午後になると部屋が暑くなり、画面を見ていても頭が回らない。オンライン会議の最中に、外の車や工事の音が気になる。窓際に置いたパソコンの画面が、西日で白っぽくなって読みにくい。在宅ワークが当たり前になって、こうした悩みを抱える方は少なくないようです。
この3つは別々の悩みに見えますが、実はどれも「窓」と「作業する場所の置き方」が関わっていることが多いものです。ただし、窓だけが原因とは限りません。このページでは、国の公表している目安を確認しながら、原因、今日からできること、窓まわりで変えられる範囲と変えられない範囲を順番に整理します。
部屋の暑さ・音・まぶしさは、どこから来るのか
まず、国が示している「作業しやすい環境の目安」を見ておきます。
厚生労働省の「情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドライン」(令和元年7月12日付け、令和3年12月1日に一部改正)は、パソコンなどを使う作業の環境について、次のような考え方を示しています。
- ディスプレイを使うときの書類上・キーボード上の照度は300ルクス以上とし、画面と周りの明るさの差はなるべく小さくする
- ディスプレイ画面に太陽光などが入る場合は、必要に応じて窓にブラインドやカーテンなどを設け、適切な明るさにする
- 情報機器などから不快な騒音が出る場合は、騒音を減らす措置をとる
- 温度や湿度の調整は、事務所衛生基準規則に定める措置を参照する
室温と湿度の数字は、その事務所衛生基準規則に書かれています。空気調和設備(エアコンなど)を設けている場合、室の気温は18度以上28度以下、相対湿度は40%以上70%以下になるよう「努めなければならない」とされています。下限の気温は、令和4年4月1日から17度が18度に改められました。なお、これは事務所についての努力目標で、住まいに義務をかけるものではありません。ガイドラインは、自宅などで仕事をする場合についても、事務所の基準と同等の作業環境になるよう助言することが望ましい、としています。自宅の部屋を考えるときの「ものさし」として使える数字です。
沖縄で暑さと日射が強く出やすい理由
那覇の月平均気温は、気象庁の平年値(1991〜2020年)で1月が17.3℃、7月が29.1℃、年平均は23.3℃です。相対湿度の月平均は6月が83%、7月が78%で、年平均は73%です。つまり、夏だけでなく一年を通して、湿度の目安(70%以下)を超えやすい土地だといえます。
また、令和5年住宅・土地統計調査(沖縄県結果の要点、令和7年3月31日)では、沖縄の住宅の非木造は96.5%、そのうち鉄骨鉄筋コンクリート造などは93.8%、共同住宅は60.9%、借家は50.7%です。コンクリートの建物は、昼のあいだにため込んだ熱が夕方以降も室内にこもりやすいことがあります。窓の向きや階数によっては、西日が強く入る部屋もあります。
窓は、熱の出入りが大きい場所です
経済産業省 資源エネルギー庁の教材「わたしたちの生活とエネルギー」(出典は日本建材産業協会 省エネルギー建材普及センターの資料)には、平成4年の省エネ基準で建てた住宅モデルの例として、夏の冷房中(昼)に熱が開口部(窓など)から入る割合が73%、冬の暖房時に開口部から逃げる割合が58%と示されています。これは古い基準のモデル住宅の例で、今の住まいにそのまま当てはまるわけではありません。家の断熱性能や形によって変わります。それでも、住まいのなかで窓が熱の通り道になりやすいことは分かります。
外の音は「基準値」と「室内で聞こえる音」が別です
環境省の「騒音に係る環境基準」では、道路に面する地域以外の一般地域で、住居系の地域(類型A・B)は昼間55デシベル以下、夜間45デシベル以下とされています(昼間は午前6時〜午後10時、夜間は午後10時〜翌午前6時)。商業・工業などが混在する地域(類型C)は、昼間60デシベル以下、夜間50デシベル以下です。
注意したいのは、これは建物の外側(騒音の影響を受けやすい面)で評価する値で、室内で聞こえる音の大きさを直接示すものではないことです。ご自宅の外の音が基準を超えているかどうかは、場所と時間帯で変わります。
今日からできること
