「1階は普通に過ごせるのに、2階に上がった瞬間にむわっとする」——沖縄で夏にいちばん多くいただくご相談のひとつです。エアコンをつけてもなかなか下がらない、夕方より夜のほうがつらい、寝室が2階だから眠れない。同じ家のなかで階が違うだけなのに、体感がまるで違います。
インターネットで「2階が暑い」と調べると、屋根裏に熱がこもる、小屋裏換気を増やす、天井裏に断熱材を追加する、といった解説が並びます。ところがそれらの記事が前提にしているのは木造住宅で、沖縄の住まいにはほとんど当てはまりません。このページでは、総務省統計局の調査と気象庁の平年値、そして国が定めた省エネ計算のルールという公的な数字をもとに、沖縄で2階が暑くなる仕組みを整理します。そのうえで、窓でできること・できないことを、那覇の窓とドアの専門店として正直にお伝えします。
全国の「2階が暑い」記事が、沖縄では役に立たない理由
総務省統計局の令和5年住宅・土地統計調査(沖縄県結果、令和7年3月31日公表)によると、沖縄県で人が住んでいる住宅627,400戸のうち、非木造が96.5%を占めます。そのうち鉄骨・鉄筋コンクリート造が93.8%。全国では木造が54.0%と半分以上ですから、沖縄だけが極端に違います。
木造住宅の2階が暑くなる主因は、屋根と天井のあいだにある「小屋裏(屋根裏)」に高温の空気が溜まることです。だから全国向けの記事は小屋裏換気や天井裏の断熱を勧めます。ところが沖縄に多い陸屋根の鉄筋コンクリート住宅には、そもそも小屋裏という空間がありません。コンクリートのスラブ(屋根の板)が、そのまま2階の天井のすぐ上にあります。緩衝材になる空気層がないぶん、屋根が受けた熱は時間差をつけて、じかに下の部屋へ降りてきます。
「換気扇を屋根裏に付ければいい」という助言が沖縄で通用しないのは、このためです。コンクリート住宅そのものの暑さの仕組みは沖縄のコンクリート住宅(RC造)が暑い理由のページで詳しく整理しています。

沖縄で「2階が暑い」という方の多くは、戸建の2階ではありません
同じ調査で、沖縄県の住宅を建て方別に見ると一戸建ては37.4%(234,900戸)にとどまり、共同住宅が60.9%(381,800戸)を占めます。共同住宅の割合は東京都に次いで全国2位で、全国平均の44.9%を16ポイント上回ります。
つまり沖縄で「2階が暑い」とおっしゃるとき、それは戸建の2階のこともあれば、アパートやマンションの2階・最上階のことも同じくらい多い、ということです。この二つは原因も打ち手も違います。
集合住宅の最上階は、戸建の2階と同じく屋根からの熱を直接受けます。一方、最上階でない2階のお部屋が暑い場合は、屋根ではなく窓と壁の向きが主因であることが多く、そのぶん窓の対策が効きやすい傾向があります。ご自宅が分譲マンションの場合は沖縄のマンションで内窓を付けるときの管理組合の手続きを、賃貸のお部屋の場合は沖縄の賃貸・アパートで内窓を付けるときをあわせてご覧ください。
那覇の夏は、太陽がほぼ真上に来ます
那覇の観測地点は北緯26度12分にあります。夏至の南中高度はおよそ87度(90度−26.2度+23.4度で当社が算出)。ほとんど真上です。
太陽が高く上がるほど、日射を強く受けるのは壁や窓のような垂直な面ではなく、屋根のような水平な面になります。夏の正午前後、家でいちばん日を浴びているのは屋根です。そして屋根のすぐ下にあるのが2階です。
気象庁の那覇の平年値(1991〜2020年)を見ると、水平面で測る全天日射量は7月が20.9MJ/㎡で年間最多、次いで8月19.2、6月18.3となり、年平均の14.5を大きく上回ります。日照時間も7月の227.0時間が年間最多です。屋根は、この最も強い時期の日射を、一日じゅう正面から受け止めています。
南向きの窓であれば庇や軒がある程度効きますが、太陽が真上に近いほど、その庇は屋根には何の役にも立ちません。方位ごとの日射の入り方については沖縄の西日対策のページでも触れています。
国の計算ルールも「屋根には日よけが効かない」としています
これは感覚の話ではありません。国土交通省の「中級者向け省エネ計算講習会テキスト」には、住宅の省エネ性能を計算するときの決まりとして、屋根または屋根の直下の天井に設置されている開口部(天窓など)の日よけ効果係数は1.0として計算すると明記されています。係数1.0とは「日よけによる低減をゼロとみなす」という意味です。
国の計算のうえでも、屋根の面に入る日射は庇では減らせないものとして扱われています。屋根に天窓(トップライト)があるお住まいで2階が特に暑い場合、その天窓は日よけが効かない位置にある、と考えていただいて差し支えありません。
