があります。

窓の工事だけで、屋根からの暑さは減りますか?

屋根や天井から伝わる熱は、窓の工事では変わりにくい部分です。最上階で天井が熱い場合は、窓以外の原因も含めて確認することをおすすめします。

遮熱塗料の効果はどれくらいですか?

日本塗料工業会の資料では、効果は日射侵入比という数字と★の数で示されます。たとえば★1つは日射侵入比0.8〜0.6、侵入熱削減率20〜40%の区分です。これは試験条件での区分で、実際の住まいでの体感は、建物や色、日当たりによって変わります。

窓の工事と塗装は、両方しないといけませんか?

いいえ。暑さの主な原因によって、必要なものは変わります。原因が1か所なら、そこから考えれば足ります。

このページで参照した資料

  • 一般社団法人 日本塗料工業会「遮熱塗料」リーフレット(2025年版)
  • 一般社団法人 日本建材・住宅設備産業協会「住宅各部位における熱の出入り割合」(2025年12月)
  • 気象庁「平年値(1991〜2020年)」
  • 沖縄県企画部統計課「令和5年住宅・土地統計調査 沖縄県結果の要点」(令和7年3月31日)

現地を見せていただいてから、正直にお伝えします

暑さの原因は、お住まいによって違います。現地調査とお見積りは無料です。窓まわりを拝見して、窓の工事が合うと分かればその内容をご説明します。屋根や壁が主な原因で、窓では変わりにくいと分かれば、そう申し上げます。無理におすすめすることはありません。