窓の工事をする前に、まず試せることがあります。費用がかからないものから並べます。
- 机の位置を変える:画面に窓の光が直接入らないよう、窓に対して横向きに置くと映り込みを減らしやすくなります。ガイドラインも、グレア(まぶしさ)を防ぐには画面を置く位置を工夫し、映り込みがあれば画面の傾きを調整するよう示しています。
- 時間帯で使い分ける:西日が強い時間帯は、窓から離れた部屋やスペースで作業する、集中したい作業を午前に寄せるなどの方法があります。
- カーテンやブラインドを使う:ガイドラインにある通り、画面に太陽光が入る場合は、窓にブラインドやカーテンなどを設けて明るさを調整します。外側に日よけ(すだれなど)を付けられる住まいでは、熱が室内に入る前に和らげやすくなります。
- サーキュレーターで空気を動かす:エアコンの冷気が足元にたまるときは、空気を回すと室温のむらを減らしやすくなります。ただし、風が直接体に当たり続けないよう向きを調整してください。
- 湿度にも目を向ける:室温が目安の範囲内でも、湿度が高いと蒸し暑く感じます。温湿度計を机の近くに置いて、18〜28度・40〜70%という数字と比べてみると、状況が分かりやすくなります。
- 音は、マイクとデスクの置き方で変える:音の入ってくる窓や壁から机を離す、ヘッドセットのマイクを口に近づけるなど、機器側の工夫で聞こえ方が変わることがあります。本棚や厚手のカーテンなどが、音の反射をやわらげる場合もあります。
- パーテーションや衝立を使う:ガイドラインでも、遮音・吸音の機能を持つつい立てで機器を囲む、床にカーペットを敷くなどの方法が、騒音の低減の例として挙げられています。
窓まわりで変えられること
自分でできる工夫を試しても、暑さや音が残る場合は、窓そのものを見直す選択肢があります。
内窓(今ある窓の内側にもう1つ窓を付ける)
今の窓の内側にもう1つ窓を付けると、窓と窓のあいだに空気の層ができます。熱の出入りがやわらぐ場合があり、あわせて外の音もやわらぐ場合があります。暑さと音の両方が気になる在宅ワークの部屋では、1つの工事で両方に働きかけられる点が特徴です。仕組みや種類は内窓とはで説明しています。音について詳しくは防音を、暑さについてはエアコンが効かないやRC住宅の暑さもご覧ください。
オンライン会議の音声の聞こえ方については、通信環境やマイク、パソコン側の設定など多くの要素が関わるため、窓を変えれば改善するとは言い切れません。外の音が入りにくくなることで、気になる場合が減ることはある、という程度にお考えください。
ガラスの種類を選ぶ
内窓に使うガラスは、複層ガラス、遮熱・断熱をねらったコーティングのあるガラス、防音を意識した合わせガラスなど、いくつかの種類があります。西日が気になる方向では、日射をやわらげる種類が向いています。ただし、ガラスの種類で室内の明るさや見え方も変わります。選び方の考え方は内窓のガラス選びにまとめています。
日よけやフィルムで画面の映り込みをやわらげる
画面の映り込みには、日射を和らげる日よけやフィルムも選択肢です。窓の内側に貼る遮熱フィルムと内窓の違いは遮熱フィルムと内窓で比べています。西日そのものについては西日のページもあります。なお、画面に貼る反射防止のフィルターについて、ガイドラインは、性能によっては文字の鮮明さが下がったり、フィルター自体が反射したりすることがあるため、反射率の低いものを選ぶよう注意を促しています。
また、窓の工事とは別に、画面の傾きを調整する、画面の明るさや周りの明るさの差を小さくする(照明を足す)といった方法でも、見やすさは変わります。
窓では解決しない・向かないケース
正直にお伝えします。窓を変えても、次のようなケースでは期待どおりにならないことがあります。
- 機器の発熱が主な原因の場合:パソコン、モニター、周辺機器、照明の熱で部屋が暑くなっているときは、窓の性能を上げても改善しにくいことがあります。機器の配置や台数、使い方の見直しが先です。
- エアコンの能力や設置のしかたに問題がある場合:部屋の広さに対して容量が足りない、フィルターが汚れている、風が届きにくい位置にあるなど、エアコン側が原因のケースです。