出典:国土交通省「中級者向け省エネ計算講習会(令和4年度追補版抜粋)テキスト」 https://www.mlit.go.jp/common/001627045.pdf
国の計算表には、沖縄だけ「暑い期間」の行しかありません
同じテキストに載っている「垂直入射に対する斜入射の規準化日射熱取得率」という表は、ガラスの層数ごとに冷房期と暖房期の2行で数値が並んでいます。1地域(旭川)から7地域(長崎)まで、どこも2行です。
ところが8地域=沖縄だけは、冷房期の1行しかありません。暖房期の行そのものが存在しないのです。
国土交通省の別の資料でも、沖縄県について「他の地域と異なり暖房の使用がほとんど無く、全体のエネルギー消費量に占める冷房エネルギー消費量の割合が大きい」と説明され、そのため沖縄には断熱性能を示すUA値の基準値が置かれず、日射の入りにくさを示すηAC値(冷房期の平均日射熱取得率)の基準だけが設けられています。
2階の暑さを考えるうえで、この非対称は大事です。本土の「2階が暑い」対策は、冬の寒さ対策と両立させる前提で語られます。沖縄はその前提を持ちません。沖縄で問うべきなのは、暖かさを逃さないことではなく、日射をどこで止めるかの一点です。
出典:国土交通省「建築物エネルギー消費性能基準等に係る検討の方向性(案)について 資料4」 https://www.mlit.go.jp/common/001297003.pdf

国の想定でも、沖縄で断熱するのは「天井」だけです
この記事でいちばんお伝えしたい数字が、同じ資料4に載っています。沖縄県(8地域)の外皮基準を検討したページに掲載されている、一次エネルギー基準を算定するときの外皮の標準仕様モデルです。中身はこうなっています。
天井=グラスウール10K 100mm/壁=無断熱/床=無断熱/窓=アルミ単板ガラス+外付ブラインド
壁も床も断熱材なしと想定されているのに、天井だけには断熱材が入っています。国が沖縄の住宅を計算するときの標準的な姿が、これです。窓については断熱ではなく、外付ブラインドという日射を遮る部材が前提に置かれています。
私たちは内窓と窓リフォームを生業にしている会社ですが、この数字を隠すつもりはありません。沖縄の家でお金をかける順番として、国の想定に沿うなら、まず天井(屋根)、次に窓の日射遮蔽です。2階の暑さが屋根から来ているのなら、窓を替えても期待どおりにはなりません。
夜になっても、外の空気が5℃しか下がりません
屋根に溜まった熱がいつまでも抜けないのは、沖縄の夜の気温にも理由があります。気象庁の那覇の平年値では、日最高気温と日最低気温は7月が31.9℃と27.0℃、8月が31.8℃と26.8℃。1日の気温の振れ幅は、8月でわずか5.0℃です(当社算出)。
本土のように夜間に外気が大きく下がってくれれば、日中に屋根が受けた熱は夜のあいだに外へ逃げます。沖縄ではその逃げ道が細い。だから「夕方から暑い」「夜のほうがつらい」という声が、2階のお部屋にお住まいの方から特に多く上がります。寝室が2階にある場合の考え方は沖縄で寝室だけが暑いときのページにまとめています。
窓の話をする前に、確かめていただきたい4つのこと
ご相談をいただいたとき、私たちが最初にお願いしているのは次の4点の確認です。順番に潰していくと、窓が原因なのかどうかがはっきりします。
1. エアコンの能力と状態。フィルターの目詰まり、室外機の設置場所、部屋の広さに対する能力不足、冷媒不足。ここが原因のことは実際に少なくありません。切り分け方は沖縄でエアコンが効かないときの原因の見分け方にまとめています。
2. 天井にさわってみる。日が落ちてから2階の天井に手のひらを当ててみてください。ほんのり温かい、あるいは熱を感じるようであれば、屋根から降りてきている熱が主因です。この場合、窓だけでは解決しません。
3. 最上階かどうか。集合住宅なら、上に住戸があるのか、屋上なのかで話が変わります。上階が住戸なら屋根の影響は小さく、窓の対策が効きやすくなります。
4. どの向きの窓が、何時ごろ暑いか。午後だけ暑いなら西日、午前から暑いなら東面、一日じゅうなら屋根。時間帯は、原因を教えてくれるいちばん確かな手がかりです。
正直に申し上げます。屋根が原因なら、窓では解決しません
夜に天井が温かいお住まいで、内窓だけを付けても、期待された変化は出にくいと考えています。その場合にご検討いただきたいのは、屋上の遮熱塗装、屋上緑化、屋根の断熱改修といった、屋根側の工事です。これらは私たちの領分ではありませんので、当社では承っておりません。
効果の程度を「何℃下がります」「何デシベル下がります」と申し上げないのも、同じ理由です。住まいの構造、階数、方位、窓の大きさ、エアコンの能力によって結果が変わるためで、数字だけが独り歩きすると、かえってご迷惑をおかけします。現地を見せていただいたうえで、正直にお伝えします。
