目次
  1. 観光客が過去最多の沖縄で、客室の窓が後回しになる理由
  2. ホテル・旅館・コンドミニアムと、運営の形による違い
  3. 客室の暑さは「いちばん景色のよい窓」から入ってくる
  4. 西海岸のリゾートは、夕日の見える窓がそのまま西日の窓になる
  5. 冷房を強くしても冷えない客室で起きていること
  6. 客室の音は「窓から入る音」と「廊下・隣室から来る音」に分かれる
  7. 内窓で対策できる音と、対策できない音
  8. 客室に内窓を入れるときのガラスの選び方
  9. 眺めと使い勝手:内窓の枠と、清掃の手間
  10. 営業を止めずに工事する進め方
  11. 工事の時期は、観光客の少ない月を選ぶ
  12. 補助金と費用の考え方
  13. ご相談の流れと、当社にできないこと

「西向きの客室だけ、午後になると冷房が追いつかない」

「レビューに『外の音で眠れなかった』と書かれてしまった」

「窓の対策はしたいが、満室続きで客室を止められない」

沖縄でホテルやコンドミニアムを運営されている方、支配人や施設管理のご担当の方から、客室の窓についてご相談をいただくことがあります。住宅とちがって、客室の暑さや音はそのまま宿泊者の満足度とレビューに表れ、次の予約に響きます。一方で、稼働中の施設では工事のために客室を長く止めることができません。

このページでは、沖縄の宿泊施設の客室で起きやすい「暑さ」と「音」の悩みを、窓の視点から整理します。あわせて、営業を続けながら窓の工事を進める段取りと、窓では解決できないことも正直にお伝えします。

観光客が過去最多の沖縄で、客室の窓が後回しになる理由

沖縄県の発表によると、令和7年(暦年)の入域観光客数は1,075万6,000人で、前年より108万7,200人(11.2%)増え、暦年で過去最高となりました。月別では8月がもっとも多く、107万4,900人でした(沖縄県 文化観光スポーツ部「令和7年(暦年)入域観光客統計概況(確定版)」)。

客室の稼働が高いことは、施設にとって喜ばしいことです。ただ、その分だけ客室を止める余裕がなくなり、窓の不具合や暑さの苦情が「分かってはいるが手を付けられない」まま残りがちです。とくに夏の繁忙期は、暑さの苦情がもっとも出やすい時期と、客室をもっとも止めにくい時期が重なります。だからこそ、客室を長く止めずに済む対策を知っておくことに意味があります。

ホテル・旅館・コンドミニアムと、運営の形による違い

旅館業法では、旅館業を「旅館・ホテル営業」「簡易宿所営業」「下宿営業」の3つに分けています。コンドミニアム型の施設は、運営の形によって旅館業法の許可を受けている場合もあれば、住宅宿泊事業法の届出で運営している場合もあります。

窓の工事の中身そのものは、どの形でも大きくは変わりません。変わるのは、誰に承諾を取るかです。1棟を1社が所有する施設なら判断は早い一方、区分所有のコンドミニアムでは、窓まわりが共用部分として扱われ、管理組合の承認が必要になることがあります。この点はマンションに内窓を付けるときの申請と同じ考え方です。住宅宿泊事業法で運営されている小規模な施設の音の悩みは、民泊・ゲストハウスの騒音対策のページにまとめています。

客室の暑さは「いちばん景色のよい窓」から入ってくる

宿泊施設の客室は、住宅よりも窓が大きく作られていることが少なくありません。海や街の眺めは客室の価値そのものであり、床近くまでの大きな窓や、バルコニーに出られる掃き出し窓が設けられています。

ところが、窓は壁にくらべて熱を通しやすい部分です。気象庁の那覇の平年値では、7月の全天日射量は1日あたり20.9MJ/㎡と、1年でもっとも多い月です。眺めのために大きく取った窓は、そのまま日射を客室に取り込む入口にもなります。「景色のよい部屋ほど暑い」という逆転が起きるのはこのためです。

西海岸のリゾートは、夕日の見える窓がそのまま西日の窓になる

国立天文台の暦計算室のデータでは、那覇で7月1日に太陽が沈む方位はおよそ296度、真西より北寄りの西北西です。沖縄本島の西海岸に面した施設では、夕日の眺めを売りにした客室の窓が、そのまま夏の午後の日差しを正面から受ける窓になります。

西日は太陽の高度が低いため、庇(ひさし)やバルコニーの屋根では遮りきれず、窓の奥まで差し込みます。チェックインの時間帯と西日の時間帯が重なるのも、宿泊施設ならではの難しさです。到着したお客様が最初に感じるのが「部屋が暑い」になってしまいます。西日のしくみそのものは沖縄の西日対策のページで詳しく説明しています。

内窓を付ける前の窓(北谷町の施工事例 施工前)

冷房を強くしても冷えない客室で起きていること

「空調の設定温度を下げても、窓際だけ暑い」というご相談の多くは、空調の能力不足ではなく、窓から入る日射の量が空調の処理を上回っていることが原因です。気象庁の那覇の平年値では、7月の日最低気温は27.0℃で、夜になっても建物が冷えきりません。日中に窓から入った熱が、翌日まで持ち越されることもあります。

もちろん、空調機そのものの劣化やフィルターの目詰まりが原因のこともあります。当社は空調設備の点検や修理は行っていませんので、まず設備業者の点検を受けていただき、それでも改善しない客室について窓の対策を検討するのが順番です。この切り分けの考え方はエアコンが効かない原因のページも参考にしてください。