- 音の入り口が窓以外の場合:玄関ドア、換気口、壁、床、天井、上下階や隣室からの音は、窓を変えても残ります。音がどこから来るか確かめてから判断するのが確実です。玄関ドアが原因の場合は玄関ドアのカバー工法も参照してください。
- 低い音が主な場合:重低音や振動のような音は、窓まわりの工事だけでは感じ方が変わりにくいことがあります。音の種類に応じた判断が必要です。
- 窓の面積が小さい、あるいは日射がほとんど入らない部屋:窓の影響そのものが小さいため、工事の効果を感じにくい場合があります。
- 窓の形や状態によっては取り付けが難しい場合:サッシの形、窓の周辺の寸法や障害物によって、内窓を付けにくいことがあります。内窓の弱点は内窓のデメリットに正直に書いています。
賃貸・マンションの場合
賃貸住宅やマンションでは、窓やサッシが共用部分とされている場合があり、工事の前に管理会社や管理組合、貸主への確認が必要です。内窓は今の窓を壊さずに取り付けられる方法が多いため、取り外せる形で付けられるかどうかも含めて相談できます。原状回復の考え方は賃貸の場合、マンションの規約や進め方はマンションの内窓をご覧ください。
迷ったときの見分け方
- 午後の同じ時間帯に、窓の近くだけ特に暑いか(窓の影響が大きい可能性)
- 窓を閉め切って、カーテンを閉めると、暑さや音がどれくらい変わるか
- 音がするとき、窓を開けた場合と閉めた場合で聞こえ方が違うか
- 音の方向は窓か、ドアや壁か
- パソコンなどを切ると、部屋の暑さは変わるか
- エアコンを使っていても、窓際だけ熱がこもるか
- 画面の映り込みは、机の向きを変えたら解消するか
窓が理由と思われる項目が多いほど、窓まわりの見直しが役立つ可能性があります。反対に、機器やエアコン、窓以外の音の入り口が理由と思われる場合は、そちらを先に見直すほうが近道です。
よくあるご質問
内窓を付ければ、オンライン会議で外の音が入らなくなりますか。
入らなくなるとは言い切れません。外の音がやわらぐ場合はありますが、音の種類、入ってくる場所、窓の種類で変わります。マイクやパソコンの設定の影響も大きいため、あくまで要因のひとつとお考えください。
エアコンの設定温度を何度にすればよいですか。
国の目安は、事務所では室の気温18度以上28度以下、相対湿度40%以上70%以下に努める、というものです。ご自身の体調や部屋の状況で調整してください。体調がすぐれないときは無理をせず、水分や休憩をとってください。熱中症が心配な場合は室内熱中症も参考にしてください。
費用はどれくらいかかりますか。
お住まいの窓の数・大きさ・ガラスの種類で変わります。料金の考え方は料金をご覧ください。補助金の対象になる場合もありますので、補助金のページもご確認ください。
窓の工事をしても、効果が分からなかったらどうしますか。
窓の影響が小さい部屋では、体感しにくいことがあります。だからこそ、工事の前に現地で窓の状態、日射の向き、音の入り口を確認し、窓では改善しにくいと分かった場合はそのようにお伝えします。
このページで参照した資料
- 厚生労働省「情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドライン」(令和元年7月12日、令和3年12月1日一部改正)
- 厚生労働省「事務所衛生基準規則」(第5条)、「職場における労働衛生基準が変わりました」リーフレット(令和4年)
- 環境省「騒音に係る環境基準について」
- 経済産業省 資源エネルギー庁「エネルギー教育」教材「わたしたちの生活とエネルギー」(日本建材産業協会 省エネルギー建材普及センター資料に基づく)
- 気象庁「平年値(1991〜2020年)」那覇
- 総務省統計局「令和5年住宅・土地統計調査 沖縄県結果の要点」(令和7年3月31日)
現地を見せていただいてから、正直にお伝えします
暑さ、音、画面のまぶしさの原因は、お部屋によって違います。窓が理由のこともあれば、機器やエアコン、窓以外の音の入り口が理由のこともあります。現地調査・お見積りは無料です。お部屋を見せていただいたうえで、窓を変えると変わりそうなこと、窓では変わりにくいことを、そのままお伝えします。窓ではないと分かった場合は、そう申し上げます。お問い合わせからお気軽にご相談ください。