それでも2階の窓を見直す価値がある場合
逆に、次のようなお住まいでは窓の工事が効きやすいと考えています。
夜に天井が冷たいのに、日中だけ暑い。熱の入り口が屋根ではなく窓である可能性が高い状態です。最上階ではない2階。上に住戸がある集合住宅の2階なら、屋根の影響はほとんどありません。2階の窓が大きい、あるいは東・西を向いている。沖縄では朝日と西日の入射角が低く、庇では止めにくい方位です。窓がアルミサッシの単板ガラスのまま。アルミは熱を通しやすく、夏はサッシ枠そのものが熱くなります。
この場合、内窓を入れるか、外窓ごと交換するかを選ぶことになります。ガラスは断熱タイプではなく遮熱タイプ(遮熱Low-E)を選ぶことが、沖縄では要になります。日射を室内に入れないことが目的だからです。製品と仕組みは内窓(二重窓)についてのページにまとめています。

内窓と外窓交換(カバー工法)の選び分け
内窓は、いまの窓の内側にもう一枚の窓を足す工事です。外壁も外側のサッシもさわらないため、1か所あたり1時間ほどで終わり、集合住宅でも比較的取り組みやすいのが特徴です。
外窓交換(カバー工法)は、いまのサッシの枠を残して新しい窓をかぶせる工事です。窓そのものが新しくなるため、サッシ枠が熱くなる問題や、開け閉めの重さ、古い網戸のがたつきまで一度に解決できます。ただし共同住宅では窓は共用部分にあたることが多く、管理組合の承認が必要になります。
内窓には開け閉めが二度手間になる、掃除の手間が増えるといった弱点もあります。ここは内窓のデメリットと後悔しない選び方で包み隠さずご説明しています。あわせて、内窓は台風対策にはなりません。この点は沖縄の台風と窓のページで規格を示しながら整理しています。
電気代の見え方は、少し時間差があります
2階が涼しくなると、エアコンの設定温度を上げても過ごせるようになり、結果として電気代に表れます。ただし沖縄は冷房を使う期間が長いぶん、月々の変化は緩やかで、1年を通して見ないと実感しにくいのが正直なところです。考え方は沖縄の電気代を窓で下げるにまとめました。
費用の目安は料金のページに、実際の施工例は施工事例に掲載しています。

補助金は「窓を替えると決めたあと」に考えてください
環境省の先進的窓リノベ2026事業では、内窓の設置、ガラス交換、外窓交換などが補助の対象になります。2026年9月3日午前0時時点で、予算に対する補助金申請額の割合は21%と公表されています(毎日午前中に更新)。
ご注意いただきたい点が2つあります。ひとつは、一般のお客様が直接申請することはできないこと。あらかじめ登録した事業者との契約が必要です。もうひとつは、補助金の有無を先に置いて工事を決めると、必要のない窓まで替えることになりかねないことです。2階の暑さの原因が屋根にあるなら、補助金が出ても窓では解決しません。順番としては、原因を見極める、対策を決める、そのうえで補助金を確認する、が正しいと考えています。制度の詳細は補助金のページでご案内しています。
沖縄の2階の暑さについて、よくいただくご質問
Q. 2階の天井に断熱材を入れれば解決しますか。
鉄筋コンクリート造で天井裏に空間がある場合は効果が見込めますが、スラブに直接天井を張っている構造では入れられる厚みが限られます。まずは天井の構造を確認するところからです。この工事は当社では承っておりません。
Q. 遮熱フィルムと内窓では、どちらがよいですか。
日射を止めるという点ではフィルムにも効果があります。内窓は日射に加えて、サッシ枠から伝わる熱と、外気とのあいだの空気層による効果が加わります。ご予算とお住まいの状況次第ですので、どちらが正解とは申し上げません。
Q. 2階だけ工事することはできますか。
できます。むしろ、いちばんつらい部屋から1か所ずつ進める進め方をおすすめしています。
Q. 結露は増えませんか。
沖縄の結露は冬ではなく、夏の冷房で起きます。内窓を入れると発生する場所が変わることがあります。沖縄の結露とカビのページで詳しく説明しています。
まずは、2階を見せてください
2階の暑さは、屋根・窓・方位・エアコンのどれが主因なのかで、打つべき手がまったく変わります。文章だけで「内窓を付ければ涼しくなります」とは申し上げられません。
私たちは那覇を拠点に、沖縄県内で窓と玄関ドアのリフォームだけを専門にしています。お住まいを拝見して、窓で改善できるところと、窓では届かないところを分けてお伝えします。窓では解決しないと判断した場合は、はっきりそう申し上げます。ご相談・お見積りは無料です。お問い合わせフォームからお気軽にご連絡ください。