客室の音は「窓から入る音」と「廊下・隣室から来る音」に分かれる

宿泊者が「うるさかった」と感じる音は、入ってくる経路で分けて考えると対策が見えてきます。

  • 窓から入る音:前面道路の車の音、繁華街の人通り、近くの飲食店の音、航空機の音など
  • 廊下から来る音:ほかの宿泊者の話し声、キャリーケースを引く音、客室ドアの開け閉め
  • 隣室・上下階から来る音:話し声、テレビ、シャワーや給排水の音
  • 設備の音:客室の空調機、屋上や外部の室外機

レビューに書かれた内容や、苦情が出た客室の位置と時間帯を並べてみると、どの経路の音なのかがかなり絞り込めます。道路側・繁華街側の客室にだけ苦情が集中しているなら窓の可能性が高く、フロアを問わず廊下側で起きているなら、窓以外の経路を疑うべきです。

内窓で対策できる音と、対策できない音

既存の窓の室内側にもう1枚の窓を付ける内窓(二重窓)は、窓と窓の間に空気の層ができることで、外から窓を通って入る音を伝わりにくくします。窓が原因の音であれば、有力な選択肢のひとつです。

一方で、廊下や隣室から壁・ドア・配管を伝ってくる音には、内窓は効きません。客室ドアや壁の防音工事は当社では扱っていないため、その場合は正直にそうお伝えします。また、どれくらい静かになるかは、既存サッシのすき間や建物の構造によって変わるため、効果を数字で断定することはいたしません。現地を見せていただいたうえで、見込みを正直にお伝えします。防音の一般的な考え方は窓の防音対策のページにまとめています。

客室に内窓を入れるときのガラスの選び方

内窓は、組み合わせるガラスによって得意なことが変わります。客室の悩みに合わせて、次のように選び分けます。

  • 西日・日射が悩みの客室:日射を遮るタイプのLow-E複層ガラス
  • 道路や繁華街の音が悩みの客室:合わせガラスなど、防音に配慮したガラス
  • 眺めを最優先したい客室:透明度が高く、色味の少ないガラス

眺めを売りにしている客室では、ガラスのわずかな色味や映り込みも気になるところです。サンプルを客室の窓に当ててご確認いただくこともできます。ガラスの種類ごとの違いは内窓のガラスの選び方で、窓に貼るフィルムとの違いは遮熱フィルムと内窓の比較で詳しく説明しています。

縦長の窓の内窓工事の施工前(名護市の施工事例)

眺めと使い勝手:内窓の枠と、清掃の手間

内窓には良いことばかりではなく、宿泊施設ならではの注意点もあります。

  • 内窓の枠が1本増えるため、眺めに枠の線が加わる
  • バルコニーに出るときに、窓を2回開け閉めする必要がある
  • 客室清掃で拭くガラスの面が増える
  • 宿泊者が内窓を開けたままにすると、効果が出ない

枠の色を既存のサッシや内装に合わせる、清掃の手順に内窓を加える、客室の案内に一言添える、といった工夫で多くは和らげられます。内窓の弱点は内窓のデメリットのページで包み隠さずまとめていますので、導入前にご覧ください。

営業を止めずに工事する進め方

当社の内窓の取り付けは、設置条件にもよりますが1か所あたり30分〜60分ほどです。窓が1〜2か所の客室であれば、チェックアウトからチェックインまでの間に作業を終えて、その日のうちに客室を販売に戻せる場合があります。

実際の進め方は、次のような順番になります。

  1. 苦情やレビューが出ている客室と、窓の向きを一覧にする
  2. 代表的な客室で現地調査を行い、効果の見込みと費用をお伝えする
  3. 対象の客室を決め、1窓ずつ採寸する
  4. 稼働の少ない日を選び、数室ずつ取り付ける
  5. 取り付けた客室の様子やレビューを見て、次の客室に進むか判断する

同じ間取りの客室でも、窓の寸法は1か所ずつ採寸します。いきなり全室ではなく、苦情の多い客室から数室を先に施工し、宿泊者の反応を確かめてから広げていくほうが、費用の面でも判断しやすくなります。工事中の音やほこり、作業員の出入りについても、事前に動線と時間帯をご相談して決めます。

工事の時期は、観光客の少ない月を選ぶ

先ほどの沖縄県の統計を月別に見ると、令和7年は1月(78万3,400人)と2月(78万1,400人)がもっとも少なく、8月の7割強にとどまります。客室を止めやすく、暑さもやわらぐこの時期は、窓の工事に向いた季節です。

夏の苦情を受けてから動くと、工事ができるのは繁忙期の最中になってしまいます。夏のレビューで暑さや音を指摘された客室は、秋のうちに現地調査を済ませ、冬の閑散期に取り付けるという段取りにすると、次の夏に間に合います。

内窓を取り付けた後の窓(北谷町の施工事例 施工後)

補助金と費用の考え方

国の先進的窓リノベ2026は、住宅の窓の断熱改修を対象にした制度です。ホテルなどの宿泊施設は住宅ではないため、基本的に対象になりません。コンドミニアムは建物の用途や所有の形によって扱いが変わるため、補助金のページをご覧のうえ、個別にご確認ください。

費用は、窓の大きさと数、選ぶガラスによって変わります。まずは苦情の多い客室の窓について、現地を見せていただいたうえでお見積りいたします。

ご相談の流れと、当社にできないこと

当社は窓の専門店として、内窓の設置と窓まわりのリフォームを承っています。空調設備の点検や修理、客室ドアや壁の防音工事、施設の運営に関わることは扱っておりません。窓で解決できる悩みかどうかを現地で確かめ、窓では難しい場合はそうお伝えします。

ご相談から工事までの段取りはご利用の流れで、これまでの施工の様子は施工写真集でご覧いただけます。客室の窓のご相談は、こちらからお問合せください。

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